妊娠中の放射線被曝の問題

 1. 排卵から 2週間 (実際は17日) までは、薬物、放射線とも、影響はないか、
  あれば、妊娠が成立しない。

 2. 認識できる奇形発生の最低被曝量
   排卵・妊娠から 14日目だと --------- 25R
           18日目   --------- 25 〜 50R
           28日目   --------- 50R
           50日目   --------- 50R 以上

 3. 放射線検査で被曝する量 (妊娠中の胎児の)
   胸部レントゲン写真 ---------  8mR (最高で)
   胃透視       --------- 560mR (最高で)
   バリウムエネマ   --------- 800mR (最高で)
   腎盂造影      --------- 400mR (最高で)
   腹部単純      --------- 290mR (最高で)

 ※上記のように、1番被曝の多い注腸造影でも、25 割る 0.8 で 31.25 で危
  険量の 30分の1以下、胸部写真なら、3,000分の1、胃透視でも 40分の1
  以下。被曝しないときの率と殆ど変わらない。








放射線検査の安全性について

 ○人体が放射線を多量に受けると白血病やガンになる可能性が生ずるという
  ことが過去の資料よりわかっている。

 ○1000ミリシーベルトの放射線量以下では人体にガンが発生したという確
  証はない。

 ○一般に病院で使用されるエックス線検査の放射線量は、胸のエックス線写
  真 1枚で 約0.1ミリシーベルトの量だから、約1万回 検査を受けないと
  1000ミリ シーベルトの量にはならないので心配しなくても良い放射線量
  である。

 ○放射線が胎児に与える影響は、受精後から 4ヶ月までが、発生異常を生じ
  させる可能性が高い時期で、5ヶ月以降ではずっと低くる。
  どの位の放射線量かと云いますと、100ミリシーベルトをこえる量といわ
  れている。
  1). 胸のエックス線写真ですと100ミリシーベルトの量にならない。
  2). 妊娠可能な女性の X線検査は、月経開始後10日以内がよいとされている。
     (この期間は妊娠していないことが確実なためです。)
  3). 放射線による不妊の可能性は、生殖腺 (卵巣、睾丸) がどのくらい放射線
    を受けたかに関係し、性別や年齢によって異なる。
    女性の場合には、3000 〜 5000ミリシーベルト、男性だと 2500ミリ
    シーベルトの多量の放射線を一度に受けると子供ができなくなる可能性
    があるといわれている。
  4. 骨盤のエックス線写真で 約2.5ミリシーベルトですので、全く心配しなく
    ても良いことがおわかりになると思います。

 ○私達は宇宙や大地、人間の体内や食物など自然界から様々なかたちで避け
  ることのできない自然放射線を受けている。
  ・原子力発電所の線量目標値 (年間) :0.005ミリシーベルト
  ・胸の X線写真 (1回当り) :0.1ミリシーベルト
  ・食べ物から (年間) :0.2ミリシーベルト
  ・宇宙線から (年間) :0.3ミリシーベルト
  ・大地から (年間) :0.5ミリシーベルト
  ・ アメリカ・デンバーの自然放射線 (年間) :1.6ミリシーベルト
  ・ブラジル・ガラパリの自然放射線 :10ミリシーベルト
  ・胃の透視 (1回当り) :15ミリシーベルト
  ・放射線治療 (1回 2000ミリシーベルトを
   週5回、これを 6週間続けて治療する)
:60ミリシーベルト

 ※以上のことより、一般にエックス線検査に使用される放射線量は害が非常
  に少ないことが分かる。








妊娠中の投薬の問題

 妊娠初期の投薬
 a. 効かない薬は出さないこと (殆どの漢方薬にはいっているような成分のい
   くつかは妊娠中は服用を禁ずとなっている。)

 b. 副作用は、妊娠初期は受精して、着床するころ (排卵後 2週目くらい) か
   ら薬の催奇形性などが問題になる。
   妊娠10週 〜12週以降は、薬剤による胎児の中毒による副作用が問題。

 c. 抗生物質は:ペニシリン、セフェム系、エリスロマイシン系くらいが使用
         可能です。

 d. 風邪の投薬
  ●ウイルスが大部分の筈なので、はっきりと細菌感染がある時以外は抗生
   物質は出さない。
  ●そのほかは、対症療法なので、出来るだけ外用剤を使う。
  ●熱は、妊娠しているだけでも生理的に微熱はあるので、
  ●余程でないと NSAID も使いません。
   NSAID は 妊娠32週以降は、胎児のボタロー管を閉鎖するので禁忌。

 e. なんらかの合併症がある時 (癲癇、糖尿病、妊娠中毒症、甲状腺機能亢進
   症、膠原病、等)
  ※その合併症の治療薬がどうしてもやめられないなら、過去の使用経験
   で、大きな異常が報告されてないものを、FDA の基準に基づいて使用。
    (ランクがそれぞれの薬についている。)
  ●甲状腺機能亢進
    妊娠中メルカゾールを処方され続けて予定日ころに子宮内胎児死亡 (IUFD)

 f. 子宮内胎児死亡 (IUFD) の例
  ● NSAID、特にインドメタシンの座薬、翌朝 IUFD の報告。
  ●ラシックス
    妊娠中毒症でやや血圧が高い妊婦が、次の月曜に帝王切開予定で、主
    治医が 2日前の土曜にラシックスを注射して子宮内胎児死亡。

 g. その他
  ●妊娠中のテトラサイクリン投与
    新生児の歯が黄色変化。






妊婦と薬剤(H16/9/28、井原医師会学術講演会より)
  1. 妊娠各時期と薬の影響
     (1)受精前から妊娠3週末(最終月経から28日)まで受精前の卵子は受精能力
          を失うか、受精しても着床しなかったり、妊娠早期に流産として消失す
          る。この時期では薬の影響は特別考慮する必要はない。
          風疹生ワクチンでは、一時的にウイルス血症となり、接種後2カ月は
          避妊すべきである。しかし誤って投与した場合は、先天性風疹が生まれる
          確証がない、希望すれば妊娠の継続をすすめるべきである
     (2)妊娠4〜7週末(29〜50日)
          この時期は、胎児の中枢神経、心臓、消化器、四肢など重要な臓器がつ
         くられている。催奇形という意味では胎児が最も敏感な絶対過敏期である。
         (サリドマイドでは、52日以降では奇形は発生していない)。しかし個人
         差もあり絶対過敏の後の限界をあいまいにしておく必要がある。
     (3)妊娠8〜15週末
          胎児の重要な臓器の形成は終わっているが、性器、口蓋の閉鎖などはな
          おつづいている。催奇形性という意味で薬剤に対する胎児の感受性は次第
          に低下するが、催奇形性のある薬剤の投与は慎重であったほうが良い。
          妊娠11週におおよそ外観で男女の区別が可能となり、12〜14週で男性化
          が完成する。
     (4)妊娠16週〜分娩まで
          薬による奇形のような異常はみられない。
          問題となるのは、機能的発育異常、子宮内胎児死亡のほか、分娩直前で
          は新生児の適応障害、薬剤の離脱障害である。
          この時期に投与された薬剤は主に胎盤を通遺して胎児へ到達する。胎盤
          通過性は、分子量の大きさ、脂溶性か否か、などにより異なる。プレドニ
          ゾロンは胎盤で代謝されやすいので、母体に使用する場合はプレドニゾロ
          ンを、胎児に使用する場合は代謝されにくい、デカドロン、リンデロンが
          用いられる。
          胎児の脳・血管関門は未発達である。胎児期に投与された薬剤が出生後
          の精神神経発達にどのように影響するかという問題がある。例として、人
          では60ml/日以上のエタノールでは新生児に異常な精神神経症状が見られ
          る報告がある。トランキライザーや抗ヒスタミン剤を中長期に投与するの
          は賛成できない。
          この時期に問題になるものとして、NSAIDsがある。プロスタグランディ
          ンの生成を阻害し動脈管の収縮をおこし、肺高血圧症、腎障害を起こす。
  2. 薬の胎児への移行の問題
     胎盤は胎児と母体の接点である。ヒトの胎盤では絨毛が発達していて、その
     広大な表面でガス、グルコース、アミノ酸、老廃物などの盛んな移送が行なわ
     れている。母体血と胎児血の間には胎盤関門とよばれるバリアーがあり、母体
     血と胎児血とは空間的に隔離され混ざり合う事は原則としてない。
       ただし分子量500以下の物質、脂溶性のもの、イオン化傾向の高いものは移行
     しやすい。蛋白への結合率によって左右される。抗生物質、抗ウイルス剤は移行
     しやすい。(母体に投与された薬物はほとんど全ての場合で胎児に移行するが
     そのデータは驚くほど少ない)。
  3. 薬剤各論(1998.12 医薬ジャーナルより)
     (1)抗てんかん剤
          てんかんをもつ妊婦では、妊娠や分娩時に合併症の頻度が高<、早期産
          児、低出生体重児が出生する割合が高いと考えられていた。
          口唇裂、口蓋裂、心奇形などの奇形発生率は一般の2〜3倍と報告されて
          いる。
          奇形の頻度:一般発生奇形額度(平均)4.8%
                  非服薬てんかん妊婦    5.7%
                  妊娠一期に服用      11.1%
          薬品別:プリミドン 7.9%、バルプロ酸 14.3%、フエニトイン 9.1%
               カルバマゼピン 5.7%、フェノバール 5.1%
     (2)解熱鎮痛抗炎症剤
           使用頻度が高く、比較的安全とされている薬剤が多いが、それぞれの薬
          剤、妊娠時期によって影響が異なる。
          この種の薬剤を危険度の高い妊娠初期に服用したとしても、それを理由
          に妊娠を中断するような誤った指導はしない。一方で妊娠中は安易に継続
          服用しないとの注意が必要。
          受精4〜7週は、最も敏感な絶対過敏期である。また8〜15週では性器や
          口蓋の形成がまだ続いている。
          この時期までの解熱鎮痛抗炎症剤の影響は、数種の薬剤の動物実験での
          催奇形性はあるもののヒトにおける催奇形性は報告されていない。かりに
          服用していても中断をすすめてはならない。
          妊娠後期では、NSAIDが胎児に作用し、PGI・Eによる動脈管収縮により、
          肺高血圧、右心不全が生じることがある、このばあい20〜40%が死亡する
          といわれている。どうしても使用する必要があれぼ、アセトアミノフェン
          が比較的安全
         (注:FDAの基準:以下はヒト胎児に明らかに危険の証拠がある。危険で
                           も必要な場合は使用する。
          ブルフェン、インダシン、クリノリル、ナイキサン、アスピリン)
           (これ以外のNSAIDは記載がないが同様と考えられる)
     (3)向精神薬
          一般に催奇形性は低い。妊娠後期に服用すると、新生児中毒症を認める
          ことが稀にある。
          フェノチアジン系、ブチロフェノン系いずれも催奇形性は低い。
          a. ウインタミンなど
             いろんな追跡調査の発表があるが、催奇形性はないとの報告が多い。
             催奇形性の危険率は、最終的に1.21倍となり、低値であるが催奇形
             性を肯定する結論であった。
             妊娠初期にフェノチアジン系を服用した妊婦の胎児への奇形の可能
             性はわずかに存在するが頻度は少ない
          b. セレネースなど
             この系統の報告は少ない。症例で注目されるのは四肢の奇形の関連
             性であった。その報告も少なく、奇形発生の危険性はないかあっても
             わずかである。
     (4)抗不安薬
          ベンゾジアゼピン系は妊娠初期に服用すると、口蓋・口唇製を発生する
          危険性が多くなることがいくつか報告されている。しかし断定はできない
          が現在否定もできない。
          奇形発症の相対危険度は約2.4倍程度とするのが妥当
            妊娠後期による新生児中毒症は、筋緊張低下、無呼吸等が知られている。
      <虎の門の例>
      ユーロジン、ハルシオン、デパス、セレナール、リーゼなどを絶対過敏
          期に服用した場合、またこれらを連用した場合、いずれも健常児の出産で
          あった。BZ系を危険度<4>に指定しているが、前述のことからも妊娠を
          知らないで服用していたからと云つて中絶の理由にはできない。
      <中央薬事審議会の副作用調査会の意見>
          奇形児出産との因果関係は必ずしも明確でないが、催奇形の危険性を否
          定することはできないので、マイナートランキライザーの妊娠初期におけ
          る適応は、有用性と安全性を十分に考慮のうえ使用すべきと勧告している。
     (5)抗うつ剤
          a. 三環系抗うつ薬
            催奇形性の有無についての報告も多いが追跡的調査ではいずれも催奇
             形性は認めないとの結論である。これらの報告、調査を総合し、本剤は、
             向精神薬のなかでも催奇形性の低い薬剤と思われる。
            妊娠後期・分娩中に服用した妊婦から、生後1週以内に多呼吸、頻脈、
             チアノーゼなどを認めた4例の報告がある。いずれも軽快している。
          b. 四環系抗うつ薬
           妊婦への投薬の報告はほとんどない。
            検討薬品のなかで、ルジオミールがあげられているがデーター不足で
             判定不可能である。
          c. 選択的セロトニシ再取込み阻害剤(レスリン)
            奇形の発症率は、非服用妊婦と比較し有為差は認めていない。
      <虎の門病院:妊娠と薬より>
            マウスでは催奇形性が認められ、ラット・ウサギでは認められなかっ
            た。ヒトでは、四肢短縮、小下顎症などの奇形の報告がある一方で本剤
            とは関係ないとの報告もあり、妊娠中の没与の安全性は明確になってい
            ない。
     (6)抗アレルギー薬・気管支拡張薬
          a. β2刺激剤
            吸入、内服、注射とも胎児への影響は少ないといわれている。
          b. テオフイリン剤
            胎児に対しては、新生児黄疸との関係があるとの報告があるが、催奇
             形性など重篤なものは見られない。比較的安全な薬と見られている。
      <虎の門:妊娠と薬より>
         初期に服用した193例では奇形の関連は認められなかつた。
         継続的な本剤の投与が奇形の危険性を増加させるという確かな証拠はない。
         相談事例:9例のうち8例は健常児を出産、このうち1例は妊娠中継続
                1例は出産2か月後に先天性心奇形のため死亡。
          c. インタール
            妊婦や胎児への悪影響の報告は見られていない。
          d. 抗アレルギー薬
            妊婦に対する抗アレルギー薬の投与は慎重にすべきである。
            動物実験で催奇形性が報告されており、安全性が確立していないもの
            が多い。従って妊娠早期の妊婦には投与を避けるべきである。
               ・アゼプチン:動物実験では大量投与で(370倍)催奇形性が報告されている。
               ・セルテクト:動物実験で催奇形性が報告されている。妊婦には投与しない。
               ・リザベン:マウスで催奇形性が報告されている。妊婦には投与しない。
               ・その他:明らかな催奇形性の報告は見られないが、妊娠中の安全は確立していない。
       <東海大学、岩崎先生>
              上記以外は比較的安全とみてよい。最近のものについては、資料がない。
          e. ステロイド剤
            経口長期投与で母体の尿蛋白、浮腫、糖尿病、副腎不全などの副作用
             のほか、胎児にも低出生体重児の発生率をあげるとの報告がある。
            ステロイド剤は吸入が望ましい。安全性が高いといわれている。
            1) 気管支喘息には
               コントロール不良の母親では、新生児死亡、早産児、低出生体重児
                の発生が増加し、母体にも悪影響(つわり、高血圧、分娩時の出血な
                ど)が増加する。
               喘息の適切なコントロールが母体・胎児の予後を改善する。
               喘息の急性増悪は、母体の低酸素血症、アルカローシスを引き起
                こし、胎児では酸素の供給が悪化する。
               重症ではステロイドの内服 40mg 1週間使用、7〜14日かけて減少
                ・中止。
            2) アトビー性皮膚炎
               内服の抗ヒスタミン剤は最小量を使用
               ポララミン複効綻12mg/日、無効ではアタラックス 10〜50mg/日
     (7)降圧薬
           妊娠期に見られる高血圧は、約10%と云われている。
          治療目的は、母体の高血圧緊急症に至らないようにし、脳出血、心不全
          などにならないようにし、eclampsiaも避けることである。
          非妊婦のように血圧を”正常化”にするのではない。過度の降圧は胎児
          に良くない。拡張期血圧100以上が推奨される。
          a. 妊娠前より降圧剤を服用している場合
            1) ACE-I、ARB以外は原則継続して良いとされている。
              (胎盤血流の悪化、胎児の発育遅延、子宮内胎児死亡を起こすと
               いわれている)
            2) 妊娠前期〜中期では減量、中止の定例をしばしぼ経験する。
          b. 妊娠前期に高血圧と診断され、初めて降圧薬を投与する場合
            アルドメットは大規模、長期コントロ−ルで安全性と有効性が完璧に
            確認されている。
            β遮断剤の安全性は、妊娠後期ではほぼ確認されているが、妊娠早期
            には胎児の発育遅延が言われている。
            Ca拮抗剤は、動物では催奇形性が報告されており、ヒトでは明らかで
            ない。妊娠初期に降圧のためにCa括抗剤は普通は使用しない。
     (8)ホルモン・抗ホルモン剤
          a. 甲状腺ホルモン:チラージン
               甲状腺低下症に対して妊娠中に使用される。一般の血中濃度では胎盤
             を通過しないとされているが、妊娠初期の投与症例では、心奇形、ダウ
             ン症、多指症が報告されている。しかし甲状腺機能低下症では流産など
             も多く、本剤と奇形との関連性は低いと思われる。
          b. 抗甲状腺剤
          1) メルカゾール
                   甲状腺腫、甲状腺機能抑制などの可能性があり妊娠中の投与は
                 安全性は確立していない。妊婦には、用量を注意して、できるだけ
                 少量投与に止める。
          2) プロパジール
                   甲状腺腫、甲状腺機能抑制などの可能性があり、投与中は妊娠
                   しないように指導する。
                   妊婦に止むえず投与した場合は、用量に注意しできるだけ少量に
                   止める。
                   メルカゾールに比ベプロパジールの方が胎盤通過性が低く胎児へ
                   の影響が少ない。いずれの薬剤も出産後、新生児に機能亢進症が起
                   るおそれがある。
          c. 副腎皮質ホルモン:プレドニン
               動物実験では催奇形性が報告されており、新生児に腎不全のおそれが
               ある。妊婦には強い必要性がある場合のみ投与する。
               妊娠中に投与された例は多く、胎児の発達への影響はほとんどない。
               これまでの知見から妊婦の種々の疾患の治療に使用することは問題ない
               と考えられる。リンデロンも同様に考えて良いと考える。
       <東海大学、岩崎先生>
                 妊娠の時期を問わず、2.5~60mg/日の投与を経験しているが異常の
                 症例はない。
          d. エストロゲン
            更年期障害、卵巣機能不全などに用いられるが、妊娠中は禁忌である。
            心血管系奇形、目や耳の異常、ダウン症の増加が報告されている。
          e. プロゲステロン
            妊娠初期に服用すると、エストロゲン同様種々の奇形が認められてい
             る。
    (9)糖尿病治療薬
          妊婦への経口糖尿病薬の投与は、胎児の高インスリン血症、低血糖を生
          じること、また催奇形性も否定されていない、禁忌とされている。
          インスリン療法が唯−と云つて良い。−般にインスリン強化療法がとら
          れる。
    (10)抗菌薬
          抗菌剤は、比較的に胎盤を通過し、20〜40%が胎児に移行する。
          妊娠3〜12週ごろまでは、特に薬剤の選択には注意を要する。
          1) βラクタム:第一還択として使用される。
             (βラクタムでは注射を適宜使用し、早期に治療効果を上げるこ
              とを目標とする)。
          2) マクロライド:第一選択として使用される。
          3) ニューキノロン:安全性の面から原則として使用しない。
          4) アミノ配糖体:腎機能低下、神経障害があり妊娠初期には使用し
                   ない。
          5) テトラサイクリン:急性の肝障害、骨組織への沈着などがあり避
                   けるべきと考えられる。
     <虎の門:妊娠と薬>
          6) バクシダール:胎児や母体の安全を確かめた報告はない。また
                   有害性の報告もない。
            マウス・ラット・ウサギの器官形成期の試験で500mg/kg
                      まで投与したが催奇形性は認められていない。
          7) グリセオフルビン:FDAの調査で2万例以上のうち2例にシャム
                       双生児が発生していることが判明した。本剤との因果関係を認
                       めている。
    (11)抗ウイルス剤
       <東海大学、岩崎先生>
            やむをえない場合以外は控えたほうが良いと考える。ほとんどが新薬
     であり動物実験のデーターだけでは不十分である。
    (12)抗血栓・抗血小板・抗凝固薬
         a. ワーファリン
           胎整を容易に通過するうえ、催奇形性があるとされている。服用妊婦
           の流産率は30〜40%と高く、子宮内胎児死亡も稀ではない。
         b. ヘパリン
           分子量 3000〜30000と大きく、陰性電荷をもつ。従って胎盤通過がな
           い。胎児への影響を考えないで使用できる。







グレイ(Gy)とシーベルト(Sv)について
 1.定義:放射線の量は、物質に吸収された放射線のエネルギー量(放射線の、物質
      中でのエネルギー損失)で表され、物質1キログラムあたりに1Jouleのエネ
      ルギーが吸収される場合を、1Gyと定義する(1 Gy=1 J/ Kg)。
 2.シーベルト(Sv):人体が放射線を浴びたとき、放射線の吸収量が同じでも、
            放射線の種類や放射線を浴びた臓器によって生物学的な影響
            が違う。このような生物学的な効果の違いを考慮に入れて実
            効的に定められた単位が Sv(実効等量線量)。昔の単位のレム
            (=REM、radiation equivalent for men) のMKSA単位系での対応物。
     ※注釈1:中性子線量が多いときはGyの割にSvが高くなる。こういうときは
           推定放射線量が8〜13 Gyと言うことであればそれよりもかなり高いSv値になる。
     ※注釈2:生物学的な効果といっても何も大げさなことではなく、X線、ガ
           ンマ線、電子線(ベータ線)などでは、Sv = Gy で、どちらでも
           数字は同じ。SvとGyとが違うのは重粒子線の場合。しかし重粒子
           線(アルファ線など)というのは、いわゆるdE/dx(阻止能)が
           大きいので、よほどどでないと体の表面で止まってしまいます
           (あるいは空気中も殆んど飛べないくらい)。
           原子力関係ではおそらく、ガンマ線による被爆が一番多いだろう。
           この場合、Sv =Gy。また上記の量的な評価は全身に外から一様に被爆した場合。







◎分娩後頭痛の型と原因(NEJM 2009;360:1129)
  1. Primary headache disorders
  1) Migraine
  2) Tension-type headache
  3) Primary thunderclap headache
  2. Causes of secondary headaches
  1) Postdural puncture headache
  2) Embolic stroke
  3) Carotid- or vertebral-artery dissection
  4) Aneurysmal subarachnoid hemorrhage
  5) Parenchymal brain hemorrhage
  6) Cerebral venous sinus thrombosis
  7) Meningitis, encephalitis
  8) Pituitary disorders
   (e.g., pituitary apoplexy or the Sheehan syndrome)
  9) Postpartum preeclampsia and eclampsia
  10) Reversible posterior encephalopathy syndrome
  11) postpartum angiopathy
   (a reversible cerebral vasoconstriction syndrome)
  12) Coincidental conditions
   (e.g., cerebral vasculitis or brain tumor)