ちょっと気付かぬ重要症候

◇【剖検から得た臨床への提言】(NIS 2005:No.4213(H17/1/22))
●画像診断の発達は非正診率を下げていることを予想したが、結論は予想に反した結果と
 なった(p.42)。
  1) 臨床所見をしっかりとる
  2) 絶えず重複癌を疑え(胸部CTを)
  3) 内分泌腫瘍を見落とすな
  4) 肺腫瘍をみたら全身検索をして原発巣を探せ
  5) 胸部異常影は病理診断(気管支鏡・経皮肺生検)を
  6) 結核の存在を忘れるな
  7) 不明癌には大腸内視鏡を
  8) 生検結果を鵜呑みにしない
  9) 心筋梗塞を単純に考えるな
  10) ショック例は大動脈瘤を疑え
  11) 到着時死亡(CPAOA)も諦めるな
  12) 検査技術の発達は正診率を上げているとは限らない
  (東京慈恵会医科大学内科学講座などより)

◇センチネルリンパ節理論
  腫瘍から最初にリンパ流が到達するリンパ節(センチネルリンパ節)に最初に転移が
 生じるというもの。悪性黒色腫や乳癌では妥当とされている。

◇肺の結節影は非常に大事。奇形、感染症(Tbc、真菌症、サルコイドーシ ス(1970年代
 よりアクネ菌(Propionibacterium acnes)が注目されている)などからリンパ腫、悪性
 腫瘍(原発、転移)、良性腫瘍まで非常に多くの原因がある。over diagnosisから不必
 要な切除に至らないように十分に原因を見極めること。(●画像診断は全くアテになら
 ないことを再確認しておく)。

◇限局性の横隔膜挙上は腹腔内病変(肝臓癌、肝膿瘍など)も考慮する。

◇発熱、原因不明な熱について
 ・特に乳幼児の原因不明な熱については必ず薬物中毒・誤嚥・大量投与も考慮する。
  (カフェイン,コカイン,モノアミン,レセルピン,サリチル酸中毒,覚醒剤など)

◇1リットルの発汗で580Calの熱量を失う。

◇原因不明のCRP陽性は、リンパ腫、サルコイドーシス、高コレステロール血症、喫煙加齢
 変化、アルコール多飲なども考慮(ただし徹底的に炎症性変化を追求)。

◇食欲不振、体重減少において、特に「病識がある」場合は徹底的に原因究明する。必ず
 器質的疾患の存在の有無を追求しなければならない。

◇不定愁訴、原因の明確でない頭痛、軽いボケ、うつ状態、脱力感、倦怠感などに対して
 は、必ず甲状腺機能を調べること。

◇歯痛:一度は狭心症、心筋梗塞を考慮する。

◇免疫機能が障害された患者の舌の側面の白い病変はoral hairly leucoplakia(OHL)
 でEBウイルスが原因。HIV感染者でOHLを認めたらAIDSに進行しやすい。

◇心窩部痛:回盲部の病巣も考える。肝機能を絶対調べておくこと。その真裏の脊椎の痛
 みまで考慮に入れて、脊椎の圧痛、打痛も調べる。(同時に同部またはその周囲に圧痛
 があるかどうかは鑑別診断に重要)
  ※突然の心窩部痛、心窩部鈍痛、心窩部不快感はまず胆石とその胆管 、胆嚢管への
   嵌頓を考える。また背部痛がなくても膵炎まで想起する。
  ※狭心症、心筋梗塞、心筋炎、感染性心内膜炎など心疾患も考慮

◇腹痛:常に虫垂炎を考える。若い女性のクラミジア感染症(卵管炎さらに上行感染して
 肝周囲炎)も。腹痛の部位を考慮しないこと(膿瘍・炎症の波及)。ひどい糖尿病で
 腹痛が主訴のことがある。
  ※下腹部痛:女性では必ず婦人科疾患を想起する。
  ※狭心症、心筋梗塞、心筋炎、感染性心内膜炎など心疾患も考慮
◇四肢しびれ感・全身脱力感:肺癌(Eaton-Lambert syndrome)Guillain-Barre syndrome
 など末梢神経障害 も考える。甲状腺機能を調べる。
  ※急な違和感やしびれ感の到来に冷汗を伴ったら循環器系異常(解離性大動脈瘤や軽い
   くも膜下出血、狭心症、心筋梗塞、肺梗塞など)も考慮。

◇肩こり・肩頚部痛:胆嚢〜胆道系疾患・膵臓・腎臓の検索
 狭心症、心筋梗塞、心筋炎・感染性心内膜炎も考慮
  ※肩甲骨内側の痛みは、筋肉の凝りだと思っても必ず腎臓癌の存在を考慮する。
  ※肝門部〜肝内胆管のCCCでも右季肋部痛、右胸痛、肩こり、背部痛を訴える。

◇肩頚腰背部痛:悪性腫瘍の転移、肺・甲状腺・膵臓・腎臓・前立腺の検索、解離性大動脈
 瘤(体位により痛みが変化することあり) も考える。さらに脊椎炎、脊椎骨髄炎、脊髄
 腫瘍、MMなども考慮 。(熱の有無は問わない。化膿性・結核性なども考慮。)
 ※狭心症、心筋梗塞、心筋炎、感染性心内膜炎など心疾患も考慮
◇頚部腫瘤では動脈瘤も考慮する。とても硬いことがある。発熱の有無は問わない。

◇背部痛:どんな痛みでも悪性腫瘍の存在を疑うこと。急激に発症したものは尿管結石(激
 しい痛み)をまず考慮。腹部解離性大動脈瘤、狭心症、心筋梗塞も念頭におく。
 胆石--->総胆管への嵌頓--->膵炎、胆管炎合併も考慮

◇糖尿:膵臓癌の可能性

◇不可解な痛み:帯状疱疹(時に悪性腫瘍の存在)もムンテラに加える。
 ※帯状疱疹:水痘に罹ったあと、ウイルスが三叉神経節や脊髄神経節 に潜んでいて、
  何かのきっかけで発症。皮疹出現前に診断不能、感染するが帯状疱疹から帯状疱疹に
  はならない。帯状疱疹後神経 痛は予測できないし予防できない、悪性腫瘍の全身検
  索は不必要 。(H19/5/22、医師会講演 会より)

◇ネフローゼ症候群(成人):1/10に悪性腫瘍の存在(30~50%は血液疾患、0.5%は肺癌)
 ※成人のネフローゼ症候群の原因(NEJM 2005;352:2115)
  1. 腎疾患
   微小変化群、原発性巣状(faocal or segmental)糸球体硬化症、続発性巣状
   糸球体硬化症、ショック腎(Collapsing glomerulopathy)膜性腎症、膜性増
   殖性糸球体腎炎、IgA腎症、Fibrillary and immunotactoid glomerulopathies
   2. 全身性疾患
      SLE、糖尿病、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、癌、鎌状貧血、アミロイドーシス、
      Light-chain- and heavy-chain-deposition disease、マラリア、住血吸虫症、
      梅毒
   ※多量の蛋白を含んだ尿は排尿後"foamy"(泡立つ)ように見える。

◇眼球震盪・不随意運動運動等CNS症状:例えば神経芽細胞腫の様な悪 性腫瘍の非転移
 性CNS症候(傍悪性 腫瘍症候群)

◇狭心痛・前胸部痛(不快感):食道癌、胃癌(噴門・弓隆部)、脳血管 障害も考える。

◇胸やけ・前胸部灼熱感:心筋梗塞も考える。

◇胸痛:特発性縦隔気腫も考えて慎重に胸部レ線を読影する。この場合の胸痛の痛みの程度
 は体位によりかなり変化。
  ※さらに脊椎炎、脊椎骨髄炎、脊髄腫瘍、骨髄腫なども考慮。(熱の有無は問わない。
   化膿性・結核性なども考慮)。
  ※胸痛、胸部レ線画像の異常(胸水)が主訴の胆管癌がある。
  ※右季肋部痛〜胸痛があれば、肝〜胆道〜膵臓を中心とした腹腔内臓器の疾患も考慮。

◇高血圧:腎臓癌、副腎癌も考える。(特に治療抵抗性の高血圧に注目)

◇大腿部痛・鼠徑部痛:閉鎖孔ヘルニア、後腹膜腫瘍、腸腰筋膿瘍、骨髄炎等

◇心電図異常:脳血管障害(特に、くも膜下出血)も考える。

◇肺水腫:脳血管障害、脳挫傷も考える。

◇貧血において以下の定型的考慮が必要
 ・MCVが大きければ(大赤血球)必ず何か病態がある:肝疾患、血液疾患、薬剤による核酸
  合成阻害など。
    <大球性貧血(MCV>100)鑑別のアルゴリズム>(H19.4.19福山内科会)
      ○大球性正色素性貧血(MCV>100、MCHC:30〜35g/dl)
        1. VB12低値
         1) 抗内因子抗体(+):悪性貧血
         2) 抗内因子抗体(-):その他のVB12欠乏症
        2. 葉酸低値:葉酸欠乏症
        3. 巨赤芽球増加(VB12、葉酸が正常):その他の巨赤芽球貧血
        4. 網赤血球増加
         1) 溶血性貧血
         2) 出血による貧血
        5. 肝障害、その他
 ・MCVが小さい(小球性貧血)場合は鉄欠乏性貧血、慢性炎症、サラセミアを考慮
    <小球性貧血(MCV<80)鑑別のアルゴリズム>(H19.4.19福山内科会 )
      ○小球性正色素性貧血(MCV<80、MCHC:<30g/dl)
        1. 血清Fe低値・TIBC増加・フェリチン低下:鉄欠乏性貧血
        2. 血清Fe低値・TIBC↑↑:無トランスフェリン血症
        3. 血清Fe正常ないし軽度増加・TIBC正常ないし軽度低下
         1) 鉄芽球性貧血
      2) サラセミア
      サラセミア・インデックス(= MCV/RBC * 100万)が13を下回
      るとサラセミアの可能性が高くなる。
    4. 血清Fe低下ないし正常・TIBC低下ないし正常:二次性貧血
 ・正球性貧血(MCV:80〜100)鑑別のアルゴリズム(H19.4.19福山内科会)
      ○正球性正色素性貧血(MCV<80、MCHC:30〜35g/dl)
    1. 末梢血への芽球出現:急性白血病(あるいはMDS)
    2. 汎血球減少
     1) 再生不良性貧血
     2) 赤血球形態異常:MDS
    3. 網赤血球増加
     1) Hamテスト(+):発作性夜間血色素貧血
     2) Cooms(+):自己免疫性溶血性貧血
     3) 赤血球形態異常:遺伝性球状赤血球症
     4) 出血(+):急性出血
 ・網状赤血球低値:再生不良性貧血、赤芽球癆、ウイルス・薬剤性の造血障害など

 ※後天性赤芽球癆の鑑別診断(NEJM 2007;357:1749)
  a. 薬物:最も多いのはフェニトイン
  b. 感染:パルボウイルスB19、mumps、肝炎ウイルス、EBウイルス、HIV(稀)
  c. 悪性新生物:非ホジキンリンパ腫、胸腺腫、ホジキンリンパ腫(稀)
  d. 骨髄異型性症候群(MDS)
  e. 自己免疫疾患
  f. 妊娠
  g. ABO血液型不適合性同種間骨髄移植
  h. 特発性・原因不明(これが約50%を占める)
  ・フラグメント(+):血管内溶血(DIC,TTP/HUS,MAHA,TMAなど)
  ・慢性貧血:痔出血を患者は言わない。
   悪性リンパ腫の可能性(リンパ節腫脹を探す)
 ※寝たきり老人のやや急な貧血では逆流性食道炎も考慮する。またカテーテルや胃
   ろう栄養の患者では胃潰瘍-->失血-->貧血も考慮する。

◇多血症鑑別のアルゴリズム(H19.4.19福山内科会)
○多血症
 1. 脱水あり:相対的多血症(熱傷、嘔吐・下痢、発汗など)
 2. 脱水なし
  1) 血漿エリスロポエチンの増加あり
   a. SpO2低下あり:高値居住、呼吸器疾患、チアノーゼ型心疾患
   b. SpO2低下なし:腎疾患、エリスロポエチン産生腫瘍、内分泌疾患、
        異常ヘモグロビン症
    2) 血漿エリスロポエチンの増加なし
      a. 循環赤血球量増加あり:真正多血症、エリスロポエチン受容体異常
      b. 循環赤血球量増加なし:ストレス多血症

◇血小板増加または減少鑑別のアルゴリズム(H19.4.19福山内科会)
○血小板減少症
  1. 脾腫あり
    1) 骨髄異常:白血病、悪性リンパ腫
    2) 骨髄正常:肝硬変、門脈圧亢進症
  2. 脾腫なし
    1) 骨髄異常:再生不良性貧血、骨髄線維症、癌の骨髄転移
    2) 骨髄正常:ITP、DIC、TTP、HUS
○血小板増多症
  1. 出血症状あり
    1) 骨髄異常:CML、特発性骨髄線維症
    2) 骨髄正常:出血後のリバウンド
  2. 出血症状なし
    1) 骨髄異常:本態性血小板血症、真正多血症、鉄欠乏性貧血
    2) 骨髄正常:化学療法後のリバウンド、悪性貧血・葉酸欠乏性貧血治療開始
          後のリバウンド

◇汎血球減少とは(随所で値がちがうが概ね以下の値と考えておく)
  Hb:7.0g/dl以下・WBC:1500/μl以下(好中球は1000/μl以下)・Pt:50000/μl以下

◇不正性器出血(自覚的):婦人科で異常なければ消化管や尿路系を考える
 (患者は尿路からの出血を間違えていることもある。)

◇頑固な湿疹・皮疹:Leser-Trelat 兆候。
  多発性筋炎・皮膚筋炎に合併するinternal malignancyに注意。
  降圧剤ニフェジピンは頑固な皮疹を生ずることがあるので注意。
  ※皮疹:全身疾患の皮膚症状かも(Hystiocytosis-X・LCH等)しれない。

◇手掌・足底部が橙色(カロチン色)になる:代謝の低下、甲状腺機能低下、神経性
  食欲不振症などで見られる(かぼちゃ・にんじん・みかんの食べ過ぎに注意)。

◇頑固に続く喘息発作:そば穀の使用の有無をかならず聞くこと。

◇原因不明の咳や発作性の咳:気管内異物、食道癌も考慮。嚥下性気管支炎・肺炎、
 逆流性食道炎、ACE阻害剤の副作用も考慮。

◇大腿の付け根が痛くて足が伸ばせぬ:閉鎖孔ヘルニア、Psoas signも考える。

◇倦怠感・眩暈・頭重感・食欲不振等自律神経症候のみ:糖尿病、代謝異常、中毒等
 アルコール多飲、精神的ストレスなど。また甲状腺機能を調べる。

◇倦怠感のみ:大動脈弁疾患、僧帽弁疾患、肺気腫(COLD)を考える。
 念の為甲状腺機能、副腎機能、下垂体機能も調べる。低血糖も考える。

◇下腿浮腫:骨盤内腫瘍、後腹膜腫瘍も考える。

◇のどが詰まる・嚥下時の不快感:噴門〜fornixの胃癌。食道癌。

◇喉の痛み:亜急性甲状腺炎を疑う。(意外と多い)

◇嗅覚脱失:カプトリルなど薬物副作用を考える。

◇異臭症・悪臭症:てんかん性の嗅覚異常発作を考えて、バルプロ酸などの抗痙攣剤の
 投与を試みる価値がある。

◇頭痛:緑内障を見逃さない(嘔吐も伴うことあり)。甲状腺機能検査も。

◇原因不明の全身痙攣:アミノグリコシド系抗生剤、NSAID+ニューキノロン等、薬物の
 副作用を考える。

◇興奮状態:錯乱・興奮状態でも低血糖の可能性を考える。

◇原因不明の嘔吐:低ナトリウム血症も考慮。

◇光視症・飛蚊症:網膜剥離を考える(次いで視野欠損を呈する)。霧視にも注目。
 (光視症:目が光でピカッと輝いた様に見える状態)

◇元々便秘気味の人が、突然下痢した時:下痢の原因が何であろうとColonの検査をする。
 結腸癌の可能性を否定出来ない。

◇下肢がだるい、体が弱くなった、力が萎えた:ALSなど神経変性症も考慮。
 末梢神経炎(障害、例えばギラン・バレー)や甲状腺機能低下も考慮。

◇嗄声:呼吸障害に伴う種々の疾患も考える。
     呼吸筋を萎縮させる病態(ALS、myelopathy、肺気腫など)も考慮。

◇霧視、羞明、飛蚊症さらに続発緑内障、続発白内障:サルコイドーシスの可能性。

◇鬱病・鬱状態:特に鬱を起こす原因が不明の場合膵癌も考慮する。
  甲状腺機能を必ず調べること。血糖も調べること。
  SLEを見逃さない。
  薬剤による鬱病・鬱状態、特に抗鬱剤でも鬱になる可能 性あり。(inf-α、ステロ
  イド、アルドメット、インデラール、シメチジン、アルコール、プリンペランなど)

◇軽い意識障害(痴呆・見当識障害):甲状腺機能低下、低血糖、下垂体機能低下
 アジソン病ほか内分泌系疾患も考慮

◇痴呆・認知症の見逃し易い徴候について
  物忘れについて訴えない(物忘れを忘れている)。本人と家族の話が全く違う。嘘や
 言い訳で取り繕う。家族の返答を頼りにする振り向き動作。楽観的雰囲気がある。(う
 つ病との鑑別が難しい)。

◇脳血管障害に関して
 ○若い婦人の脳梗塞は経口避妊薬服用について考慮。
 ○脳梗塞ではホモチスチン尿症、抗リン脂質抗体症候群、膠原病、ベーチェット病も考慮。
 ○脳出血ではアミロイドーシス、白血病、ITP、抗凝固療法なども考慮。
 ○頭痛は軽度でも(特に突発している場合には)くも膜下出血に注意。
 ○めまいが脳幹梗塞の初発症状のことがある。
 ○めまい・嘔吐は小脳梗塞を考える。
 ○脳卒中を考えた時は、必ず唾液を飲み込ませて嚥下障害障害の有無を確かめる。
 ○舌や口の周囲のしびれはラクナ梗塞を考える。
 ○口の周囲と手掌に限局する知覚障害は視床の病変を考える(非常に稀)。
 ○複視があれば脳幹や内頚動脈閉塞についても考慮する。
 ○声や発音で病変を推定する。
  ・パ行の発音が出来ない:顔面神経麻痺(前額筋が障害されて眉の上方移動で額に皺
   ができないのは末梢性(核下性)顔面 神経麻痺)
  ・ラ行(サ・タ・ナ行)の発音が出来ない:舌下神経またはその末梢の麻痺
  ・声が鼻に抜ける:迷走神経麻痺
  ・開口不全:三叉神経麻痺
 ○呼吸状態による部位の推定。
  ・Chayne-Stokes呼吸:皮質下病変、間脳の病変
  ・過呼吸、頻呼吸:橋、中脳の病変
  ・失調性の乱れた呼吸:延髄の病変
 ○眼球の上で聴診して強い血管雑音が聴かれたら同側内頚動脈の閉塞
 ○monoplegia(単麻痺)、paraplegia(対麻痺)では先ずは脳血管障害を考えない。た
  だし大脳皮質運動領域の限局性病変ではmonoplegiaを来す。
  ・中心前回(運動領)腫瘍は、脱落症状としては単麻痺、刺激症状としてはJackson
   てんかんで発症するから部位診断は容易である。中心旁小葉損傷(旁矢状髄膜腫が
   多い)は初め末梢性腓骨神経麻痺のような症状を呈する。
 ○瞳孔
  ・両側散瞳:アルコール中毒、重症低酸素血症、バルビツール酸系薬剤中毒
        アンフェタミン中毒、アトロピン中毒
  ・両側縮瞳:ヘロイン中毒、モルヒネ中毒、有機リン中毒、視床病変、中心性
        ヘルニアの初期、橋出血(pinpoint pupil)
  ・一側散瞳+対光反射消失:障害側の動眼神経麻痺(鉤ヘルニア、脳動脈瘤破裂
               、中脳障害)
  ・一側縮瞳+眼瞼下垂+発汗低下:Horner症候群
 ○視野障害と病変(患者あるいは家族が”眼が見えにくい”と言ったら後頭葉の病変も
  考える)
  ・一側全視野欠損:視神経障害
  ・同名性半盲:視野の同じ側が同時に障害される。視交差より上位の病変同名性上
   1/4半盲は視放線が側脳室側頭角を迂回する部分の障害視放線〜鳥距野皮質では
   黄斑部回避を示すが、視索部では黄斑部回避を示さない。(右同名性半盲なら左脳
   の病変)
  ・両耳側性半盲:視交差の障害。視交差の下方よりの圧迫では両耳側性上1/4半盲と
   なる。また視交差の上方よりの圧迫では両耳側性 下1/4半盲
  ※視覚路障害部位と視野欠損(内科2007増大号、Vol.99、No.6、p.976)
    左視束:左眼全盲
    視交叉部左外側からの圧迫:左側接合部暗点・右側1/4盲
    視交叉部:両耳側半盲(特に下垂体腫瘍)
    左視索:右側同名性半盲
    左視放線の下方線維:右側上1/4盲
    左視放線の上方線維:右側下1/4盲
    左後頭葉:右側同名性半盲
  ・中心暗点(時に小視症や変視症を伴う)
    片側中心暗点では中心性漿液性脈絡網膜症、網膜静脈(分岐)閉塞症、黄斑部
   変性症、黄斑部網膜剥離など眼科疾患を考える。
    両側の暗点拡大は頭蓋内圧亢進(脳腫瘍・水頭症・悪性高血圧)を考える。
   石津暗点(盲斑中心暗点)では軸性視神経炎・球後視神経炎・視神経内膠細胞腫・
   脚気・中毒性多発性神経炎などを考える。
 ○眼球の偏位による病変の特定(病変部の正常機能が障害されたとして考える)
  ・斜偏位(例:右眼球は下内側へ、左は上外方へ)は橋の病変、位置は下内側偏位を
   とった側である(この例では橋右側の病変)。一般に後頭蓋窩の病変で微小梗塞、
   脳幹梗塞、橋出血、小脳出血を考える.斜偏位では上下斜視を来し垂直性の複視を
   訴えるが、「焦点があわない感じ」とか「ブレてみえる」などと訴える。眼科で
   確認する。
  ・共同偏視:被殻出血では病巣をにらむ様に偏視(左被殻出血( ・)( ・)。瞳孔は
   普通大で対光反射正常)。小脳出血や視床出血では健側をにらむ(瞳孔は縮小ま
   たは不同)。
  ・水平性:偏位側のfrontal eye fieldから対側の橋のPPRF(paramedian pontine
   reticular formation)までの経路の障害で、天幕上の破壊性病変では病巣側へ
   天幕下では健側に偏位するこ とが多いが、痙攣発作など刺激性病変では反対に偏位。
  ・垂直性(下向き):脳幹被蓋部の圧迫によるものがおおいが、肝性昏睡など代謝性
   昏睡でも生じる。視床出血が中脳へ伸展すると内下方へ偏位。
  ・垂直性(上向き):痙攣、Cheyne-Stokes呼吸の無呼吸時、脳幹 虚血、脳炎、
   小脳虫部の出血
 ・内下方偏視(両目が鼻先を見る様に偏視):視床出血(瞳孔は縮小 )( .)(. )
 ・眼球の正中位固定+縮瞳:橋出血( . )( . )。
 ・眼球震盪:小脳出血、椎骨脳底動脈循環不全
 ・周期性眼球垂直運動:橋出血、(小脳出血)
 ・片眼の外下方偏位:動眼神経障害
 ・片眼の内方偏位:外転神経障害(頭蓋内圧亢進でも生じ、局在的意義はない)
 ・四肢、顔面に動きがない状態で自発的で意図的な眼球運動:閉じ込め症候群、緊張症、
  偽昏睡、植物状態
 ・眼球彷徨(眼球が左右にうろつく(roving eye movement)):眼球運動に関する
  神経核(動眼、滑車、外転)と各神経核間の線維連絡が保たれ脳幹機能が比較的保持
  されていることを示す。大脳半球の障害、両側天幕上病変、代謝異常、中毒など。
 ・眼球浮き運動(ocular bobbing、両眼が急速に下方に偏位し、ゆっくり正常に戻る
  動き):脳幹(特に橋)の障害時にみられる(橋出血、橋梗塞、小脳出血)
 ・”人形の目”現象
  脳幹障害がなければ頭を急速に上下左右に動かすと眼球はその運動方向と反対方向
  に動く。このような眼球運動を人形の眼現象という。人形の目現象が消失し、頭部と
  ともに眼球が動けば、脳幹や中脳の障害を示唆する。
  脳死を判定するためには、全ての脳幹の反応が消失していることを確認しなければ
  ならない。脳幹反応検査には人形の眼運動(眼球頭反射)のほかに対光反射、角膜反
  射、毛様脊髄反射、咳反射、前庭反射、咽頭反射等があり、全て消失していることが
  脳死の条件となる。ただし、意識のない外傷患者で頸椎損傷が否定できない場合に、
  脳幹の機能を評価するために安易にこの検査をおこなうと頸髄損傷を悪化させる可能
  性があるの で注意を要する。
 ○舌下神経麻痺:舌を前方に突き出すと麻痺側に偏位。両側麻痺では突き出しができない。
 ○舌咽・迷走神経障害:開口して「アー」と発音させる。健側の口蓋帆のみ挙上して
  口蓋垂の健側への偏位、咽頭後壁の健側への偏位あり。両側麻痺は動きが少なくむせる。
 ○味覚脱失(ageusia):舌前方2/3の味覚脱失は鼓索または膝神経節(顔面神経)の
  障害によって起こる。舌の後方1/3は舌咽神経の障害によって起こる。孤束およびその
  核の障害は一側の味覚脱失を生ずる。橋の中央部近くの障害は両側味覚路の破壊のた
  め味覚脱失を起こす。(奥村二吉「神経病の検査と診断」、pp.34-36より)

◇血液化学検査等の異常に関して
 ・ALPのみ高値:甲状腺機能亢進症を考える。
 ・CPKとLDHが高い時、その原因が説明できない時は甲状腺機能低下症や薬物の影響を考
  える。
 ・ZTTが高かったら:肝炎マーカーを必ず調べる。
 ・異常高Na血症(hypernatremia)をみたときESR測定時クエン酸Naが混入するとZTTが
  低下して血清Na値が著明に増加、血清Cl値とのバランスが悪くなる。
 ・原因不明のCRP陽性:悪性リンパ腫の可能性。サルコイドーシスの可能性
 ・ASLO(ASO)が非常に高値(10000倍以上)のときは骨髄腫を考える。
 ・高コレステロール血症:甲状腺機能低下症も考えておく。
  薬物等でコントロール不良の高コレステロール血症では甲状腺機能を必ずチェック。
 ・説明困難な血液化学検査等の思わぬ変化は、どんなに些細なものであってもその原因
  について考え抜くべきである。
  ※例えばγ-GTP、あるいはLAPのただ一つの軽度上昇は、胆道系の悪性腫瘍の存在に
  まで思い至るべきである。
 ・APTT単独延長は臨床的にはヘパリンの使用を考えるが、抗リン脂質抗体症候群(APS)
  に気づかなければならない。
    APTT単独延長し外因系(III・IV・VII・X・V)凝固異常がないとき、患者血漿と
   健常人血漿とを混和するmixing testにより、LA(lupus anticoaglant)と凝固因子欠乏
   を区別。次いで抗CL(cardiolipin)抗体とLAを検査して、抗CL抗体とLAの二種類の抗
   リン脂質抗体を検出。
  ・ANA(抗核抗体):80倍では健常者でも50%が陽性。160倍で約10%が 陽性。
    ※陽性率(日内雑誌 2003;92:1922)
     ・SLE:97%
     ・Screloderma:83%
     ・PM/DM:55%
     ・MCTD:99%
     ・Sjogren:76%
     ・RA:41%
     ・RF(リウマトイド因子):健常者でも2%程度陽性。RA患者でも20~30%は陰性。
     慢性肝疾患、SBE、肺線維症などで陽性。高齢になるに連れて陽性率が上がる傾向
         ------------------------------------------------
    ※関節リウマチ以外でRF(リウマトイド因子)が陽性になる疾患(日内雑誌
                                  
2003;92:1918)
     1)膠原病:SLE、PSS、PM/DM、PN、Sjogren、MCTD、Behcet
     2)肝疾患:慢性肝炎、肝硬変、HCC
     3)感染症
       a)細菌性:感染性心内膜炎、Tbc、梅毒、らい
       b)ウイルス:風疹、インフルエンザ、EB、HIV、サイトメガロ
       c)寄生虫
     4)その他:Sarcoidosis、悪性腫瘍、間質性肺炎、混合性クリオグロブリン血症、
          高γ-gl血症性紫斑病
・eGFR(推定式によるGFRの計算)
    ※推定式=[(140 - 年齢)× BW(kg)/(72 × Cr(mg/dl))]× 0.85(女性)
      病期
      1期 90>
      2期 60〜89 (軽症)
      3期 30〜59 (中等症)
      4期 15〜29
      5期 <15
         ------------------------------------------------

◇胸部単純レ(X)線画像の異常について
 ・胸水をはじめ胸部単純レ(X)線画像の異常の存在は常に全身の疾患について考慮しな
  ければならない。特に腹腔臓器の異常にその原因を求めることをも怠ってはならない。
 ・胸部仰臥位レ線写真では、心縦隔影が15~20%増大するため、CTRは60%まで正常範囲とす
  る。また肺血管影が上肺野でもかなり拡大してみられるようになる。胸水や気胸は仰臥
  位写真ではほとんど見えなくなる。(この項、NIS、No.4063(H14/3/9)、P113 より)

◇悪性リンパ腫・慢性リンパ性白血病・マクログロブリン血症・骨髄腫はまったく別々の病
 気というより、B-lymphocyteの分化の一連の流れのなかの何処で腫瘍化したかによって決
 まる疾患と考えるほうがよい。

◇褥創の初期にはコムフィール・アルカスがよく効くらしい(H14/12/2、伝聞)

◇緊急避妊ピル:エチニルエストラジオール0.05mg+ノルゲストレル0.5mg を含有する中用
 量ホルモン剤(ドオルトンまたはプラノバール)を72時間以内にできるだけ早く2T服用し、
 その12時間のちにさらに2T服用する(喫煙者、35歳以上等は血栓症に注意)。悪心、嘔吐、
 腹痛などの副作用が55%程度ある。効果があれば、通常10日前後に出血をみるが20日を越
 えて出血をみない場合 は妊娠している可能性がある。
                     (NIS
2005;4247(H17/9/17)、pp.125-126)
◇イボ(疣贅):パピローマウイルスによる。--->治療は液体窒素による凍結療法。
  鑑別:にきび、鶏眼(出血・黒点なし、同心円状の模様あり)

◇固形癌の骨転移の痛みにメタストロン(89Sr)またはビスフォスフォネートを。

◇妊娠を望む婦人・可能性のある婦人は神経管閉鎖障害(無脳症・脳瘤・ 二分脊椎など)
 のリスク軽減のため、葉酸0.4mg/日の摂取が望ましい。(『日本人の食事摂取基準2005年
 度版』、NIS 2008;No.4405(H20/9/27):65-69などより)

◇黒毛舌(Lingua villosa nigra; 舌の上に黒や茶褐色の毛様物がみられるもの、着色のみ
 の場合もある):舌乳頭の異常な角質増殖とそこに付着した細菌による色素産生。ドキシ
 サイクリンやビスマス製剤でも起きるが、C. albicansによることが多い。可能性のある
 (ドキシサイクリンなど)薬物を中止してフルコナゾールで加療する。

◇固有感覚とは
  自分の体が空間内でどのような位置にあるのかを把握する感覚のこと。アルコールを飲
 むとこの感覚が覚束なくなる。

(H21年2月26日、大幅改訂)








体質性黄疸の鑑別

  Gilbert Criglar-Najar Dubin-Johonson Rotor
I II
頻度 2 - 5%
遺伝様式 常優 常劣 常優 常劣 常劣
黄疸の程度 軽度 ↑↑↑ ↑↑ 軽度~↑
ビリルビン 非抱合型優位 非抱合型 非抱合型優位 抱合型優位 抱合型優位
BSP 試験 正常 (異常) 正常 正常 異常 (再上昇) 高度異常
ICG 試験 正常 正常 正常 正常 (異常) 高度異常
経口胆嚢造影 良好 良好 良好 不能 可能
腹腔鏡所見 正常 正常 正常 黒色肝 正常
肝組織像 正常 正常 正常 細胞内色素顆粒 正常
肝UGT * 活性 低下 欠損 著明低下 正常 正常
フェノバール 有効 無効 有効 無効 無効
予後 良好 不良 概ね良好 良好 良好
------------------------------------------------------------
その他 感染・飢餓で黄疸 光線療法
有効な治療なし
  妊娠で黄疸増強
有効な治療なし

有効な治療なし

  (注意) UGT* :UDP グルクロニルトランスフェラーゼ (ビリルビン抱合酵素)








PSA (PA) と前立腺癌 (死亡数は 4000人/年)

(1). 4ng/ml 未満は前立腺癌を否定。4 〜10未満は gray zone 。
   10以上は高率疑い。

(2). BPH・前立腺炎・前立腺手術後上昇するが、前立腺の関与しない PSA↑は
   ない。

(3). BPH では PSA は内腺という尿道周囲の過形成部分の上皮から分泌される。
   前立腺癌ではそれに刺激された正常細胞より放出される。
   (自由型 PSA/結合型PSA > 0.15 なら BPH の可能性が大きい)

(4). PSA は年齢に応じて上昇、それ故 60歳未満の正常上限を 3.0 とする。

(5). PSA でのスクリーニングで 50以上の男性から約1 〜 2% の癌が見つかる。

(6). PSA が 10未満なら多くは限局性である。








CT・MRIについて

◇CT は空気 → 脂肪 → 水 → 軟部組織 → 骨の順に白く描出される。

◇MRI
  T1 強調画像は空気・骨 → 水 → 軟部組織 → 脂肪の順に白く描出される。
  T2 強調画像は空気・骨 → 軟部組織 → 脂肪 → 水の順に白く描出される。








原因不明熱 (FUO・fever of unknown origin) について

1. 不明熱の新しい提案 : 腋下温で 37.8度以上が数回以上観察される場合。
 ※Petersdolf らは直腸温または口内温で 38.5度以上としている。
 ※小児では Pizzo らの定義では 38.5度以上が原因不明のまま 2週間以上持続。

 (1). 古典的 FUO
  1). 3週間以上持続する発熱。
  2). 外来検査・入院検査 (血液培養も含む) でも原因不明のまま。

 (2). 院内 FUO
  1). 急性疾患 (外傷・火傷・手術を含む) の為に入院した患者。
  2). 感染は入院時にはなかった
  3). 3日間の適切な検査でも原因不明

 (3). 好中球減少性 FUO
  1). 好中球が 500以下に減少、または 1 〜 2日以内に減少する直前の患者
  2). 3日間の適切な検査でも原因不明

 (4). HIV関連 FUO
  1). HIV感染患者
  2). 外来で 4週間、入院で 3日以上の発熱
  3). 3日間の適切な検査でも原因不明


2. 不明熱の原因疾患
 (1). 感染症
    膿瘍、肉芽腫 (結核等) 、血管内感染、心内膜炎、ウイルス感染、リ
    ケッチァ感染、寄生虫感染 (マラリア・トキソプラズマ等) 、真菌感染
    症

 (2). 非感染性炎症
    膠原病、肉芽腫 (サルコイドーシス・クローン等)

 (3). 腫瘍
    リンパ腫、白血病、その他の悪性腫瘍 (肝癌・腎癌等)

 (4). 薬剤

 (5). 詐病

 (6). その他 (IIP、多発性軟骨炎、ランゲルハンス細胞性組織球症等)


3. 不明熱患者の診断の進め方
 (1). 病歴の詳細な聴取 (倦怠感・食欲の有無、steroid 投与の有無、外国旅行等)

 (2). 体温表作成

 (3). 臨床所見
    皮疹・圧痛・肝脾腫・リンパ節腫脹等

 (4). 検査
    CBC・血沈・CRP・白血球分類・ (動脈血培養は既に施行)
  a. 感染症
   ・病原体分離
     尿・便・咽頭・血液・胆汁・喀啖・髄液・胸水・腹水等
   ・血清反応
     Widal 反応等
   ・画像診断
     エコー・CT・MRI で肝臓-胆道系、胸、頭部をみる。

  b. 膠原病
   ・リウマチ因子
     RAテスト・RAPA
   ・抗核抗体
     抗DNA抗体、抗Sm抗体等
   ・生検
     皮膚、筋肉等

  c. 悪性腫瘍
   ・画像診断
     エコー・CT・MRI で多種臓器を検査
   ・血管造影
   ・生検
     リンパ節、皮膚、骨髄、肝臓等

d. その他
   ・詐病・薬物等


4. その他重要事項
 a. 感染症として依然として結核が原因となっている。

 b. 最も多いのは感染症でついで悪性腫瘍、膠原病が多い。

 c. 最終的に診断不能症例が 7 〜 26% くらいある。

 d. 感染症のうち、最も多いのは呼吸器感染症 (51%) で、
   次いで尿路感染症 (23%) である。

 e. 高齢者の発熱は一日のみの発熱が多い。

 f. 臨床所見は非常に大事である。








新生児の雑音のない先天性心疾患

 a. TGV (チアノーゼ)

 b. TAPVR (呼吸困難)

 c. 肺動脈弁閉鎖 (チアノーゼ)

 d. 大動脈弓離断症 (心不全)

 e. 大動脈縮窄症








乳幼児・小児の雑音のない心疾患

 a. 川崎病後冠動脈瘤 (胸痛)
 b. 肥大型心筋症 (失神)
 c. 拡張型心筋症 (心不全)
 d. 原発性肺高血圧症 (心不全)
 e. 各種不整脈 (動悸)
 f. 各種肺動脈弁閉鎖 (チアノーゼ)
 g. アイゼンメンガー症候群 (チアノーゼ)








心タンポナーデの原因

(1). 主要原因
 a. 外傷

 b. 悪性腫瘍 (原発性及び転移性 (原発:転移 = 1:30)、angiosarcoma 等)
  ※angiosarcoma
    心原発悪性腫瘍の 1/3、男:女 = 3:1、80% は右房又は心膜原発。
    右心不全・鬱血性心不全・心膜摩擦音・胸痛・呼吸困難・hydro-
    pericardium・心タンポナーデ

  ※その他の症状
    weight loss, fever, malaise, systoric murmur, cardiomegaly
    , angina, AF,pulmonary emboli, sudden death

 c. 感染 (ウイルス・細菌)

 d. 尿毒症

 e. 心膜血腫 (hemopericardium)
   心筋梗塞後心破裂
   解離性大動脈瘤
   大動脈瘤破裂
   抗凝固薬投与

 f. 膠原病


(2). その他の原因
 a. 心臓手術後・心膜切開後症候群

 b. 心臓カテーテル検査・経静脈心臓ペーシング
 c. 心臓カテーテルアビュレーション
 d. 放射線治療

 e. 粘液水腫
 f. 心筋梗塞後症候群 (Dressler)
 g. 緊張性気心膜 (tension pneumopericardium)







失神の原因疾患

 1.Cardiac syncope
  ・Bradyarrhythmias
  ・Tachyarrhythmias
  ・Outflow-tract obstruction
  ・Failing myocardium

 2.Neurocardiogenic syncope(direct cardiac inhibition)
  ・Vasovagal syncope
  ・Carotid sinus syndrome
  ・Micturition syncope
  ・Cough syncope
  ・Emotional states

 3.Vasomotor syncope(inability to maintain peripheral vascular tone)
  ・Hypovolemia
  ・Medications
  ・Peripheral or autonomic neuropathies
  ・Peripheral vascular disease

 4.Noncardiovasculat syncope
  ・Seizure disorders
  ・Syncopal migraine
  ・Hypoglycemia
  ・Hypoxia
  ・Hyperventilation
  ・Vertigo
  ・Hysteria






脳卒中または脳卒中類似の発作を起こす疾患

 1.特に小児において
  1).Disorders of blood vessels or blood
   ・Embolism
   ・Premature atherosclerosis
   ・Vasculitis
   ・Noninflammatory forms of vasculopathy
   ・Congenital and acquired heart disease
   ・Hypercoagulable states
  2).Metabolic diseases

 2.代謝性疾患
  1).Fabry's disease
  2).Homocystinuria
  3).Organic-acid disorders
   ・Methylmaronicacidemia
   ・Propionicacidemia
   ・Isovarericacidemia
   ・Glutaricaciduria,type I and II
  4).Ornithine transcarbamylase deficiency
  5).Carbonhydrate-deficient glycoprotein syndrome
  6).Mitochondrialmyopathy,encephalopathy,lactic acidosis,and
    strokr-like episode(MELAS)






ツベルクリン反応のブースター現象のまとめ

 1.BCG接種後のツ反応は1〜2か月後に最強となり、以後は徐々に減弱して
  ゆく。

 2.したがって、BCG接種後年余を経てツ反応検査 (T1) を行うと弱い反応を
  示すものが多い。

 3.T1の1〜3週後に再びツ反応検査 (T2) を行うと、ツ反応は大きくなって
  いる。元の大きさに戻るためと考えられている。これをT1のブースター効
  果(回復効果)でブースター現象が認められたという。

 4.T2の後、ツ反応を繰り返してもそれ以上は大きくならない。

 5.T1の効果は約2年ほど残ると考えられているが、数年後には再びツ反応は
  減弱している。したがって、小学1年生時のツ反応の影響は中学1年生時
  にはなくなっており再びツ反応検査を行えばブースター現象が再び認めら
  れる。

 6.T1とT2の発赤径の差は平均8〜10mm、標準偏差は6ないし8程度であ
  る。

 7.非結核性好酸菌の感染の場合にも、ツ反応の減弱は比較的早く、したがっ
  てT2でブースター現象が認められると言われている。結核菌感染の場合で
  も長年月を経てツ反応が減弱していれば、T2でブースター現象が認められ
  る。

 8.結核病院に勤務している職員は、知らぬ間に結核菌を吸入し、これがブー
  スターとなって強いツ反応を示すことが多い。結核病院勤務者でのツ反応
  の解釈は難しいことが少なくない。







小児の片頭痛の特徴

  1. 頭の半分がズキンズキンと痛むことが多いが、ときに両側がボワーと痛むこともある
  2. 土曜日や日曜日に痛くなることは少ない
  3. 夏休みなど学校が長い間休みのときはあまり痛くならない
  4. 朝礼などで立ちくらみがすることが多い
  5. 体育の後に痛くなることが多い
  6. 母親が頭痛もちのことが多い
  7. 女の子は初潮のころから痛くなることが多い






(成人)片頭痛の特徴

  1. 発作性の頭痛であり、ひとたび出現すると2〜3日続くことが多いが間欠期はまったく正常
  2. 10歳代の発症が多く、ほとんどが30歳までに発症する
  3. 家族内に片頭痛をもつ頻度は50%以上。とくに母親より受け継ぐ頻度は70%以 上といわれる
  4. 前兆症状としては閃輝時点、視野欠損など視覚性前兆がよく知られているが、その額度は10〜20%程度
  5. 頭痛の部位は約6割が片側性だが、両側性のこともある
  6. 心拍に−致した拍動性の痛みである
  7. 悪心・嘔吐、ときに下痢などの消化器症状や光・音過敏症などの随伴症状がみられる
  8. 体動や頭位の変換により、痛みが増悪
  9. 片頭痛発作の頻度は、ときに年1〜2回のこともあれば、多い場合は週3〜4回のこともある
  10. 睡眠過多や睡眠不足、ストレスなどの精神的影響を受けやすい
  11. 女性の場合は月経前2〜3日前に出現することが多い
  12. 概して夏期は発作頻度が多く、冬期は少ないことが多い
  13. ストレスから解放されたときや週末に起こることが多い






痙攣の鑑別診断

  1. 新生児期の痙攣
    1. 脳の器質的疾患
      1. 脳奇形
      2. 低酸素性虚血性脳症
      3. 中枢神経系感染症
        細菌性髄膜炎、ウイルス性脳炎、胎内感染症
        (トキソプラスマ、サイトメガロウイルスなど)
      4. 頭蓋内出血、分娩損傷
        脳室内出血、脳室上衣出血、脳実質内出血、硬膜下出血
        クモ膜下出血
      5. 脳梗塞
    2. 全身性疾患
      1. 代謝性疾患
        低血糖、低力ルシウム血症、低マグネシウム血症
        低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、ビタミンB6欠乏症・依存症
      2. 高ビリルビン血癌(核黄疸)
      3. 先天代謝異常
        アミノ酸代謝異常症、有機酸代謝異常症、尿素サイクル異常症
      4. 破傷風
      5. 薬物禁断症候群(麻薬、催眠剤、抗痙攣剤、向精神剤)
    3. 機能的疾患
      1. 良性新生児痙攣(家族性、非家族性)
      2. 早期乳児てんかん性脳症(大田原症候群)
  2. 乳幼児期の痙攣
    1. 脳の器質的疾患
      1. 脳奇形
      2. 神経皮膚症候群
      3. 中枢神経系感染症
        細菌性髄膜炎、脳膿瘍、結核性髄膜炎、ウイルス性脳炎
        先天性トキソプラスマ症、寄生虫症
      4. 急性脳症、ライ症候群
      5. 百日咳脳症
      6. 頭蓋内出血、頭部外傷
        脳実質内出血、硬膜外・硬膜内出血、クモ膜下出血
        ビタミンK欠乏による出血
      7. 脳梗塞、モヤモヤ病
      8. 脳動静脈奇形
      9. 静脈洞血栓症
      10. 急性小児片麻痺
      11. 脳腫瘍
      12. 脇損傷後遺症(症候性てんかん)
    2. 全身性疾患
      1. 代謝性疾患
        低血糖症、ケトン性低血糖症、低カルシウム血症
        低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症
        肝不全、高アンモニア血症、尿毒症
      2. 先天代謝異常
        リピドーシス、アミノ酸代謝異常、ミトコンドリア病など
      3. 低酸素症(窒息、溺水、CO中毒など)
      4. 破傷風
      5. 中毒(テオフィリン、銀杏など)
    3. 機能的疾患
      1. 熱性痙攣
      2. てんかん
      3. 良性乳児痙攣
      4. ウイルス性胃腸炎にともなう痙攣
      5. 憤怒痙攣
      6. 循環器疾患にともなう痙攣
        失神、Adam-Stokes発作、QT延長症候群、高血圧性脳症
  3. 学童期の痙攣
    1. 脳の器質的疾患
      1. 中枢神経系感染症
        細菌性髄膜炎、脳膿瘍、ウイルス性脳炎、寄生虫症
      2. 急性脳症
      3. 頭蓋内出血、頭部外傷
        脳実質内出血、硬膜外・硬膜下出血、クモ膜下出血
      4. 脳梗塞、モヤモヤ病
      5. 脳動静脈奇形
      6. 脳腫瘍
      7. 神経皮膚症候群
      8. 神経変性疾患
        亜急性硬化性全脳炎、ロイコジストロフィー
        ミトコンドリア病など
      9. 脳損傷後退症(症候性てんかん)
    2. 全身性疾患
      1. 代謝性疾患
        低血糖症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症
        低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、肝不全
        高アンモニア血症、尿毒症
      2. 低酸素症(窒息、溺水、CO中毒など)
      3. 破傷風
      4. 全身性エリテマトーデス
      5. 中毒(テオフィリン、銀杏など)
    3. 機能的疾患
      1. てんかん
      2. ヒステリー
      3. 循環器疾患にともなう痙攣
        失神、Adam-Stokes発作、QT延長症候群、高血圧性脳症










心膜石灰化の原因(Thotacic Imaging 2003;18(4):251)
1. ウイルス感染後
  症状のあるpericarditisの大部分がpost-viral pericarditisと考えられてい
  る。石灰化を伴うpericarditisで特発性とされているものもウイルス感染後と考
  えられる。その多くでコクサッキーBウイルスが想定されている。
2. 放射線照射後
  心膜石灰化の原因の約30%が放射線照射後だという報告がある。平均7年後に
  石灰化を生じる。このケースでは手術しても成績は良くないという。
3. 手術後
  冠動脈バイパスを伴った心臓手術、大動脈置換、心膜切開が石灰化の原因
4. 外傷後損傷
  心膜血腫の吸収治癒過程で石灰化を生じると考えられている。
5. 結核感染後
  1950年以前は約25%が結核と考えられていた。今では15%程度だが、開発途上国
  では依然として高率。
6. 炎症後
  化膿性心膜炎と真菌性心膜炎(例えばhistoplasmosis)など
7. その他、希な例
  RA、SLE、scleroderma、CREST、サルコイドーシス、尿毒症
  甲状腺機能低下症、コレステロール心膜炎
8. 悪性腫瘍
  転移性腫瘍、中皮腫、胸腺腫







肺の嚢胞性陰影を呈する小児疾患(NIH 2004、No.4170:25)
1. 先天性
  ・先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM;congenital cystic adenomatoid
   malformation)
  ・肺内気管支原性嚢胞(intrapulmonary bronchogenic cyst)
  ・肺外気管支原性嚢胞(extra pulmonarybronchogenic cyst)
  ・肺葉内肺分画症(intralobar sequestration)
  ・肺菓外肺分画症(extralobar sequestration)
  ・肺菓性気腫(10baremphysema)
2. 後天性
  ・Langerhans cell histiocytosis(LCH)
  ・原発性間質性肺気腫(primary PIE;primary pulmonary interstitial
   emphysema)
  ・二次性間質性肺気腫(secoondary PIE;secondary pulmonary interstitial
   emphysema)
  ・ニューマトセル(pneumatocele)
  ・Wilson-Mikity syndrome
  ・肺胞性肺嚢胞症(bulla、bleb)(気胸)
  ・気腫性嚢胞(emphysematous bulla)(肺気腫)







Horner症候群の発生機序と病態(NIS、No.4176(2004/5/8)、pp.96-97)
Horner症候群は視床下部より眼部に至る交感神経経路の障害によって縮瞳、眼瞼
下垂、無汗症を生ずる疾患である。
  交感神経は三つのノイロンよりなる。視床下部より脳幹部を下降し、Budge毛様
脊髄中枢(第8頚髄、第1胸髄、第2胸髄)に至る中枢(第一)ノイロン、ここより
出て星状神経節を通り主部は鎖骨下動脈の下を潜って上行し、上頚神経節に至る
節前(第二)ノイロン、さらに上頚神経節より出て眼球などの末梢器官に分布する
節後(第三)ノイロンである。
  いずれのノイロンの障害でも Horner症候群を来すが、症状に若干の違いを生ず
る。中枢ノイロンが障害された場合を中枢障害、節前ノイロン、節後ノイロンの障
害をそれぞれ節前障害、節後障害と呼ぶ。
Horner症候群の縮瞳は交感神経支配である瞳孔散大筋の麻痺のため生じる。縮瞳
は中等度(0.5~1mm)で、大半の症例は片眼性のため瞳孔不同を来す。副交感神経
は正常で光に対する縮瞳は十分で、よって縮瞳は暗所で起こり、瞳孔不同も暗所で
著明となる。
  上限瞼瞼板筋(Muller筋)も交感神経支配のためHoner症候群では軽度の眼瞼下
垂(1~2mm)が起こる。また、下眼瞼の瞼板筋も同様であるため、下眼瞼のわずか
な挙上もみられる。
  交感神経は発汗を起こすので、Horner症候群の障害部位により無汗症が異なった
部位に生ずる。中枢障害では半身の無汗症、節前障害では顔全体から首にかけての
無汗症、節後障害では無汗症が出ないか、あるいは前額部から鼻の内側の部位に限
られる。これらの違いは発汗運動線維の走行が眼交感神経線維と異なることによる。
  発汗運動線維は血管運動線維と同じ経路を通るので、節前障害の場合、障害が生
じて間もない頃は皮膚細動脈の収縮が障害されるため、顔面皮膚の紅潮や温度上昇、
結膜充血がみられる。時間が経つと、逆に皮膚の蒼白や温度低下を来すようになる。
これは交感神経障害による神経除去後過敏が血管平滑筋に生ずることに由来する。
Horner症候群の診断および障害部位の特定は原因を精査する上で重要である。こ
れには点眼試験が有用である。用いられる薬剤は交感神経作動薬剤の5%コカイン、
5%チラミンおよび1%塩酸フェニレフリン(1%ネオシネジン)または0.04%塩酸ジピ
ベフリン(0.04%ビバレフリン)である。各々の判定時間は90~120分、45分および
60分である。
5%コカイン点眼をすると正常眼は散瞳するが、Horner症候群では散瞳しないか、
散瞳が減弱する。5%チラミン点眼をすると中枢および節前障害では散瞳するが、節
後障害では散瞳が減弱〜消失する。1%塩酸フェニレフリンまたは0.04%塩酸ジピベ
フリン点眼では中枢障害では散瞳しないが節前および節後障害では散瞳する。また、
下垂した上眼瞼が10分前後で挙上される。これらの現象は前述した神経除去後過敏
が獲得されるために生ずる。
Horner症候群のの障害部位を決定した後は病因を精査する。中枢障害の病因とし
ては腫瘍、血管障害、外傷が多く、他の全身症状を伴うことが多い。しかし、脊髄
空洞症は他の症状を伴わないので注意が必要である。
  節前障害の病因は腫瘍が多く、肺癌、乳癌、縦隔腫瘍、甲状腺癌などがある。次
には外傷や外科的処置により起こることが多い。上腕神経叢に対する外傷、気胸、
頸部や縦隔の腫瘍摘出術などが報告されている。
  節後障害は内頚動脈に沿った部位で生ずることが多い。内頚動脈の解離性動脈瘤、
内頚動脈近傍の腫瘍や圧迫性病変、炎症などで生ずる。また、内頚動脈は海綿静脈
洞を通るので、海綿静脈洞の腫瘍、炎症、感染、動脈瘤などが原因となる。特に外
転神経麻痺を伴った場合は海綿静脈洞病変を精査すべきである。(堀尾直市)







アミロイドーシス診断の手引き
(厚生省アミロイドーシス調査研究班(班長:平井俊策,1992年)による)
<診断へのアプローチ>
1. 本症の臨床症状は各病型、罹患臓器・組織の種類とその障害度により多彩で
  ある。したがって、一つの診断基準を示すことは不可能であり、生前の確定
 診断は生検によってのみ可能である。
2. 骨髄腫および類縁疾患患者ではもちろんのこと、長期にわたる難治性炎症性
  疾患、透析患者では必ず考慮してみることが必要である。
3. 下記のような症状があって原因不明な場合は全身性アミロイドーシスの可能
  性を考慮してみる必要がある。
    1) 全身衰弱、体重減少、貧血、浮腫、呼吸困難、胸痛、胃腸障害とくに
      頑固な下痢、紫斑
    2) 心電図における低電位差・不整脈・ブロック・QS型(Vl〜V3)、低血圧、
      起立性低血圧、心肥大
    3) タンパク尿、腎機能障害
    4) 肝腫大、脾腫大、とくにリンパ節腰大
    5) 巨舌
    6) 嗄声
    7) shoulder-pad sign、関節腫大、骨嚢胞など
    8) 多発性ニューロパチー
    9) carpal tunnel syndrome
    10) 皮膚の強皮症様肥厚、結節
    11) 免疫グロブリン異常の中で・血清にMタンパクまたは尿にBence-Jones
       タンパクをみることがある。
4. 全身性アミロイドーシスが疑われる場合には皮膚(皮下脂肪を含む)、胃あ
  るいは直腸、腎、唾液腺、甲状腺などの生検を行いアミロイドの沈着を確認
  する。また近年、腹壁の脂肪吸引生検がスクリーニング検査として有用であ
  ることが分かり、よく行われる。胃生検は粘膜筋板以下まで深めることが必
  要である。直腸生検は、直腸内視鏡下に直腸後壁から粘膜下組織を含む小切
  片をとる。腹壁脂肪吸引には局麻後、18ゲージの注射針で脂肪層を強く吸引
  して脂肪滴を得、スライドグラスの上に置き、その上に1枚スライドグラスを
  重ね2枚のガラスを圧迫しながらスライドさせて塗抹標本を作製し、エタノー
  ルまたはホルマリン固定する。生検組織はHE染色のほかコンゴー赤染色を行い
  、陽性部(橙赤色)が偏光顕微鏡(簡易偏光装置で可)により緑色に強く輝く
  複屈折を示すことを確認する。電子顕微鏡的観察も必要である。
5. 本症の疑いのある患者で避けるべき検査
   1) コンゴー赤試験:ショック例の報告があり、また試験そのものの評価も
     低い。
   2) 肝生検:出血の危険がある。
   3) 多量のBence-Jonesタンパク尿のあるときのINP(経静脈腎盂撮影)は
     無尿を誘発する危険がある。
6. 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)については別の診断基準による。
  なおこの基準は日本に多いFAP Iについてのものである。
(内科 1995;75:1323:6月増大号『内科疾患の診断基準、病型分類・重症度』)







腹部CTで識別できる嚢胞性後腹膜腫瘤
(Reader & Felson.GAMUTSINRADIOLOGY.p569,3rd Ed. Springer-Verlag)
  A. COMMON
    1. Abscess
    2. Hematoma(late)
    3. Hydronephrosis
    4. Pseudocyst of pancreas
    5. Renal cystic disease(eg,Simple cyst,Polycystic kidney,
      multicystic kidney,Cystic renal-cell carcinoma)

  B. UNCOMMON
    1. Cystadenoma,Cystadenocarcinoma of pancreas
    2. Cysti cpara-aortic lymphadenopathy(eg,Carcinoma of cervix,
      teratoma of testis)
    3. Hemangiopericytoma
    4. Hydatid cyst
    5. Liomyosarcoma
    6. Lymphangioma
    7. Lymphocele
    8. Meningocele
    9. Von Hippel-Landau S.







慢性疲労症候群診断基準(厚生省CFS研究班CFS診断基準)
(内科 1995;75:1254:6月増大号『内科疾患の診断基準、病型分類・重症度』)
  A. 大クライテリア
    1. 生活が著しく揖なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6か月以上
      の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。
        この強い疲労とは、疲労が短期の休養で回復せず、月に数日は疲労のため、
      休まねばならなかったり、家事ができず、しばしば臥床せねばならない程度
      のものである。(後述 Table1 の3. 以上のもの)
    2. 病歴、身体所見、検査所見で Table2 にあげられている疾患を除外する。
        ただし、精神疾患については Table2 以外の心身症、神経症、反応性うつ病
      などはCFS発症に先行して発症した症例は除外するが、同時または後に発現し
      た例は除外しない。とくにうつ病に関しては、両極性うつ病はただちに除外
      するが、単極性のものは精神病性であることが明らかになった時点で除外す
      ることとし、それまでの診断不確定の間は反応性うつ病と同じあつかいとする。
  B. 小クティテリア
    I. 症状クライチリア
      以下の症状が6か月以上にわたり持続または繰り返し生じること。
        1. 微熱(腋常温37.2〜38.3度)ないし悪寒
        2. 咽頭痛
        3. 頸部あるいは腋窩リンパ節の腫脹
        4. 原因不明の筋力低下
        5. 筋肉痛ないし不快感
        6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
        7. 頭痛
        8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
        9. 精神神経症状(いずれか一つ以上)
         羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、
         抑うつ
        10. 睡眠障害(過眠、不眠)
        11. 発症時、主たる症状が数時間から数日のあいだに発現
    II. 身体所見クライテリア(少なくとも1か月以上の間隔をおいて2回以上)
        1. 微 熱
        2. 非浸出性咽頭炎
        3. リンパ節の腫大(頸部、腋窩リンパ節)
■診断基準
TI)1:A2項目 + BI・6項目以上 + BII・2項目以上、あるいは
   2:A2項目 + BI・8項目以上のいずれかを満たすと「CFS」と診断する。
II)A2項目を備えるが、B項で診断条件を満たさない例は「CFS疑診例」とする。
   (上記基準で診断されたCFS(疑診例は除く)のうち、感染症が確診された後、
  それに続発して症状が発現した例は「感染後CFS」と呼ぶ)。

<table1>PS(performance status)による疲労・倦怠の程度
  0:倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる
  1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労感を感ずるときが
    しばしばある
  2:通常の社会生活はでき、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しば
    しば休息が必要である
  3:全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息
    が必要である
  4:全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息
    が必要である
  5:通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち
    数日は自宅にて休息が必要である
  6:調子のよい日には軽作業は可能であるが週のうち50%以上は自宅にて休息
    している
  7:身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働
    は不可能である
  8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%
    以上は就床している
  9:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている

<Table2>
悪性腫瘍
 自己免疫疾患
 限局性感染症(潜在膿瘍など)
 急性・慢性細菌性感染症(心内膜炎、Lyme病、結核など)
 真菌性感染症(ヒストプラズマ症、分芽菌症、コクシジオイデス症など)
 寄生虫感染症(トキソプラズマ病、アメーバ症、ランブル鞭毛虫症、
 蠕虫症など)
 HIV感染症
 精神神経疾患(精神分裂病、躁うつ病、脳損傷・変性などの器質的脳病変
 による精神疾患)
 慢性炎症性疾患(サルコイドーシス、Wegener肉芽腫症、慢性肝炎など)
 神経筋疾患(多発性硬化症、重症筋無力症など)
 内分泌疾患(甲状腺機能低下症、Addison病、Cushing症候群など)
 薬物依存(アルコール、モルヒネ、コカインなど)
 中毒(溶剤、殺虫剤、重金属など)
 その他の慢性疾患(呼吸器、心臓、消化器、肝臓、腎臓、血液疾患)







傍悪性腫瘍症候群の−般的診断基準
(内科 1995;75:1399:6月増大号『内科疾患の診断基準、病型分類・重症度』)
  1. 徐々に進行する神経・筋症状がある。
  2. 神経・筋症状が数か月腫瘍に先行することがある。
  3. 神経・筋症状を説明する腫瘍の浸潤・圧迫がみられない。
  4. 腫瘍がみつかり、摘出、化学療法で神経・筋症状が一時的に軽快、進行が停止
    することがある。
  5. 神経細胞(核、胞体)、神経終末Caチャネルに対する特異的自己抗体がみられ
    ることが多く、この抗体は腫瘍細胞にも交叉性に反応する。
  6. 抗神経細胞抗体価は髄液中で高く、中枢神経系での産生が考えられる。







メニエール病診断の手引き(厚生省メニエール病調査研究班)
(日本臨床『症候群 1982』日本臨床社.1982.p863)
1. 回転性めまい発作を反復すること
  1) めまいは一般に特別の誘因なく発来し、嘔気、嘔吐を伴い、数分ないし
   数時間持続する。
  2) 発作のなかには”回転性”のめまいでない場合もある。
  3) 発作中は水平、回旋混合性の自発眼振をみることが多い。
  4) 反復性の確認されぬ初回発作では、めまいを伴う突発性難聴と十分鑑別
   されなければならない。
2. 耳鳴、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること
  1) 耳鳴、難聴の両方またはいずれかの変動に伴いめまい発作をきたすことが
   多い。
  2) 耳閉塞感や強い音に対する過敏性を訴える例も多い。
  3) 聴力検査でほ、著明な中・低音部域値変動や音の大きさの補充現象陽性を
   呈することが多い。
  4) 一耳罹患を原則とするが両耳の場合もみられる。
3. 1. 2.の症候をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知のめまい、難聴を主訴
  とする疾患が除外できる。
  これらの疾患を除外するためには、問診、一般神経学的検査、平衡機能検査、
  聴力検査などを含む専門的な検査を行ない、時には経過観察が必要な場合もある。
■診断の基準
  T I. 確実例:1. 2. 3.の全条件を充たすもの
  T II. 疑い例:1.と3.または2.と3.の条件を充たすもの
(注)1. 2.の症候の原疾患として、充分に中耳炎、耳中毒、梅毒などの原因既知
    の疾患を除外しえなかときは、これらの疾患名を併記することとする。







トロサ・ハント症候群(Tolosa-Hunt syndrome)
(榎村・吉岡『病名・文献検索辞典』世界保健通信社.1985,1st ed.,p36)
海綿静脈洞の病変によってIII、IV、V、VIの脳神経が障害されて一側性の眼痛
と片頭痛が反復し眼痛に続いて眼筋麻痺が出現するがステロイド剤によく反応す
る。原因は海綿静脈洞前部の肉芽腫とされている。







アディー症候群(Adie症候群)
(奥村二吉:『神経病の検査と診断』南山堂.1974.p.23)
緊張性瞳孔tonic pupilおよび腱反射消失をいう。Argyll-Robertson症候と混同
しないように注意を要する。多くは1側の瞳孔に来る。対光反応ほとんど消失、
しかし30分から1時間暗室におらしめた後には緩徐に反応する。幅榛反応も甚だ
おそい。この症候群は30歳過ぎの女性に多く、間脳(自律神経中枢)障害が原因
であるといわれる。放置しても大した障害はないらしい。







家族性周期性地中海熱(FMF)
(メルクマニュアル第16版、p268、メディカルブックサーヴィス)
<症状・徴候および診断>
FMFは通常、5から15歳で発症するが、時に、もっと遅くに、または幼児期にさえ
始まることもある。発作は規則性はなくまた再発にも決まった型はない。また同じ
患者においても幾分多彩である。病状は通常24から48時間続くが、1週間程続く場合
もある。頻度は2回/週から1回/年まであるが、2から4週間が最も一般的な間隔であ
る。その程度と頻度は、年齢とともにまたは妊娠中や、アミロイドーシスが展開す
る間は減少する傾向がある。自然寛解には数年かかる。         
  通常、腹膜炎を伴う40度程の発熱が主な徴候である。時に腹膜炎は微熱を伴って
起こる。腹痛は患者の約95%で起こり、1回の発作とその次では重症度は異なる。そ
の痛みは通常一四分円内から始まり、それから腹部全体に広がる。腸音の減弱、
腹部膨張、筋性防御、そして反跳痛が、発作ピーク時におそらく存在し理学診では、
消化管穿孔と区別が不可能になる。その結果、多くの患者では正しい診断がつく前
に緊急の開腹術が施行されている。横隔膜病変があれば、胸部は固定し一側または
両側の肩甲痛があるであろう。その他の症状としては、急性の胸膜痛(75%)大関節
の急性関節炎(25%)および、下腿の類発疹がある。再発性心膜炎は、比較的まれな
病態である。                        
特異的な臨床検査は診断的でない、急性発作中は多核白血球増多症が、いつも
そうとは限らないがよくみられる。急性期反応物質(血沈、血清フイブリノーゲン、
CRP)の検査は多分上昇している。他の検査は正常である。
  結果的に診断は、検査所見よりも臨床症状に基づいている。典型的な症状(適当
な民族家系・家族歴があったり、反復し自然に治る腹膜炎の発作、各エピソード間
では非常に健康)がある患者でFMFを確信するのは合理的である。臨床像があまり
典型的でないとき、その信頼性はまだ確認されていないがメタラミノール投与試験
を試みてもよい。FMFの疑診がある患者に対するコルヒチンの治療的試行は、症状
がその治療に反応するときには特に有用である。







ページェット・シュレッター症候群(Paget-Schroetter症候群)
腋窩静脈 and/or 鎖骨下静脈の血栓症。上肢が疼痛をもって腫脹し紫色になる。
1~2日後から上肢や側胸部痛が日々増強。
水泳、テニス後にも発症して胸郭出口症候群を呈す。







ミクリッツ症候群(MiKulicz 症候群)
(榎村・吉岡『病名・文献検索辞典』世界保健通信社.1985,1st ed.,p365)
両側の唾液腺や涙腺が対称性に無痛性に腫脹する疾患で腫瘤圧迫のため視力・聴力
障害、口内乾燥を訴えることがある。結核、梅毒、リンパ性白血病、悪性リンパ腫、
サルコイドーシスなどが原因となる。







線維筋痛症(結合織炎、結合織筋痛症、fibrositis)
(榎村・吉岡『病名・文献検索辞典』世界保健通信社.1985,1st ed.,p101)
上気道炎、寒冷、過労などが原因となって筋痛や筋硬結のくる疾患を筋肉リウマチ
とよび、筋膜や腱鞘などの結合組織に病変があるとの考えから結合織炎とよぶことが
ある。また肩や頭、四肢の痛みが湿気や同一姿勢を続けることで発生し加温や運動、
マッサージ、服薬などで改善する病態を結合繊炎とよぶこともある。圧痛と筋硬結
以外にはX-P、検査所見などに異常がみられない。







錯感覚・異常感覚(paresthesia)の原因(NEJM 2004;351:1335)
1. Central nervous system disorders
   ・Brain tumors
   ・Cerebrovascular accidents
   ・Multiple sclerosis
2. Peripheral nervous system disorders
   ・Entrapment neuropathies(e.g.,carpal tunnel syndrome)
   ・Hereditary conditions affecting peripheral nerves
    (e.g.,charcot-Marie-tooth disease)
   ・Polyneuritis
   ・Trauma
3. Metabolic disorders
    ・Diabetes mellitus
    ・Hypothyroidism
    ・Porphyria
    ・Uremia
    ・Vitamin B12 deficiency
4. Toxins
    ・Alcohol abuse
    ・Heavy-metal poisoning
    ・Side effects of medications(e.g.,Vincristine and medications for
     human immunodeficiency virus infection)
5. Infections
    ・Encephalitis
    ・Leprosy
    ・Lyme disease
6. Rheumatologic disorders
    ・Raynaud's phenomenon or disease
    ・Polyarteritis nodosa
    ・Systemic lupus erythematosus
    ・Rheumatoid arthritis
    ・Vasculitis
7. Cancer and related disorders
    ・Compression of neurologc structures by tumor
    ・Infilration of nerves by tumor
    ・Paraneoplastic syndromes







ウェーバー・クリスチャン病(Weber-Christian disease)
(榎村・吉岡『病名・文献検索辞典』世界保健通信社.1985,1st ed.,p112)
20〜40才の女子が男子に比して3倍罹患する皮下脂肪組織の慢性炎症性疾患で、
発熱で初発する。外傷、寒冷、糖尿病、感染などが誘因となり大腿、体幹、乳房、
上肢などに皮下結節を生じ圧痛があり発赤する。結節の治癒したあとは皮膚に陥
凹を残しこれらの症状が緩解をくり返しながら数か月から数年持続する。肺、心膜、
腸、胸膜、腎、副腎などに症状が及ぶときはsystemic Webe-Christian病とよばれ
重篤になる。腸間膜に波及すると腸間膜脂肪組織炎とよばれ男子に多く発熱、腹痛、
嘔吐などがあり腸間膜が肥厚発赤する。わが国では100例ぐらいの報告がある。







ファブリー病(Fabry's disease、ライソゾーム病に統合されている)
(榎村・吉岡『病名・文献検索辞典』世界保健通信社.1985,1st ed.,p118)
先天性脂質代謝異常症に属し10才までの男児に発症する、皮膚表層の毛細血管
拡張があり圧迫で褪色しない、やや隆起したものもあり下腹、外陰、大腿、殿部
などに左右対称性に出現し、口腔粘膜や眼球結膜にもみられる、四肢先端の疼痛
は病初からあり心筋障害、高血圧、腎障害が加わってくるがこれはセラミドトリ
ヘキソシドの組織への蓄積による。α-ガラクトシダーゼ欠損が病因で治療にはこ
の酵素の補償療法が試みられている。







鼻の潰瘍(nasal ulcer)の鑑別診断(NEJM 2005;352:610)
 1. Infectious
   ・Mucosal leishmaniasis
   ・Paracoccidioidomyocosis
   ・Tertiary syphilis,yaws,endemic syphilis(bejel)
   ・Histoplasmosis
   ・Leprosy
   ・Rhinosporidiosis
   ・Tuberculosis
   ・Rhinoscleroma
 2. Neoplastic
   ・Basal-cell and squamous-cell carcinomas
   ・Lymphoma
 3. Other
   ・Relapsing polychondritis
   ・sarcoidosis
   ・Wegener's granulomatosis
   ・cocaine abuse







ドライアイの分類(NIS 2005;No.4226(H17/4/23):19)
   A. 涙液分泌減少型ドライアイ
    1. シェーグレン症候群
      1) 一次性シェーグレン症候群
      2) 二次性シェーグレン症候群:RA、DM、SLE、SSC、Wegener肉芽腫症など
    2. 非シェーグレン症候群
      1) 涙腺疾患:サルコイドーシス、慢性GVHD、リンパ腫など
      2) 涙器疾患:眼類天疱瘡、Stevens-Johnson症候群、トラコーマ、
            アトピーなど
      3) 反射性分泌の低下:長期のコンタクトレンズ使用、糖尿病、加齢、
        角膜および白内障手術後など
   B. 涙液蒸発亢進型ドライアイ
    1. 油層減少:マイボーム腺機能不全(MGD)
    2. 眼瞼関連:甲状腺機能亢進による眼球突出、兎眼症
    3. コンタクトレンズ装用
    4. 眼表面疾患







紫斑の原因(NEJM 2005;352:2005)
 A. Nonpalpable
   1. Primary cutaneous disorders
    ・Trauma
    ・Solar purpura
    ・Steroid purpura
   2. Systemic diseases
    1) Coagulation abnormalities
      ・Clotting-factor defects
      ・Thrombocytopenia
      ・Abnormal platelet function
      ・Warfarin reaction
      ・Disseminated intravascular coagulation
    2) Vascular fragility
      ・Amyloidosis
      ・Ehlers-Danlos syndrome
      ・Scurvy
    3) Emboli
      ・Fat
      ・Cholesterol
 B. Palpable
   1. Vasculitis
   2. Infection
    1) Acute meningococcemia
    2) Disseminated gonococcal infection
    3) Rocky Mountain spotted fever
    4) Bacterial endocarditis







PET(FDG-PET)について(NIS 2005;No.4234(H17/6/18):97)
  1. FDG(18Fフルオロデオキシグリコース)-PETは1994年悪性腫瘍をターゲット
   にして世界ではじめて日本に登場。2005年現在全国で50箇所。
  2. 空間分解能は3~5mm程度であり10mm前後が発見の適当なサイズ
  3. FDG-PETはあくまでもブドウ糖代謝をみる機能画像(形態画像ではない)
   ブドウ糖代謝が盛んな癌組織であれば発見効率はいい。
  4. 検出し難い悪性腫瘍がある。
    signet-ring-cell ca.、細気管支肺胞上皮癌、HCC、脳のような生理的に
   ブドウ糖代謝の旺盛な組織の悪性腫瘍、RCCをはじめ腎尿路系。
    さらに腸管や炎症巣への生理的蓄積、良性腫瘍も偽陽性となる。
  5. 現時点ではFDG-PETががん検診に有効であるという科学的根拠がない。
   (精度?、死亡率減少?、検診に伴う不利益の評価、経済評価など)







小児の急死(突然死)の原因(NIS 2005;No.4235(H17/6/25):91)
  1. SIDSあるいはSIDS関連疾患
    ・SIDS
    ・long QT症候群
    ・先天性代謝疾患
    ・虐待
    ・心筋炎
    ・先天性心疾患
      (duct-dependentなタイプ)
  2. 未治療の先天性心疾患
    ・大動脈縮窄
    ・ファロー四徽症
    ・大血管転移
    ・僧帽弁逸脱症
    ・左室低形成症候群
    ・アイゼンメンジャー症候群
  3. 冠状動脈疾患
    ・起始異常
    ・脈管奇形
    ・川崎病
    ・大動脈周囲炎
    ・大動脈離断
    ・マルファン症候群
    ・心筋梗塞
  4. 心筋症
    ・心筋炎
    ・肥大型心筋症
    ・拡張型心筋痘
    ・arrhythmogenic right ventricular dysplasia
  5. 刺激伝導系障害・不整脈
    ・long QT症候群
    ・不整脈薬
    ・Pre-excitation syndrome
    ・heart block
    ・心臓震盪
    ・特発性心室細動
    ・心臓腫瘍
  6. その他
    ・肺高血圧症
    ・肺塞栓
    ・熱ショック
    ・コカイン
    ・神経性無食欲症
    ・電解質異常







反射の検査(奥村二吉「神経病の検査と診断」、P103-105より)
 臨床的目的のため反射を以下の5つに分ける
 1.皮膚反射
 2.深部反射
 3.病的反射
 4.姿勢反射
 5.臓器反射
  A.瞳孔反射
  B.膀胱障害
    膀胱はその中枢が脊髄下部(S3-S4)にあるため、いかなる高さの脊髄障害に
   おいても出易く脊髄疾患の診断に大切(昏睡状態を除き排尿異常があれば脊髄
   疾患)。主なものは尿閉と失禁で、病巣が腰髄以上にあれば尿閉、仙髄自身に
   あれば失禁というのが原則。
    1)尿閉:仙髄膀胱中枢(S3-S4)より上部の脊髄の急性横断障害の際には利尿筋
      麻痺のため完全尿閉が起こる。
    2)能動的尿失禁:脊髄の急性横断障害の直後は完全尿閉だが数日から数週あと
      には膀胱が一定度充満すれば自分で反射的に排尿するようになる。
    3)被動的尿失禁:膀胱に尿が溜ることなく常にだらだらと滴状排泄される。
      利尿筋と括約筋が持続的に弛緩しているため。
    4)矛盾性尿閉:脊髄膀胱中枢障害で、膀胱に尿が充満していてもだらだらと
      滴状排泄されるもの、このばあいは膀胱頚部は相当の弾力性を保っており
      膀胱の出口を閉鎖しているためである。
    5)知覚障害によるdribbling(尿が無意識的に滴状排泄される状態)
       知覚障害のため膀胱充満感がなく過度の尿蓄積が起こり、他方括約筋が
      これに応じて緊張しないためdribblingがおこる。随意排尿は正常。また
      排尿が済んだとおもってもあとタラタラ排出するのを後dribblingという。
    6)膀胱萎縮:腹圧をかけないと尿線が切れる。残尿感がある。交感神経が侵さ
      れ利尿筋および括約筋が萎弱した状態。
    7)早急排尿:膀胱反射-->排尿を知ることができるが、これを停止させること
      ができない。膀胱自動機能と正常との中間の状態で、大脳皮質と仙髄膀胱
      中枢との連絡が不完全に障害され随意的支配がうまくゆかない状態。
  C.排便障害(多くの場合膀胱障害と共にみられる)
    1)便閉
      仙髄排便中枢(S3-S4)より上部の障害で起こる。肛門括約筋の随意支配お
     よび便意が消失し頑固な便秘をきたす。このさい肛門括約筋の反射性収縮は
     存在するし、むしろ痙攣性に強く存在。
    2)便失禁
      排便中枢(S3-S4)自身の障害により肛門括約筋が持続的麻痺し、糞便が無
     意識に排泄される。
    3)肛門の知覚障害による便失禁
      肛門の知覚脱失(脊髄瘻、終末円錐障害)は内肛門括約筋のトーヌス消
     失、内肛門反射の消失および便失禁を来す。内肛門反射は肛門に指を挿入
     すれば分かる。
  D.生殖機能障害
    生殖機能障害は官能的に障害される場合が多く、神経病学の診断上の価値は
   少ない。
  E.自律神経性反射







姿勢振戦を生じる疾患
1.上肢前方挙上で頼著となる比較的規則正しい姿勢振戦
  ・生理的振戦
  ・疲労不安などによる振戦
  ・甲状腺機能亢進症
  ・慢性アルコール中寺(禁断状態でやすい)
  ・本態性振戦(家族性振戦、老人性振戦)
  ・パーキンソン病の一部
  ・バーキンソン症候群の一部
  ・変形性脊椎症による脊髄障害の一部
2.示指を鼻尖の少し前に保持したときに顕著となるやや不規則な振戦
  ・多発性硬化症
  ・神経ベーチェット病
  ・Wilson病
  ・中脳病変(血管障害、腫瘍など)
  ・Ramsay-Hunt症候群
  ・歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体萎縮症の一部
  ・ミオクローヌスてんかんの一部
  ・尿毒症
  ・透析脳症
  ・脳性小児麻棒の一部







企図振戦を生じる疾患(日内雑誌 89:630,2000)
1.多発性硬化症
2.変性疾患
  ・Ramsay-Hunt症候群
  ・歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体萎縮症
  ・変性型ミオクローヌスてんかん(Unverricht-Lundborg病)
3.代謝性疾患
  ・家族性ミオクローヌスてんかん(Lafora病)
  ・Lipidoses:GM1-gangliosidosis、GM2-gangliosidosis
         Ceroid-1ipofuscinosis、Sialidosis
  ・MERRF(myoclonus epilepsy with ragged-red fibers)
  ・亜急性小脳変性症
4.炎症性疾患
  ・ADEM(急性散在性脳脊髄炎)
  ・脳幹脳炎
  ・急性小脳炎
  ・Opsoclonus-myoclonus syndrome
5.神経べーチェット病
6.血管障害または脳腫瘍
   小脳または中脳で歯状核視床路を障害する病変
7.脳性小児麻痺







Classification of Myoclonus(ミオクローヌスの分類、日内雑誌 89:636,2000)
1.Physiologic myoclonus(normal subjects)
  A.Sleep jerks(hypnic jerks)
  B.Anxiety-induced
  C.Exercise-induced
  D.Hiccough(singultus)
  E.Benign infantile myoclonus with feeding
2.Essential myoclonus(no known cause and no other gross neurologic deficit)
  A.Hereditary(autosomal dominant)
  B.Sporadic
3.Epilepticmyoclonus(seizures dominate and no encephalopathy,at least
            initially)
  A.Fragments of epilepsy
   Isolated epileptic myoclonus jerks
   Epilepsia partialis continua
   Idiopathic stimulus-Sensitive myoclonus
   Photosensitive myoclonus
   Myoclonic absences in petitmal
  B.Childhood myoclonic epilepsies
   Infantile spasms
   Myoclonic astatic epilepsy(Lennox-Gastaut)
   Cryogenic myoclonus epilepsy(Aicardi)
   Awakening myoclonus epilepsy of Janz
  C.Benign familial myoclonic epilepsy
  D.Progressive myoclonus epilepsy:Baltic myoclonus(Unverricht-Lundborg)
4.Symptomatic myoclonus(progressive or static encephalopathy dominates)
  A.Storage disease
   Lafora body disease
   Lipidoses,e.g.,GM2gangliosidosis、Tay-Sachs、Krabbe's
   Ceroid-1ipofuscinosis(Batten)
   Sialidosis("cherry-red spot")
  B.Spinocerebellar degeneration
   Ramsay Hunt syndrome
   Friedreich's ataxia
   Ataxia telangiectasia
  C.Basal ganglia degenerations
   Wilson's disease
   Torsion dystonia
   Hallervorden-Spatz disease
   Progressive supranuclear palsy
   Huntington's disease
   Parkinson's disease
  D.Dementias
   Creutzfeld-Jakob disease
   Alzheimer's disease
  E.Viral encephalopathies
   Subacute sclerosing panencephalitis
   Encephalitis lethargica
   Arborvirus encephalitis
   Herpes simplex encephalitis
   Postinfectious encephalitis
  F.Metabolic
   Hepatic failure
   Renal failure
   Dialysis syndrome
   Hyponatremia
   Hypoglycemia
   Infantile myoclonic encephalopathy(polymyoclonus)
   Nonketotic hyperglycemia
   Multiple carboxylase deficiency
   Biotin deficiency
 G.Toxic encephalopathy
   Bismuth
   Heavy-metal poisons
   Methyl bromide、DDT
   Drugs、including levodopa
 H.Physical encephalopathies
   Posthypoxia(Lance-Adams)
   Post-traumatic
   Heat stroke
   ELectric shock
   Decompression injury
 I.Focal CNS damage
   Poststroke
   Postthalamotomy
   Tumor
   Trauma
   Olivodendate lesions(palatal myoclonus)







舞踏運動を呈する疾患・病態
 A.一次性舞踏病
  1)Huntington病
  2)歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
    (Dentato Rubro Pallido Luysian Atrophy、DRPLA)
  3)良性遺伝性舞踏病
  4)老人性舞踏病
  5)発作性舞踏・アテトーゼ
B.二次性舞踏病(舞踏病症侯群)
  1)炎症
    Sydenbam舞踏病、脳炎・心内膜炎・血管炎に伴うもの
  2)中毒
    一酸化炭素、アルコール、抗痙攣薬、L-ドパなど
  3)代謝疾患
    Wilson病、Fahr病、Leigh病、Louis-Bar症候群、Lesch-Nyhan症候群、
    Hallervorden-Spatz病、リピドーシス、ムコ多糖類症、有刺赤血球症など
  4)血管障害
    梗塞、出血
  5)脳腫場・脳内肉芽腫
  6)外傷







顔面の異常連動をきたす疾患(日内雑誌 89:673,2000)
  1.半側顔面痙攣hemifacial spasm
  2.Bell麻痺後顔面連合運動 post-Bell's palsy synkinesis
  3.本態性眼瞼痙攣 essential blepharospasm
  4.Meige症候群 Meige's syndrome
  5.顔面ミオキミア facial myokymia
  6.顔面チック facial tic
  7.単純部分発作 simple partial seizure
  8.半側岨噛筋痙攣 hemimasticatory spasm
  9.遅発性ジスキネジア tardive dyskinesia
 10.反射性顔面痙攣(三叉神経刺激による)reflex facial spasm
 11.破傷風 tetanus
 12.開眼失行 apraxia of lid opening
 13.心因性顔面痙攣 psychogenic facial spasm







半側顔面痙攣の主な原因(日内雑誌 89:674,2000)
 1.顔面神経root exit zoneでの圧迫
  近接血管の蛇行(PICA、AICA、椎骨動脈)
  巨大蛇行脳底動脱 megadolichobasilar artery
  脳底動脈動脈瘤
  動静脈奇形
 2.後頭蓋窩腫瘍(meningioma、1ipoma、epidermoid tumor、neurinomaなど)
 3.lacunar pontine infarction
 4.Brissaud症候群(顛面痙攣+対側の片麻痺)
 5.多発性硬化症
 6.外傷性
 7.家族性







チックについて(日内雑誌 89:679-681,2000)
A.要素、性状、病因、経過による分類
  構成要素の多寡    性   状         病因と経過
 --------------------------------------------------------------------------
  1.単純チック   1.運動性チック         1.病因から
  2.複雑チック     A.持続時間から         A.特発性(原発性)チック症
               1)間代性チック       B.症候性チック症
               2)ジストニー性チック  2.経過から
              B.発生部位から         A.一過性チック症
               1)顔面チック         B.慢性チック症
               2)頸部チック
               3)喉頭チック
               4)横隔膜チック
               5)その他
            2.発声チック
            3.感覚性チック
 
B.チックの症候学的分類
    運動性           発 声       感覚性
 --------------------------------------------------------------------------
 1.単純チック
    瀕回の瞬目         鼻ならし      灼熱感
    眼瞼攣縮          喉ならし       硬直感
    眼しかめ          咳払い        筋緊張感
    口とがらし         叫び声        じんじん感
    開口            うなり声       かゆみ
    頭部蜘転(一方向)     咳          衝動感
    肩すくめ          うめき声    
    手の握り動作        鼻歌
 ---------------------------------------------------------------------------
 2.複雑チック
    頭部のねじり、または振戦  あえぎ       精神緊張感
    唾を吐く             げっぷ       痛み症候群
    殴打(自己または他人)    吃音        前駆的出現
    ジャンプ、蹴飛ばし      反響言語      労作性
    うずくまり            汚言        チック抑制に続発
    骨盤・腹部の突き出し    同語反復      幻覚・幻想(phantomtics)
 ---------------------------------------------------------------------------

C.チックおよびチック様運動を示す疾患の病因
(1)特発性(原発性)
    1.小児期の急性一過性チック
    2.慢性運動性チック症(*1)
    3.ジルドラトゥレット症候群(トウレット症候群、Tourett's syndrome;TS)
    4.成人期発症チック症
    5.老年性チック症
(2)症候性(二次性)
    1.遺伝性
      A.染色体異常によるもの
       1)ダウン(Down)症候群
       2)脆弱染色体症候群、など
      B.ハンテントン(Huntington)病
      C.ジストニ(メージュMeige症候群など)
      D.びっくり病(hyperexplexia)
    2.発達性
      A.自閉症候群
      レット(Rett)症候群
      B.進行停止性脳症(無酸素脳症など)
      C.広範性発達遅延
    3.変性性
      A.神経有辣赤血球症(neuroacanthocytosis)
      B.進行性核上性麻痺
    4.精神医学的障害
      A.分裂病
      B.強迫神経症
    5.中毒性代謝性
      A.一酸化炭素中毒
      B.低血糖症
    6.薬物性
      A.抗精神病薬(遅発性チック)
      B.精神刺激薬
      C.抗てんかん薬
      D.レボドパ(バーキンソン病に対する)
    7.感染症
      A.シデナム(Sydenham)舞踏病
      B.脳炎
      C.脳炎後バーキンソニズム
      D.クロイツフェルト・ヤコプ(Creutzfeldt-Jakob)病
      E.風疹症候群
(3)習慣性身体動作(*2)
    1.指吸い
    2.爪咬み、抜毛癖(*3)
    3.目こすり、耳触り
    4.性器いじり
    5.鼻つまみ
(4)常同症(*4)
    1.点頭運動、頭打ちつけ
    2.体ゆすり
    3.腕ふり
    -------------------------------------------------------
      (*1)現在ではTSの不全型とみなされる 
      (*2)情動障害一般でみられる
      (*3)強迫神経症に伴うことがある 
      (*4)広範性発達遅延・精神発達遅滞で最もよくみられる







PKCとPDCの比較(日内雑誌 89:688,2000)
 ・PKC:Paroxysmal kinesigenic choreoathetosis(Kertesz、1967)
     発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ
  ・PDC:Paroxysmal dystonic choreoathetosis(Mount and Reback、1940)
     発作性ジストニー性舞踏アテトーゼ

            PKC              PDC
-----------------------------------------------------------------------------
 発作の持続時間  通常1分以内、5分を越えない。  2分〜6時間
 発作の頻度     1回/月から100回/日以上   1回〜2回/月.ときに3回/日
 発症年齢       幼児期から30歳代         通常、新生児期〜幼児期。
                                 ときに22歳まで
       -------------------------------------------------------
 脳波所見     正常、非特異的徐液化・局在性   正常。非特異的変化を認める 
            異常所見を認めることがある。   ことあり。
       -------------------------------------------------------
 遺伝形式     常染色体性優性遺伝、孤発性   常染色体性優性遺伝
 男:女       4:1                   2:1
       -------------------------------------------------------
 発作の誘因    急激な運動によって誘発.不安、  アルコール、カフェイン、興奮 
             緊張、ストレスによって増悪。    疲労、空腹、来冷、ストレス
       -------------------------------------------------------
 治療薬      カルバマゼピン、フェニトイン、     クロナゼパム、オキサゼパム、  
           フェノバルビタール。            ハロペリドール、パルプロ酸
 治療効果    著効                     難治性
-----------------------------------------------------------------------------







rib notchingを呈する疾患
  ※rib notchingとは拡張した肋間動静脈や腫大した肋間神経によって、慢性的な
   圧迫を受けて肋骨下縁が波状に侵蝕されたもの。
  1.動脈性
   a.大動脈閉塞:大動脈狭窄症、腹部大動脈血栓
   b.鎖骨下動脈閉塞:Blaloch-Taussig術後、大動脈炎症候群
   c.肺動脈血流低下:Fallot、肺動脈閉鎖(偽肺動脈幹)、Ebstein奇形、
            肺動脈弁狭窄、肺動脈片側欠損、肺気腫
  2.静脈性:上大静脈閉塞
  3.動静脈短絡:肺動静脈瘻、肋間動静脈痩、助間動脈一肺動脈短絡
  4.神経原性:肋間紳経原性腫瘍(Regklinghausen病)
  5.その他副:甲状腺機能亢進症、特発性、正常変異







主な縦隔腫瘤
  1.上縦隔腫瘤
   ・胸腔内甲状腺腫瘍
   ・副甲状腺腫瘍
   ・頚部嚢胞状リンパ管腫
   ・神経節腫、神経鞘腫
  2.前縦隔腫瘤
   ・胸腺腫瘍(胸腺腫、胸腺嚢胞、胸腺脂肪腫)
   ・胚細胞腫瘍(奇形腫、精上皮腫、純毛上皮腫、endodermal sinus tumor)
   ・悪性リンパ腫(Castlemanリンパ腫も含む)
   ・脂肪腫
   ・心膜嚢胞、心膜憩室
   ・心膜外脂肪塊
   ・モルガニ孔ヘルニア
  3.中縦隔腫瘤
   ・気管支嚢胞
   ・食道腫瘍(癌、重複嚢胞、平滑筋腫、平滑筋肉腫など)
   ・リンパ節腫大(悪性リンパ腫、Castlemanリンパ腫、転移性腫瘍を含む)
   ・リンパ管腫
   ・神経鞘腫(反回神経起源) 
   ・食道裂孔ヘルニア
  4.後縦隔腫瘤
   ・神経原性腫瘍(神経節細胞腫、神経芽細胞腫、神経鞘腫、神経線維腫)
   ・神経腸嚢胞
   ・胸腔内髄内瘤
   ・リンパ節腫大(悪性リンパ腫、Castlemanリンパ腫、転移性腫瘍を含む)
   ・大動脈瘤
   ・ボックダレック孔ヘルニア
  5.右心横隔膜角部腫瘤
   ・心膜嚢胞、心膜憩室
   ・胸腺嚢胞、胸腺脂肪腫
   ・モルガニ孔ヘルニア
   ・横隔膜部分挙上症
   ・リンパ節腫大
   ・胸膜腫瘤(限局性胸水)
  6.小児の縦隔腫瘤
   ・頸部リンパ管嚢腫
   ・定常胸腺
   ・前腸禁絶く気管支蕪胞、食道重複嚢胞)
   ・リンパ腫
   ・結核性リンパ節腫太
   ・紳経節細胞腫、紳経芽細胞腫(應発性、転移性)
   ・ボックダレック孔ヘルニア







飛蚊症(NIS、No.3992(H12/10/28)、P18-23)
1.飛蚊症とは
   硝子体中の混濁物の影が網膜に写り眼球運動とともに動く為眼前を蚊が飛ぶ
  様に見える。蝿に見えたり糸くずや髪の毛にみえることもある。眼科領域では
  最も多い訴えで、大部分は加齢変化にともなうもので無害であるが、網膜裂孔や
  放置すれば失明する裂孔原性網膜剥離、重篤な視力障害をきたすぶどう膜炎など
  の初期症状のこともある。明るい場所で認めやすく白い壁を見る時鮮明になる。
2.原因と頻度(日本眼科医会アンケートより。28施設、男性320、女性605人)
  a.女性に多い
  b.10~88歳(57+-15歳)
  c.随伴症状:光視症(14%)
  d.原因(このうちレーザー光凝固を含む外科的処置は101/937眼であった)
    後部硝子体剥離(65%、加齢変化)>網膜裂孔(7%)>裂孔原性網膜剥離(3%)
   >硝子体出血(3%)>ぶどう膜炎(1%)>その他(13%)>原因不明(7%)
3.飛蚊症に伴う他の症状
  a.光視症:頻度が最も高い。後部硝子体剥離の後におこりやすい。暗い場所で
       自覚しやすい。
  b.視野欠損:網膜剥離の約半分で急性後部硝子体剥離に伴う飛蚊症や光視症を
        伴うが、残りの半数では視野欠損や視力低下が初発自覚症状となる。
  c.変視症:黄斑部が浅く剥離したり浮腫を生じたときに物が歪んでみえる。
  d.視力低下:黄斑部の完全剥離、硝子体の高度な混濁や出血、黄斑部の高度な
        浮腫で視力が低下。
4.対応:飛蚊症に他の随伴症状を伴っておる場合は眼科に必ず紹介する。
    特に内科と関係するサルコイドーシスやベーチェットや内因性真菌性眼内炎
    でも眼科で確診されることが多い。







小児の片側性の上顎部腫脹の鑑別(NEJM 2001;344:752)
1.Inflammatory disease
 ・Odontogeic infction
 ・Dacrocystitis
 ・Parotitis
 ・Sinusitis with complications
2.Developmenltal lesion(incisive-canal cyst)
3.Nonoodontogenic lesions
 1)Maligant
  ・Rhabdomyosarcoma
  ・Lymphoma
  ・Langerhans'-cell histiocytosis
 2)Benign
  ・Central giant-cell granuloma
  ・Ossifying fibroma
  ・Fibrous dysplasia
  ・Arteriovenous malfbomation
  ・Melanotic neuroectodermal tumor of infancy
4.Odontogenic lesions
 ・Globulomaxillary cyst
 ・Odontoma
 ・Ameloblastoma
 ・Ameloblastic fibroma
 ・Adenoameloblastoma
 ・Myxoma
 ・Odontogenic keratocyst







片頭痛の特徴
  時々強い頭痛に悩まされる(月に1〜2回,多いと週に1〜2回)
   ・20人中1〜2人が悩む,女性に多い.
   ・数時間から3日間ほど続く痛み,激しい痛み.
   ・頭の片側(時に両側)がズキンズキンと脈打つ痛み.
   ・吐き気や,実際に吐くことも.
   ・体を動かしたり,音や光で痛みがひどくなる.
   ・前ぶれとして,ギザギザの光が拡がるのが見えることがある(閃輝暗点).







片頭痛の診断基準
(1)前兆を伴わない片頭痛(migraine without aura)
  A.次のB〜Dを満足する発作が5回以上ある
  B.頭痛発作が4〜72時間持続する.
  C.次のうち,少なくとも2項目を満たす
   1.片側性頭痛
   2.拍動性
   3.中等〜強度の痛み(日常生活が妨げられる)
   4.階段の昇降など日常的な動作により頭痛が増悪する
  D.発作中,次のうち1項目を満たす
   1.悪心あるいは嘔吐
   2.光過敏あるいは音過敏
  E.次のうち1項目を満たす
   1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる
   2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる
   3.器質的疾患が存在しても,経過より片頭痛との関係が否定できる
(2)前兆を伴う片頭痛(migraine with aura)
  A.次のBを満たす発作が2回以上ある
  B.次の4項目のうち3項目を満たす
   1.一過性の前兆があり,脳皮質あるいは脳幹の局所神経症状と考えられる
   2.前兆は4分以上にわたり進展し,2種類以上の前兆が連続して生じてもよい
   3.前兆は60分以上持続することはない.2種類以上の前兆の組み合わさるとき
     は,その分持続時間が延長する.
   4.頭痛は前兆後60分以内に生ずる(前兆より以前あるいは同時でもよい)
  C.次のうち1項目を満たす
   1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる
   2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる
   3.器質的疾患が存在しても,経過より片顔痛との関係が否定できる







国際頭痛学会による群発頭痛の診断基準
  A.次のB〜Dを満足する発作が5回以上ある。
  B.眼窩部,眼窩上部および/または側頭部に片側性の激しい痛みが、治療しな
   ければ15〜180分間持続する。
  C.痛みと同側に次のうち少なくとも1項目を伴う。
   1.結膜充血
   2.流涙
   3.鼻閉
   4.鼻汁
   5.前額部と顔面の発汗
   6.縮瞳
   7.眼瞼下垂
   8.眼瞼浮腫
  D.発作頻度が1回/2日〜8回日である。
  E.次のうち1項目を満たす。
   1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる。
   2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる。
   3.器督的疾患が存在しても。経過より群発頭痛との関係が否定できる。







反復発作性緊張型頭痛の診断基準
<反復発作性緊張型頭痛>
  A.以下のB〜Dを充たす頭痛発作が少なくとも10回あり,頭痛のある日数は1年に
   180日(1か月に15日)未満
  B.頭痛の持続時間は30分〜7日.
  C.以下の痛みの少なくとも2つがある
     1.圧迫感または締め付け感(非拍動性)
     2.強さは軽度〜中等度(生活活動は妨げられても中止するほどではない)
     3.両側性
     4.階段の昇降や類似の日常的身体活動により増悪しない
  D.以下の両者
     1.悪心,嘔吐はない(食欲不振はありうる)
     2.羞明と音過敏はないが,いずれか一方だけはありうる
  E.以下の少なくとも一つがある
     1.病歴,身体・神経診察から大分類5〜11(器質的または代謝疾患による
      頭痛)に含まれる疾患はない
     2.病歴,身体・神経診察から大分類5〜11に含まれる疾患が疑われるが,
      適切な検査の結果,頭痛の原因ではない
     3.大分類5〜11に含まれる疾患はあるが,頭痛の始まりに関して緊張型
      頭痛と時間的に密接な関係がない
<頭部筋群の異常を伴う反復発作性緊張型頭痛>
  A.上記の反復発作性緊張型頭痛の診断基準を充たす
  B.以下の少なくとも一つがある
     1.触診または庄痛測定器により頭部筋群に庄痛増強を認める
     2.安静時または生理学検査中に頭部筋群の筋電図発射増強がみられる
<頭部筋群の異常を伴わない反復発作性緊張型頭痛>
  A.上記の反復発作性緊張型頭痛の診断基準を充たす
  B.頭部筋群の庄痛増強はない.検査した場合,頭部筋群の筋電図発射は正常である.







慢性緊張型頭痛の診断基準
<慢性緊張型頭痛>
  A.以下のB〜Dを充たす頭痛が,6カ月間にわたり平均して毎月15日間(1年間に
   180日)出現する.
  B.以下の痛みの少なくとも2つがある
   1.圧迫感または締め付け感(非拍動性)
   2.強さは軽度〜中等度(生活活動は妨げられても中止するほどではない)
   3.両側性
   4.階段の昇降や類似の日常的身体活動により増悪しない
  C.以下の両者
   1.嘔吐はない
   2.悪心,羞明,音過敏のうち2つ以上を示すことはない
  D.以下の少なくとも一つがある
   1.病歴,身体・神経診察から大分類5〜11(器質的または代謝疾患による頭痛)
     に含まれる疾患はない
   2.病歴,身体・神経診察から大分類5〜11に含まれる疾患が疑われるが,適切
     な検査の結果,頭痛の原因ではない
   3.大分類5〜11に含まれる疾患はあるが,頭痛の始まりに関して緊張型頭痛と
     時間的に密接な関係がない
<頭部筋群の異常を伴う慢性緊張型頭痛>
  A.上記の慢性緊張型頭痛の診断基準を充たす
  B.以下の少なくとも一つがある
   1.触診または庄痛測定器により頭部筋群に圧痛増強を認める
   2.安静時または生理学検査中に頭部筋群の筋電図発射増強がみられる
<頭部筋群の異常を伴わない慢性緊張型頭痛>
  A.上記の慢性緊張型頭痛の診断基準を充たす
  B.頭部筋群の庄痛増強はない.検査した場合,頭部筋群の筋電図発射は正常である.







緊張型頭痛の診断基準
(1)反復発作性緊張型頭痛(episodic tension-type headache)
  A.次のB〜Dを満たす頭痛が10回以上ある.頭痛の日数は1か月に15日以下.
  B.頭痛の持続は30分〜7日
  C.頭痛の性状が次の2項目以上を満たす
   1.圧迫あるいは締めつけるような(非拍動性)痛み
   2.軽度〜中等度の痛みで,日常生活を制約はあっても阻害することはない。
   3.両側性
 D.次の2項目とも満たす
   1.悪心,嘔吐を伴わない(食欲低下程度はある)
   2.光過敏・音過敏はないか,あっても一方のみ
  E.次のうち1項目を満たす
   1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる
   2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる
   3.器質的疾患が存在しても,経過より片頭痛との関係が否定できる
(2)慢性緊張型顔痛(chronic tension-type headache)
  A.1か月に15日以上の頭痛が6カ月以上あり,頭痛は次のB〜Cを満たす
  B.頭痛の性状が次の2項目以上を満たす
   1.圧迫あるいは締めつけるような(非拍動性)痛み
   2.軽度〜中等度の痛みで,日常生活を制約はあっても阻害することはない
   3.両側性
   4.階段の昇降など日常的な動作により頭痛は増悪しない
  C.次の2項目とも満たす
   1.嘔吐を伴わない
   2.次の症状が2項目以上随伴することはない
      悪心,光過敏,音過敏
  D.次の1項目を満たす
   1.臨床的に器質的疾患による頭痛を否定しうる
   2.臨床的に器質的疾患が疑われても検査により否定できる
   3.器質的疾患が存在しても,経過より片頭痛との関係が否定できる

  ※緊張型顔痛のリスクファクターと軽快因子
   ・リスクファクター:受動的筋収縮、長時間のうつむき姿勢、細長い首、低血圧
             貧血、痛み閾値の低下、疲労、後頚筋の筋力低下
   ・軽快因子:随意的筋収縮、正しい姿勢、ストレスに強い、血流改善、入浴
         筋力トレーニング







慢性頭痛の鑑別
            片頭痛        緊張型頭痛      群発頭痛
-------------------------------------------------------------------------------
性別、発症年齢  女性、10〜20代   性別・年齢無関係   男性、20〜40代
部位        片側性、前頭部   両側、後頭・後頚部  片側性、眼窩・前額
          -----------------------------------------------------------
性質          拍動性       頭重感・締めつけ感  えぐられる様な激痛
程度        中等度〜高度     軽度〜中等度       激痛
          -----------------------------------------------------------
随伴症状    嘔気・嘔吐・光音過敏  肩こり、首の張り   涙、鼻汁、鼻閉
                                      発汗、結膜住血
          -----------------------------------------------------------
誘発因子    特定の食物、過労      ストレス       アルコール
          寝不足、寝過ぎ、人込み  同一姿勢の維持
          月経など







無嗅症(嗅覚脱失=anosmia)(メルクマニュアル第18版より)
 匂いの感覚の消失。無嗅症の場合には、鼻腔内およ頭蓋内の疾患について徹底した
評価が必要である。嗅覚障害は次のような場合に生じる。(1)鼻腔内腫脹あるいはそ
の他の閉塞により臭気が嗅部へ接近できない。(2)ウイルス性感染、萎縮性鼻炎ある
いは肉芽腫症および腫瘍からの慢性鼻炎の場合のように嗅上皮が破壊されている、(3)
頚部外傷、頭蓋内手術、感染あるいは腫瘍による場合のように嗅神経系、嗅球、および
嗅索すなわち中枢神経路が破壊されている場合。青年の場合は頭部外傷が無嗅症の
主要因であり、高齢の場合はウイルス性感染が主要因である。
 無嗅症は類宦官症(カルマン症候群)の場合、先天的に生じる。無嗅症の患者は、ほ
とんど塩辛い物質、甘い物質、酸っぱい物質、苦い物質に対してはふつうの知覚がある
が、嗅覚に依存した風味の識別能力が欠けている。そのため、患者はしばしば味覚の欠
如を訴える。
 診断の評価には、脳神経および上気道(特に鼻および上咽頭)の検査、臭いと味の同
定および閾値検出に対する精紳生理学的な評価、さらに前頭蓋底の腫瘍と骨折を除外するための造影CTが必要である。
 アレルギー性あるいは細菌性鼻炎や副鼻腔炎に対する治療と鼻茸や良性腫瘍の除去に
より嗅覚が回復することがある。嗅上皮あるいはその中枢神経の破壊を効果的に治療す
る方法はないが、嗅上皮あるいはその中枢神経の再生に続く自然回復がみられることが
よくある。







狭義の舌痛症診断基準(慶應大、1989年、NIS、No.4040(2001/9/9)、P25より)
 1. 舌に表在性の疼痛あるいは異常感*を訴えるが、それに見合うだけの局所
   あるいは全身性の病変**が認められない

  * ヒリヒリ、ピリピリ、チリチリ、ザラザラ、シビレルなどと表現する。
  ** 鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏、糖尿病、航空乾燥症などによる器質的変化
   がない。

 2. 疼痛あるいは異常感は、摂食時に軽減ないし消失し、増悪しない。
 3. 経過中に以下の3症状のうち、少なくとも1症状を伴う。
  @1) 癌恐怖
   2) 正常舌組織を異常であると意味づけて訴える。
  B3) 舌痛症状を歯あるいは保存補綴物などと関連づけて訴える。
 4. うつ病、精神分裂病など内因性精神障害の経過中に出現したものではない

  以上の4項目を満たすものを狭義の舌痛症い。







全身状態の指標(肺癌取り扱い規約によるPS(performance status)のグレード)
 0:無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。
 1:軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や坐業はできる。
   たとえば、軽い家事・事務など。
 2:歩行や身のまわりのことはできるが、ときに少し介助がいることもある。軽労
   働はできないが.日中の50%以上は起居している。
 3:身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上
   は就床している。
 4:身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。







ヒトの必須微量元素とその機能(日医雑誌2002;127:263)
微量元素     作用部位              機能            欠乏症状
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
亜鉛    炭酸脱水酵素、ペプチダーゼ   細胞分裂、核酸代謝    生殖力低下、発育
      アルコール脱水素酵素、アル    各種酵素補因子       遅延、味覚低下
      カリホスファターゼ、ポリメ                     嗅覚低下、免疫力
      ラーゼ、SOD、アンジオテン                     低下、皮膚炎
      シン変換酵素、コラゲナーゼ                    うつ状態
      δ-アミノレプリン酸脱水酵素
      プロティンキナーゼC、ホスホ
      リバーゼC、アスパラギン酸ト
      ランスカルバミラーゼ、ヌク
      レオチドホスホリラーゼ(5'-
      ヌクレオチダーゼ)
       RNア−ゼなど
-----------------------------------------------------------------------------
銅     モノアミンオキシダーゼ、チ    Hb合成、結合織    貧血、毛髪異常
       ロシナーゼ、セルロプラスミ    代謝など         骨・動脈異常
       ン 、SOD                            脳障害
-----------------------------------------------------------------------------
クロム   耐糖因子(GTF)         糖代謝ーインスリン  耐糖能低下
                          膜作用仲介?      成長・生殖低下
                          脂肪代謝         寿命短縮
                                        動脈硬化
-----------------------------------------------------------------------------
ヨウ素   甲状腺ホルモン          細胞酸化過程     甲状腺腫
                                        甲状腺機能低下
-----------------------------------------------------------------------------
コバルト   VB12、造血           メチル化など       悪性貧血
                                        メチルマロン酸尿
-----------------------------------------------------------------------------
セレン    グルタチオンペルオキシダー  細胞内過酸化物の   肝壊死(ラット)
       ゼ、チトクローム(筋)        分解、グルタチオン  白筋病(子羊)
       水銀毒性拮抗            酸化           滲出性体質(ヒナ
                                        ドリ)、克山病
-----------------------------------------------------------------------------
マンガン   ピルビン酸カルボキシラーゼ  酸化的リン酸化、   成長遅延、骨異常
       アルギナーゼ、多くの酵素の   脂肪酸代謝       生殖機能異常
       活性化                蛋白・ムコ多糖・    中枢神経異常
                         コレステロール合成
-----------------------------------------------------------------------------
モリブデン  フラビン酵素(キサンチン   キサンチン・ヒポキ    成長遅延、尿酸
        オキシダーゼ、アルデヒド    サンチン代謝      クリアランス障害
        オキシダーゼ)                         (ヒナドリ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注)1. 亜鉛・銅・セレン・コバルトは動物性食品と植物性食品(特に穀物)に、クロ
    ム・マンガン・モリブデンは植物性食品(特に穀物)に、ヨウ素は海産物に多
    く含まれる。
  2. 一般的日本人の微量元素の摂取状況をみると、一部の人々に鉄・亜鉛・銅・ク
    ロムの欠乏がみられる.コバルト・モリブデン・セレン・ヨウ素の欠乏は、ほ
    とんどみられない。







亜鉛欠乏の原因となる主な病態と疾患(日医雑誌2002;127:264)
  1. 摂取不足
   1)低亜鉛食:動物性蛋白の少ない食事(菜食主義者)
   2)食品生産過程での亜鉛喪失:人工ミルクにおける脱塩処理
   3)静脈栄養、経腸栄養
   4)低栄養
  2. 吸収障害
   1)先天性:腸性肢端皮膚炎(きわめてまれ)
   2)後天性
     @・吸収阻害物質摂取:フイチン酸、食物繊維
     A・吸収不良症候群:肝障害、膵障害、炎症性腸疾患、短腸症候群
     B・薬剤、キレート剤:EDTA、ペニシラミン
  3. 過剰喪失
   1)消化液への喪失:小児難治性下痢症、腸痩、下痢を伴う消化器疾患
   2)尿中排泄増加:肝硬変、糖尿病、腎疾患、溶血性貧血、静脈栄養、
            異化亢進時(手術、 外傷、感染症など)、利尿剤
   3)その他:火傷、透析
  4. 需要増大
    妊娠、新生児(未熟児)、同化亢進時(静脈栄養時など)
  5. 不明
    先天性胸腺欠損症、モンゴリズム







亜鉛欠乏による症状(日医雑誌2002;127:264)
  1. 食欲低下
  2. 発育障害
  3. 皮膚癌状
    ・開口部(口・眼・肛門など)周囲から四肢へ拡大
    ・水疱性・膿疱性皮庸炎、びらん性湿疹、角化症、皮膚の萎縮
  4. 脱毛、禿頭
  5. 性腺機能障害
  6. 創傷治癒遅延
  7. 易感染性(免疫能低下)
  8. 味覚低下、嗅覚低下
  9. 異食症
  10. うつ状態・情緒不安定
  11. 運動失調
  12. 痴呆(仮説)
  13. 耐糖能低下
  14. 白内障増加
  15. 暗順応不全(夜盲症)
  16. 虚血性心疾患増加
  17. 発癌増加
  18. 妊娠異常







過粘度症候群(Hyperviscosity syndrome)の原因疾患(『症候群1982』日本臨牀、1982)
  1. 血液粘度の明らかな上昇はつぎの3つの病態群で認められる
    (1)赤血球数の著しい増加
    (2)赤血球の変形が起こりにくいとき:鎌状赤血球症、球状赤血球症
    (3)血漿蛋白濃度が著しく増加
  2. 具体的な疾患
     1)マクログロブリン血症(特にWaldenstroem型)
       IgM型M蛋白(分子量約100万)が3g/dl以上になると加速度的に血液
      粘度が上昇する。臨床的には5g/dlで過粘度症候群を招くようになる。
      原発性マクログロブリン血症の約38%に過粘度症候群が合併する。
     2)多発性骨髄腫
       a. IgG型骨髄腫:約4%に認められる
        ・第一群:IgG3型M蛋白が4g/dl以上になると発現する
        ・第二群:IgG型M蛋白が10g/dl以上になると発現する
        ・第三群:M蛋白の固有粘度が高いとき
       b. IgA型骨髄腫:極めて稀だがIgA型M蛋白が5g/dl以上のとき発現する
     3)リウマチ様疾患
       a. リウマチ様因子活性を持ったIgMがIgGと結合してimmune complexを
        作りcryoglobulinの性状を示す。
       b. 多クローン性高γ-グロブリン血症の患者で、まれに13.5S-IgG-IgG
        complexをつくる場合
     4)真正多血症
     5)その他:POEMS(polyneuropathy,organomegaly,endocrinopathy,M-protein
          and skin lesions) syndrome、シェーグレン症候群、クリオグロ
          ブリン血症、リンパ腫など







赤血球破砕症候群の基礎疾患(『症候群1982』日本臨牀、1982、P569)
  A. 心および大血管の異常
   1. 人工弁および移植弁
   2. 弁形成
   3. 弁膜症
   4. 大動脈縮窄症
  B. microangiopathic hemolytic anemia(MHA)
   1. hemolytic uremic syndrome(HUS)
   2. thrombotic thrombocytopenic purpura(TTP)
   3. 播種性血管内凝固症候群(DIC)(敗血症、電撃性紫斑病、熱症、胎盤
     剥離など)
   4. 免疫機序によるmicroangiopathy(SLE、急性糸球体腎炎、同種移植拒絶
     症、PN、PSS、Wegener肉芽腫症、全身性アミロイドーシスなど)
   5. 血管腫(巨大血管腫、肝血管内皮腫、Kasabach-Meritt症候群など)
   6. 癌の播種性転移(胃、乳腺、肺、前立腺癌など)
   7. 妊娠(子癇、分娩後HUSなど)
   8. 悪性高血圧症
   9. 経口避妊剤
 C. 赤血球の異常
    ある種の不安定Hb症







臨床経過中に生じた血小板減少症に対して考慮すべき疾患(NEJM 2002;346:1565)
  1. 外来患者
    1) 妊娠
    2) 免疫原性血小板減少性紫斑病
    3) MDS
    4) 脾機能亢進症
    5) 抗リン脂質抗体症候群
  2. 入院患者
    1) 薬剤誘起性血小板減少症
    2) 敗血症
    3) DIC
    4) 希釈性血小板減少症
    5) 輸血後血小板減少症
  3. 心疾患を持った入院患者
    1) ヘパリン誘起性血小板減少症
    2) 血小板グリコプロテイン IIb/IIIa 受容体拮抗剤投与中
    3) アデノシン2リン酸受容体拮抗剤投与中
    4) 冠動脈バイパス移植手術
    5) 大動脈バルーンポンプ使用中
  4. 救急管理施設内にて加療中の患者
    1) 急性アルコール中毒
    2) TTPまたはHUS
    3) 免疫原性血小板減少性紫斑病
    4) 薬剤誘起性血小板減少症







眼底変化(動脈硬化および高血圧)
 1. Scheie 動脈硬化性変化
   S-0:正常
   S-1:細動脈反射増強
   S-2:交叉現象
   S-3:交叉現象と銅線動脈
   S-4:交叉現象と銀線動脈
 2. Scheie 高血圧性変化
   H-0:高血圧なし、あっても眼底は正常
   H-1:細動脈狭細化
   H-2:細動脈の局所的な口径の不規則(軽度)
   H-3:細動脈の局所的な口径の不規則(中等度)、網膜出血、網膜内滲出性変化
   H-4:細動脈の局所的な口径の不規則(高度)、網膜出血と滲出、乳頭浮腫







寝たきり状態など身長・体重計測が困難な場合の推定法(NIS 2005;4244:94)
    KH:膝高(cm)
    TSF:上腕三頭筋皮下脂肪厚(mm)
    AC:上腕周囲長(cm)
  1. 身長
    男性:64.02 + 2.12×KH - 0.77×年齢(±3.43)
    女性:77.88 + 1.77×KH - 0.10×年齢(±3.26)
  2. 体重
    男性:1.01×KH + 2.03×AC + 0.46×TSF + 0.10×年齢 - 49.37(±5.01)
    女性:1.24×KH + 1.21×AC + 0.33×TSF + 0.07×年齢 - 44.43(±5.11)







不育症(NIS 2005;4245(H179/3):24-30)
  ※妊娠はするが流産・死産を繰り返し、生児が得られない状態。
   自然流産は全妊娠の10〜15%の割合で発生。3回以上繰り返す習慣性流産は
   0.5〜3%の頻度で起きる。
 A. 不育症の原因
   1. 子宮形態異常
      子宮奇形、粘膜下筋腫、子宮腔癒着症(Asherman症候群)など
   2. 内分泌代謝異常
      黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病
   3. 感染症(これが不育の原因になるかどうかは議論が多い)
   4. 血液凝固異常
      抗リン脂質抗体症候群、第XII因子低下症など
   5. 免疫異常
      自己免疫異常(抗リン脂質抗体症候群を含む)、同種免疫異常
   6. 染色体異常
      夫婦のいずれかあるいは両方に相互転座やローバートソン転座が3〜5%
     の割合で見つかるという。また正常変異を含めると6%以上になるという。
   7. その他
 B. 不育症原因の異常検出率(%) (日本医科大学産婦人科)
   1. 子宮形態異常    16.0
     ・弓状子宮      9.6
     ・中隔子宮      2.1
     ・双角子宮      1.1
     ・単角子宮      1.1
     ・重複子宮      0.0
     ・子宮筋腫      3.2
     ・Asherman症候群    2.1
   2. 内分泌異常
     ・黄体機能不全     6.0
     ・高プロラクチン血症   4.0
     ・潜在性高プロラクチン血症 21.4
     ・甲状腺機能異常
       甲状腺機能亢進    3.4
       甲状腺機能低下    2.3
   3. 代謝異常
     ・糖尿病(耐糖能異常)   1.0
   4. 免疫異常
     ・抗核抗体     20.2
     ・抗リン脂質抗体   24.0
       LAC      2.3
       aCL IgM        l0.3
       aCL IgG    18.0
       aβ2 GPI        1.3
       aPE IgG        16.2
       aPE IgM        18.9
       aPS IgG         2.9
       aPS IgM        35.3
     ・高NK細胞活性       37.2
   5. 染色体異常          5.1







家族性片麻痺性片頭痛(FHM)の診断基準(ICHD-II)
  A. BおよびCを満たす頭痛発作が2回以上ある
  B. 前兆は、完全可逆性の運動麻痺(脱力)と、少なくとも以下の1項目からなる。
    1. 陽性徴候(きらきらした光・点・線など)および・または陰性徴候(視覚
     消失)を含む完全可逆性の視覚症状
    2. 陽性徴候(チクチク感)および・または陰性徴候(感覚鈍麻)を含む完全
     可逆性の感覚症状
    3. 失語性言語障害で完全可逆性
  C. 少なくとも以下の2項目を満たす
    1. 少なくとも1つの前兆は5分以上かけて徐々に進展するか、および・または
     異なる複数の前兆が引き続き5分以上かけて進展する
    2. それぞれの前兆の持続時間は5分以上24時間未満
    3. 1. 1「前兆のない片頭痛」の診断基準B〜Dを満たす頭痛が、前兆の出現中
     もしくは前兆開始後60分以内に生じる
  D. 少なくとも1人の第1度もしくは第2度近親者にA〜Eを満たす頭痛発作がある
  E. その他の疾患によらない







胸部単純レ線像で右横隔膜の部分的挙上があるとき
 ※吸気撮影では通常横隔膜の頂点は鎖骨中線より内側。高さは第6肋骨の前端から
  第5/6肋間にある。左より1/2肋間高いか同じレベル。
 1. 横隔膜病変: 横隔膜脆弱化(これが一番多い)
         横隔神経麻痺、横隔膜弛緩、横隔膜腫瘍
 2. 腹腔内異常:横隔膜下膿瘍、肝腫瘍、消化管ガス、ときに横隔膜ヘルニア
 3. 肺容積減少:無気肺、術後肺
 4. 病的意義なし:上記の疾患を全て否定した上で結論







不正性器出血について(NIS 2005;No.4261(H17/12/24):12-16)
  1. 各時期の代表的な不正性器出血
    幼児・小児期:外傷性、炎症性、機能性
    思春期:機能性、妊娠性
    性成熟期:妊娠性、機能性、腫瘍性、炎症性外傷性
    更年期:腫瘍性、機能性
    老年期:腫瘍性、炎症性
  2. 器質性出血の主な原因
    1) 妊娠
     ・妊娠前半:着床不全流産、胞状奇胎、子宮外妊娠
     ・妊娠後半:早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離
     ・分娩・産棒期:膣・会陰裂傷、子宮頚管裂傷、子宮破裂、臍帯卵膜付着、
               弛媛出血、胎盤遺残
    2) 外陰
     ・外傷:挫傷、裂傷
     ・炎症・感染:外陰炎、性器ヘルペス、ベーチェット病
     ・腫瘍:外陰癌、乳房外ページェット病、悪性黒色腫
    3) 膣
     ・外傷:裂傷、血腫
     ・炎症:膣炎、異物
     ・腫瘍:膣癌、悪性黒色腫、膣断端肉芽
    4) 子宮頸部
     ・外傷・炎症:子宮腹部びらん、子宮頚管炎
     ・良性腫瘍:子宮頚管ポリープ
     ・悪性腫瘍:子宮頚癌
    5) 子宮内腔
     ・外傷・炎症:子宮留血腫、子宮留膿腫、避妊器具(IUD)
     ・良性腫瘍:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮内膜増殖症
     ・悪性腫瘍:子宮体癌、子宮肉腫
    6) 付属器
     ・外傷・炎症:卵管留血腫、卵管留膿腫
     ・悪性腫瘍:卵管癌
    7) 内分泌疾患
     ・視床下部・下垂体
     ・卵巣、甲状腺、副腎
    8) 血液疾患
     ・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、白血病、von Willebrand病、
      その他
  3. 機能性出血の主な原因
    1) 無排卵性
     ・中枢性:視床下部一下垂体系の異常、ストレス、感情障害、神経障害、
           薬物(向精神薬、ステロイド)
     ・末梢性:卵巣の機能異常、子宮内膜の増殖
     ・全身疾患:内分泌代謝異常(甲状腺、副腎疾患)、慢性疾患、栄養障害
     ・生理的:思春期、更年期
    2) 排卵性
     ・黄体機能不全、卵胞持続、黄体持続、排卵期出血






純然たる免疫抑制状態を決定する因子(NEJM 2006;354:184)
  (特に移植の6か月以内は各種因子の影響で免疫抑制状態は高度である)
  1. 基礎疾患による宿主の防御反応の欠損
  2. 免疫抑制剤の投与量、投与期間とそれに続く一時的な免疫抑制状態
  3. 白血球減少
  4. 代謝過程への影響(タンパク/カロリー不均衡と栄養障害、貧血、高血糖)
  5. ウイルス感染(cytomegalovirus、Epstain-Barr virus、Hepatitis-B,C、HIV )
  6. 年齢
  7. 元々存在する免疫抑制状態






小児における滲出性網膜剥離の原因(NEJM 2006;354:744)
 1. Hereditary conditions
   ・Congenital retinoschisis
   ・Incontinentia pigmenti
   ・Familial exudative vitreoretinopathy
 2. Developmental abnormalities
   ・Morning glory syndrome(a congenital anomaly in which the optic
     disk is filled with glial tissue)
 3. Inflmmatory disorders
   ・Ocular toxocariasis
   ・Congenital toxoplasmosis
   ・Herpes simplex retinitis
   ・Peripheral uveitis
   ・Endogenous endophthalmitis
   ・Orbital cellulitis
   ・Congenital cytomegalovirus retinitis
 4. Tumors
   ・Retinoblastoma
   ・Circumscribed choroidal hemangioma
   ・Retinal-capllary hemangioma
   ・Combined retinal hamartoma
   ・Retinal astrocytoma
   ・Retinal oligodendroglioma
   ・Brain choristoma
   ・Leukemia
 5. Other conditions
   ・Coats' disease
   ・Retinopathy of prematurity
   ・Ocular hypotony






感冒罹患後嗅覚障害について(深澤啓二郎:NIS 2006;No.4275(H18/4/1):98)
  感冒罹患後後の嗅覚障害は決して稀ではなく、筆者の経験では、鼻副鼻腔炎に
 次いで2番目に多い嗅覚障害の原因である。
  感冒罹患直後は、急性鼻炎の状態であり、鼻粘膜腫脹による嗅覚障害(嗅裂へ
 においが届かない)が主な病態となる。感冒症状が軽快したにもかかわらず(鼻
 粘膜腫脹が軽快)、嗅覚障害を認める例が、感冒後嗅覚障害例として受診するこ
 とが多い。症状発症から1〜2か月以上経過してから嗅覚障害を自覚することが多
 く、耳鼻咽喉科を受診される時期もその後のことが多い。細菌感染による嗅粘膜
 障害あるいはウイルス感染による嗅神経(嗅細胞)障害が病態と考えられている。
 ただ、嗅細胞障害を来す特定ウイルスは不明である。
  筆者らの調査では6、7月に発症することが多い。年齢分布は50〜60歳代が多く、
 若年者には少ない。嗅細胞は出生後も分裂・分化を行い、常に更新されているが、
 加齢による分裂・分化能の低下により感冒による障害に対する回復能が低下した
 ためと考えられる。嗅覚障害の程度は、嗅覚脱失・高度嗅覚障害例が多く、急激
 な嗅覚障害を経験することによる風味障害を訴えることも多い(風味障害とは、
 味覚機能は正常であるが、高度嗅覚障害のため自覚的に味覚異常を訴えることを
 いう)。さらに、異常嗅感(どんなにおいも同じにおいに感じる、自発的に何か
 においを感じてしまう)も比較的よくみられる。発症1〜3か月後に来院すること
 が多く、その時点での鼻内所見(嗅裂)は多くは正常であり、鼻閉などの症状も
 みられない。 
  治療は一般的にステロイドが使用される。ステロイド点鼻療法、ステロイド懸
 濁液鼻粘膜局所投与法、ステロイド内服などが行われる。この中でもステロイド
 点鼻療法は最も広く行われており、使用量に留意すれば安全な治療法である。懸
 垂頭位での点鼻で多少のテクニックが必要であること、点鼻は患者自身で行うた
 め治療に対する意欲がないと、なかなか点鼻を続けられないこともある。少なく
 とも3か月は治療を行い、場合によっては6か月程度まで使用することもある。
  内服治療は比較的多くのステロイドを使用することで副作用の点で注意が必要
 である。内服投与の性質上、長期にわたる投与は困難であろう。鼻粘膜局所投与
 法は、ステロイドの使用量が少なく、副作用の点で有利であり、医師が確実に鼻
 粘膜へ局所投与可能である。使用するステロイド総量は、点鼻治療とほぼ同じに
 なる。ただし2週間ごとの通院が必要である。
  ステロイド以外に、ATP製剤、ビタミンB12製剤を投与することが多い。ステロ
 イドも含め、これら薬物の感冒罹患後嗅覚障害への有用性についてのエビデンス
 は今のところ少ないが、治療成績は50〜60%で有効であったとの報告が多い。ただ
 し、嗅覚機能検査として本邦では基準嗅力検査があるが、十分に普及している検
 査法とはいえず、嗅覚改善の基準がなく治療成績の比較が行えていないのが現状
 である。
  治療期間については、1年程度はあきらめずに治療を続けることを提唱したい
 (ステロイドは最初の3か月程度まで)。筆者らの検討でも1年程度は改善する可
 能性が示唆されている。ステロイド以外に、当帰芍薬散、lipoic acidが有用で
 あったとの報告もある。
  本例においては、感冒後嗅覚障害を訴えており、上記解説の病態を来している
 と考えられる。ストレス・生活習慣により嗅覚障害を来しやすいとのエビデンス
 はなく、味覚障害で提唱されている亜鉛欠乏の影響も、嗅覚障害では否定されて
 いる。
  感冒後に急性副鼻腔炎を併発することもあり、その場合は副鼻腔炎治療を行う
 必要がある。上記症例呈示では詳細不明であることも付け加えておく。







◎肝・脾の多発病変の鑑別診断(NEJM 2006;355:944)
 1. Noninfectious cause
  1) Hodgkin's and non-Hodgkin's lymphoma
  2) Acute leukemia
 2. Infectious cause
  1) Pyogenic bacteria
   ・Salmonella
   ・Staphyloococci and streptococci
   ・Anaerobes
   ・Enteric organisms
   ・Bartoneella henselae
   ・Yersinia pseudotuberculosis or Y. enterocolitica
   ・Listeria monocytogenes
   ・Campylobacter jejuni
   ・Fusobacterium nucleatum
   ・Leggionella pneumophilia
  2) Entamoeba histolytica
  3) Echinococcus
  4) Mycobacterium tuberculosis







◎下肢にできる潰瘍の鑑別診断(NEJM 2007;356:1053)
 1. Vascular/Arterial and thrombotic diseases
  ・ Thromboangiitis obliterans (Buerger's disease)
  ・ Cholesterol embolization
  ・ Venous disease with stasis  、
  ・ Lymphedema
  ・ Antiphospholipid-antibody syndrome
  ・ Vasculitis
   1) Cryoglobulinemia
   2) Wegener's granulomatosis
   3) Rheumatoid arthritis
  ・ Disseminated intravascular coagulation
  ・ Heparin-induced thrombocytopenia
  ・ Warfarin-induced skin necrosis
 2. Neuropathic ulcers
 3. Infections
  ・ Osteomyelitis
  ・ Necrotizing fasciitis with organisms such as clostridia,
  group A streptococcus, andYViblio vulnificus
  ・ Tuberculosis
  ・ Fungal infections
   1) Cryptcoccus neoformans
   2) Coccidioides immitus
 4. Hematologic disorders
  ・ Polycythemia vera
  ・ Essential thrombocythemia
  ・ Therapy with hydroxyurea
 5. Necrobiosis lipoidica diabeticorum
 6. Pyoderma gangrenosum
 7. Sweet's syndrome
 8. Erthema nodosum, sarcoidosis, inflammatory bowel disease,
   Weber-Christian disease
 9. Cancer (squamous-cell carcinoma)
10. Calciphylaxis







◎過長茎状突起症(イーグル症候群:Eagle syndrome、医学書院 医学大辞典より)
  側頭骨下面から延びる茎状突起が異常に長く,口蓋扁桃付近にまで達するもの。
  茎状突起先端に付着する茎突舌骨靭帯が,化骨機転の異常により骨化して過長と
  なる。舌咽神経, 内・外頸動脈および周囲組織などを圧迫,刺激することで,咽頭
  痛,嚥下痛,耳痛,咽頭異物感,時に頸動脈症候群による側頭部痛などを引き起こす。
  触診により口蓋扁桃付近に 骨様索状物が触れ,X線検査,特にオルソパントモグラ
  フィで診断が確定する。
  経口的に扁桃窩の切開または扁桃摘出術を行い,茎状突起に達してから過長部分
  を切除する。米国の耳鼻咽喉科医イーグル(Eagle WW)が報告した。
  Eagle WW: Symptomatic elongated styloid process. Report of two cases
  of styloid process-carotid artery syndrome with operation. (Arch. Otola-
  ryng. 49:490-503, 1949)







◎乳幼児の主な眼疾患と症状(日医雑誌 2007;136(7):CH-75)
  1. 眼脂:結膜炎、先天性鼻涙管閉塞、睫毛内反症
  2. 流涙:先天性鼻涙菅閉塞、睫毛内反症、先天緑内障
  3. 充血:結膜炎、睫毛内反症、網膜芽細胞腫
  4. 眼位異常:(内斜視、外斜視、上下斜視など)、器質的眼疾患
  5. 眼振:先天眼振、両眼性の器質的眼疾患
 6. 小眼球:真性小眼球、先天白内障、コロボーマ、第一次硝子体過形成遺残
  7. 眼球突出:血管腫、リンパ管腫、前眼部ぶどう腫、網膜芽細胞腫、
    先天緑内障、眼窩蜂窩織炎
  8. 眼瞼下垂:先天眼瞼下垂、瞼裂狭小症候群、動眼神経麻痺、血管腫
    general fibrosis syndrome、Marcus Gunn現象
  9. 角膜混濁:緑内障、強膜化角膜、ピータース奇形、前眼部ぶどう腫、
    先天代謝異常、先天感染、分娩時外傷
 10. 虹彩の異常:瞳孔膜遺残、無虹彩症、コロボーマ、白子症
 11. 瞳孔領白濁:網膜芽細胞腫、先天白内障、第一次硝子体過形成遺残、
     未熟児網膜症、コーツ病、コロボーマ







◎疾患と補体(JPN J Med 1989;28:117)
 I型:補体欠損症。遺伝性で、補体系の一次的異常。
  II型:補体価は正常または高値を示しかつ補体系が病態を促進
  a. 抗体が関与した補体系の活性化がみられる。
    発作性寒冷血色素尿症、大半の細菌性・ウイルス性感染症
  b. 抗体が関与しない神体系の活性化がみられる。
    痛風、火傷、外傷、手術後、皮膚科疾患(ペンフィグス)、発作性
   夜間血色素尿症、細菌感染、ウイルス藤染
 III型:低補体価を示し主として免疫異常が関与する疾患。
    自己免疫疾患(特にSLEの発病初期)、溶連菌感染後糸球体腎炎、
   膜増殖性腎炎、免疫複合体病、エンドトキシンショック、後天性C1イン
   ヒビター欠損症(→ 遺伝性血管性浮腫(HAE)に関連)、C9欠損症(日本人に
   多い)、低補体性蕁麻疹様血管炎、C1欠損症(欧米人に多い、CH50は測定不能)ほか







◎自己炎症疾患の特徴(NIS 2008;No.4367(H20/1/5):142)
疾患名 FMF HID TRAPS PFAPA CINCA関連 Blau/EOS PAPA
遺伝形式 常劣 常劣 常優 不明 常優 常優 常優
発症年齢 5-20歳 1歳以下 2週-53歳 3-4歳 1歳以下 6カ月-12歳  
発熱期間 半日-3日 4-6日 1週間以上 2-7日 不定 半数例で発熱  
発熱間隔 1か月 4-6週 2〜数か月 2-4週      
随伴症状 漿膜炎
(腹痛,胸痛)
関節腫脹
頸部リン パ節腫脹
下痢
皮疹
関節炎
漿膜炎
(腹痛,胸痛)
関節痛
筋痛
結膜炎
皮疹
アフタ性口内炎
咽頭炎
扁桃炎
リンパ節炎
蕁麻疹
感音性
難聴
関節症状
中枢神経症状
ぶどう膜炎
関節炎
皮疹
関節炎
膿皮症
アクネ
検査所見 (発作時) (発作時) (発作時) (発作時) (持続的に)    
CRP陽性 血清IgD高値
血清IgA高値
(80%)
CRP陽性
尿中メバロン酸増加
WBC↑
CRP陽性
(間欠期)
可溶性
TNFR
軽度低下
CRP陽性
血清IgD
軽度増加
(60%)
CRP陽性 CBCに
異常を認めない時あり
 
責任遺伝子 MEFV     不明 CIAS1 NOD2/CARD15
CD2BP-1
責任蛋白 パイリン nevalonate
kinase
TNF受容体
type1
  クライオ
パイリン
Nod2/Card15
治療 コルヒチン ステロイド
スタチン
ステロイド
エンブレル
ステロイド,
扁桃摘出
H2-blocker
アナキンラ ステロイド
レミケード
エンブレル
レミケード
FMF:家族性地中海熱
HID:高IgD症候群
TRAPS:TNF受容体関連周期熱症候群
PFAPA:アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群
CINCA関連:慢性乳児期発症、神経・皮膚・関節症候群(CINCA)/Muckle-Wells
症候群/家族性寒冷蕁麻疹(同一の遺伝子異常によって発症)
Blau/EOS:Blau症候群/若年性サルコイドーシス(同一の遺伝子異常によって発症)
PAPA:化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群







◎様々な原因による血管性浮腫の鑑別(NEJM 2008;359:1031)

  C4 抗原性C1抑制因子 機能性C1抑制因子 C1q C3
1. 遺伝性血管性浮腫 ↓(1型)or →(2型)
2. 後天性C1抑制因子欠乏 ↓ or → →or↓
3. C1抑制因子正常の遺伝性血管性浮腫
4. ACE-I関連血管性浮腫
5. 特発性血管性浮腫
6. アレルギー性血管
7. NSAID関連血管性浮腫
8. 蕁麻疹様血管炎を伴う血管性浮腫






◎ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus、HPV)の型と臨床症状の関係(清水宏氏著『あたらしい皮膚科学』中山書店、p.432)

HPVの型 臨床症状
1 ミルメシア(手掌足底部のドーム状の小結節、圧痛、発赤)
2,4,7,26-29 尋常性疣贅
3,10 (青年性)扁平疣贅
5,8,9,12,14,15,
17,19-26,36,47,50
疣贅性表皮発育異常症
57,60 足底表皮嚢腫
6,11 尖圭コンジローム
16,18,31,33-35,
39-41,51-60
子宮頚部異形成、子宮頚癌
13,32 oral focal epithelial hyperplasia
13,32 喉頭癌






◎低血圧の臨床的分類(日本医事新報 2010;No.4491(H22/5/22):43-48)
  ※5〜89歳の危険率5%未満の低血圧(収縮期100mmH以下)は14.9%(男7.8% <女21.9%)
  ※低血圧に有意な症状:倦怠感・冷え・朝起き不良・青白さ・腹痛・乗り物酔い
        汗をかきにくい・しびれ感。
        (めまい・午前中の不良は無関係)
  A. 体質性低血圧(一般的な本態性低血圧):低血圧があっても日常生活に支障がな
  い場合.
  B. 病的低血圧:日常生活に支障があり、症状のある低血圧
   1. 本態性低血圧:臥位、立位といった体位に関係なく、低血圧を示し、症状が
   あるもの。高齢者の本態性低血圧には小心臓症候群(CTR40%未満)がかなり
   多く存在する。
  2. 起立性低血圧:臥位では正常な血圧(収縮期血圧)が、立位になると21mmHg
   以上低下するもの。原因不詳の特発性起立性低血圧と、何か特定の原因があ
   って二次的に低血圧を発症する症候性起立性低血圧がある。症候性起立性低
   血圧の代表的な疾患に、糖尿病性神経障害、シャイ・ドレーガー症候群・パ
   ーキンソン病などの変性疾患がある。起立後の血圧低下から、「立位直後」
   に最も血圧が低下する型と、「立位10分後」に徐々に血圧が低下する型とが
   ある。高齢者では前者が多い。小児によく見られる起立性調節障害(OD)は
   、体位変換による血圧変動の不全症を言う。
  3. 食後性低血圧:食事の後、低血圧反応を起こす。高齢者の3割に見られる。
   高血圧治療者、糖尿病、シャイ・ドレーガー症候群、パーキンソン病、臥位
   患者にも多い。
  4. 入浴時低血圧:入浴後、末梢血管が拡張し、低血圧反応を起こし、矢神する
   こともある。
  5. 透析低血圧:一過性の透析時低血圧と慢性の非透析時低血圧に分けられる。
  6. 症候性(二次性)低血圧:低血圧を引き起こす原因疾患があり、そのため
   低血圧になってしまうもの。潜在性心不全(夜間頻尿-->尿意-->起立すると
   血圧低下--->転倒・骨折など)、栄養失調状態(がんの末幸、糖尿病や神経
   難病の進行した状態、慢性肝炎、肝硬変などの様々な疾患の末期)、肺結核
   などの慢性感染性貧血、甲状腺機能低下症、アジソン病、シモンズ病、神経
   性食思不振症(拒食症)などに伴う低血圧がある。また、脳梗塞などによる
   低運動、寝たきりでも起こる。
  7. 薬剤性低血圧:亜硝酸製剤、降圧薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬など多
   数あ る。漫然と降圧薬を使用している時に起こりやすい。
  8. 低血圧とうつ病
   うつ病の診断にZungの「自己記入式うつスケール」を用いると低血圧の殆
   どがうつと重なり偽陽性を作り易い。こうした患者に抗うつ剤をつかうとそ
   のα遮断作用で余計に低血圧になるので注意する。
  C. 低血圧の治療薬
  エチレフリン、ジヒドロエルゴタミン(小児のOD)、アメジニウム(心拍出量
  低下低血圧)、ミドドリン(静脈うっ血の強い低血圧)、CoQ10(心拍出量低下)
  抗精神薬(ジアゼパム、スルピリド)、VB1・VB2など。   






◎肺と骨に侵襲する可能性のある疾患(NEJM 2010;362:2018)
  1. 悪性腫瘍
   1) 原発性肺癌
   2) 肺と骨への転移癌
   3) 神経内分泌腫瘍
   4) 脂肪腫症
   5) リンパ腫
  2. 感染症
   1) マイコバクテリウム感染症(結核)
   2) 真菌症
   ・ブラストミセス症
   ・ヒストプラスマ症
   ・コクシディオイデス症
   3) 慢性細菌感染症
   ・ノカルディア症
   ・メリオイドーシス(Burkholderia pseudomallei感染)
  3. 炎症性疾患または特発性疾患
   1) サルコイドーシス
   2) ウェゲナー肉芽腫症
  4. Storage disease
   1) ゴーシェ病
   2) ファブリ病
   3) ニーマン・ピック病
   4) ヘルマンスキー・パドラック(Hermansky-Pudlak)症候群
  5. Disorders of histiocytes and dendritic cells
   1) エルトハイム・チェスター(Erdheim-Chester)病
   2) ランゲルハンス細胞性組織球症