日本の高齢化の問題・老人性痴呆・痴呆性老人

※日本の高齢化の推計値 ( 厚生省人口問題研究所、平成 4年 9月推計)

2000年 2010年 2025年
総 人 口 12739万人 13040万人 12581万人
65歳以上人口 2170 (17.0%) 2775 (21.3%) 3244 (25.8%)
70歳以上人口 1462 (11.5%) 1973 (15.1%) 2557 (20.3%)
75歳以上人口 874 ( 6.9%) 1302 (10.0%) 1822 (14.5%)
要介護老人 280万人 390万人 520万人


※痴呆性老人の将来推計
  (国立精神・神経センター精神保険研究所、大塚俊男)

65才以上の痴呆性老人 65才以上の老人人口に対する割合
1990年 993801人 6.7%
2000年 1499596人 7.0%
2010年 2131732人 7.9%
2020年 2741062人 8.6%
2030年 3083450人 9.9%
2040年 2995635人 9.4%


※痴呆性患者の入院・入所数の推計
( 国立精神・神経センター精神保険研究所、大塚俊男ら)
(1). 平成2年の推計数
   一般病院      : 59869人
   老人病院      : 54306人
   精神病院      : 32973人
   老人保険施設    : 12089人
   特別養護老人ホーム : 82724人
   養護老人ホーム   : 12930人   合計 : 254891人

  ●在宅ケア推定数 = 993801 - 254891人 = 738910人 (74.4%)








人口の推移
  (1994年に45才の人が75才になった時を想定) (1996/4/8、鳥越推計)

1997年 2024年
0 〜 19才人口 2700万人 2000万人
------------------------------------------------------------
20 〜 64才人口
(20 〜 39才人口)
(40 〜 64才人口)
7825万人
(3550万人)
(4275万人)
6800万人
(2800万人)
(4000万人)
------------------------------------------------------------
65才以上人口 1875万人 3200万人
============================================================
合計
(要介護老人)
12400万人
(250万人)
12000万人
(500万人)


●非生産年齢人口/生産年齢人口 = (全人口ー(20 〜 64才人口))/(20 〜 64才人口)
        1994年 = 4575/7825 = 0.58
        2024年 = 5200/6800 = 0.76
 ※生産年齢人口 (20 〜 64才人口) の人的負担率は 30年後には
  0.76/0.58=1.31倍になる程度のものである。また少子化により子供に対
  する負担が少なくなり人的負担の重さは今とトントンと考えるのが妥当)。

●40 〜 64才人口が主に要介護老人をおしなべて介護するとすれば
       人的介護負担率 = (要介護老人数)/(40 〜 64才人口)
          1994年 = 250/4275 = 0.06
          2024年 = 500/3300 = 0.13
       (40 〜 64才人口には要介護者がいないものと考える)
 ※要介護老人に対する人的介護負担率も 30年後には約 2倍となる程度で、
  大騒ぎする程でもない。








老人保険法

(1). 老人病院
 1. 特例許可老人病院:老人慢性疾患患者が 70% 以上。
  1). 入院患者 100人あたり、
    医師 3人・看護婦 17人・介護職員 13人の基準 (特例)
  2). 入院医療管理料等に特別の診療報酬体系
 2. 特例許可外老人病院:70才以上の老人患者が 60% を越えた病院。
   特例許可も特別の診療報酬体系もない

(2). 老人保険施設 (S63年以降)
   慢性疾患が治療され、病状が安定しもはや入院医療は不必要となったが医
   師の管理下に看護や介護等医療ケアが必要な、病弱な寝たきり患者や痴呆
   性老人を対象。
  1). 医療と福祉の中間施設。家庭復帰を目指す。
  2). 入所者 100人あたり、医師 1人・看護婦 8人・介護職員 20人・
    相談指導員1人・理学療法士または作業療法士1人が必要
  3). 看護・介護・機能訓練等の医療、日常生活のサービスを行う
  4). デイ・ケア:機能訓練・食事・入浴等
  5). 基本施設療養費は市町村から 22万円を上限に支払われるが、約 5万円
    の利用者負担金が必要。

(3). 老人福祉施設
 1. 養護老人ホーム
   65才以上の老年者で経済的・心身的・環境上の事情から自宅での生活が
   困難な者を収容。

 2. 特別養護老人ホーム
   身体的・精神的障害のため (寝たきり等) 日常生活上他人の介護を必要と
   するなど、自宅で適切な介護が困難な者を対象。
  1). 医療施設ではない。
  2). 入所者100人あたり、非常勤医師 1人・看護婦 3人・介護職員 22人が
    必要
  3). 公的措置である
    国が費用の 1/2 を、知事または市町村長が 1/2 を支払う。
    但し入所者に収入があれば額に応じ費用を徴収。








死亡数・死因・死亡率 (人口10万対)

◇平成 6年
  総  数
死亡数 死亡率 死亡数 死亡率 死亡数 死亡率
  全 死 因 875905  706.0  476077  782.5  399828  632.3 
   ------------------------------------------------------------------------
  悪性新生物
 
243585 
(27.8%) 
196.3 
 
146846 
 
241.4 
 
96739 
 
153.0 
 
  心 疾 患
 
159485  (18.2%)  128.5 
 
78817 
 
129.6 
 
80688 
 
127.6 
 
  脳血管疾患
 
120225  (13.7%)  96.9 
 
55502 
 
91.2 
 
64723 
 
102.4 
 
     (※なお、平成7年は心疾患と脳血管疾患が僅かの差で逆転している)
     (※発症頻度からみると脳血管疾患:心筋梗塞 = 5:1位である)
     (※平成 6・7年はともに死因の約 60% を上記3疾患が占めている)
   ------------------------------------------------------------------------
  肺 炎 等 89789  72.4  50499  83.0  39290  62.1 
  不慮の事故 35934  29.0  23976  39.4  11958  11.9 
  老   衰 23452  18.9  7327  12.0  16125  25.5 
  自 殺 20889  16.8  14044  23.1  6845  10.8 
  ネ・腎 炎 18768  15.1  8985  14.8  9783  15.5 
  肝硬変 等 16432  13.2  11201  18.4  5231  8.3 
  糖 尿 病 10868  8.8  5274  8.7  5594  8.8 


※死亡率 ( 人口10万対) は男性が圧倒的に多く(150人)、それは悪性新生物
  (100人)、肺炎・事故(20人・20人)、自殺・肝硬変(10人・10人)が多い事
 による。注目すべきは心・脳血管疾患が、男性も女性も変わらない事 (脳血
 管疾患はむしろ女性が多い) である、但し、女性の平均寿命が83才、男が
 76才なので、血管障害について女性は男性より 7 〜 8才老化が遅いと言う
 ことになる。

※男性も女性も、死因の約 60% が上位 3疾患 (悪性腫瘍、心・脳血管疾患) に
 よる。
 死因の上位 3疾患で考えると約 50% が悪性腫瘍である。但し男性 52% 、女
 性 40% で女性は悪性腫瘍にかかりにくいといえる。女性はその分、心・脳
 血管疾患での死亡率が高いが平均寿命の差 (約7歳) を反映しているのだろ
 う。

※井原市の場合を想定すると、全死亡数は 250人、その内、悪性新生物による
 ものは 70人、(悪性新生物の新たな罹病率はその 2倍 (50% が死亡するか
 ら) で約140人) 、心疾患は 46人脳血管疾患は 34人となる (平成6年)

※平成 7年の死亡数は 922062人 (癌:28.5%、脳血管疾患:15.9%、心疾
 患:15.1%)








癌の部位別死亡数及び構成割合 (平成 7年)

※悪性新生物による死亡数は男性も女性も年々 5 〜10% ずつ増加している
  (H4 --> H7)
◇男性
 (1). 肺 癌 (約 20.9%)
     割合は変わらぬが、数は増加 (女性の2.5倍)

 (2). 胃 癌 (約 20.0%)
     数はやや減少している。(全悪性新生物の1/5 ・女性の1.5倍)

 (3). 肝 癌 (約 15.5%)
     割合も数も増加 (肝炎ウイルスに感染し年月が経過するため)

 (4). 膵 癌 (約 5.4%)
     割合は変わらぬが、数は増加 (女性よりやや多い程度)

 (5). 食道癌 (約 4.5%)
     割合は変わらぬが、数は増加 (女性の 5.0倍)

 (6). 直腸癌 (約 4.3%)
     割合は変わらぬが、数は増加 (女性の 2.0倍)

 (7). 白血病 (約 2.3%)
     割合も数も横ばい傾向 (H7年は死亡数増加・女性の1.5倍)

 (8). その他 (約 27.1%)


◇女性
 (1). 胃 癌 (約 18.1%)
     割合は変わらぬが、数は多少増加 (常に全悪性新生物の1/5)

 (2). 肺 癌 (約 20.0%)
     割合は変わらぬが、数は増加。

 (3). 肝 癌 (約 9.9%)
     割合も数も増加 (同上・数は男性の 40%)

 (4). 乳 癌 (約 7.1%)
     割合は変わらぬが、数は多少増加 (マスコミが言う程でない)

 (5). 膵 癌 (約 6.7%)
     割合は変わらぬが、数は多少増加

 (6). 子宮癌 (約 4.9%)
     割合も数も横ばい傾向 (平成 7年のみ死亡数増加)
     ※1990年子宮体癌/子宮癌は 26.7% と増加 (1975年は14.6%だっ
      た)

 (7). 直腸癌 (約 4.1%)
     割合も数も横ばい傾向 (平成 7年のみ死亡数増加)

 (8). 白血病 (約 2.4%)
     割合も数も横ばい傾向

 (9). 食道癌 (約 1.4%)
     割合も数も横ばい傾向 (平成 7年のみ死亡数増加)

(10). その他 (約 32.6%)

※男性・女性も肺癌による死亡数増加は注目しなければならない。
※肝癌・食道癌は男性に圧倒的に多い (タバコ・アルコールが原因か)
※膵癌は男性にやや多い程度。
※胃癌は男性・女性ともに全悪性新生物の約1/5 を占めている。








脳卒中・心筋梗塞・急死登録

 沖縄の全住民 122万人を対象に MONICA のプロトコールで登録。
 脳卒中の年齢調節発症率 :105/10万人/年
 急性心筋梗塞      : 29/10万人/年
 心筋梗塞より、脳卒中が圧倒的に多い。








久山町死因別死亡率 (1995年)

1. 脳血管疾患 (117.8人/10万人)
 a. 脳梗塞    : 71.3人
 b. 脳内出血   : 26.7人
 c. くも膜下出血 : 11.6人
 d. その他    : 8.3人

2. 心疾患 (111.8人/10万人)
 a. 心不全        : 29.1人
 b. 急性心筋梗塞     : 42.2人
 c. その他の虚血性心疾患 : 18.5人
 d. その他        : 22.0人

3. 悪性腫瘍 (211.5人/10万人)








高齢化社会の諸問題 (来たるべき高齢化社会は正しく認識されているか?)

1. はじめに:現実はどうか
 イ. 老年者の介護者不足を強調。
   理由:生活圏の拡大 (生活様式の変化)、核家族化、女性の社会進出、少
      子化傾向 (少子化傾向:1960年には 14歳以下の子供は総人口の
      30% だったが、1995年には16% となった。)

  ●これから上向く事のない日本の景気低迷を考えると女性の社会進出は、
   政策によってはむしろ老年者の介護者を増やす方向に向くと考えるべき
   なのではないだろうか?

 ロ. 老人医療費は高いという根拠なき幻想。
  ●老人病院・老人保険施設・特別養護老人ホームへ入っている老年者はで
   きるだけ医療費を切り詰められている。

  ●その上、ちゃんとした医療が必要な人まで、老人病院・老人保険施設・
   特別養護老人ホームへ強制的に誘導される様な政策がとられている。

  ※健康な状態で長生きをすればするほど医療費は安くつくのに、老人を一
   か所に集めそれぞれの生き甲斐を奪い、惨めな生活を強制しそのため健
   常であるはずの老人が病気がちになる。その結果かえって老人医療費が
   高くなる。いまはこの様な現実ではないだろうか。また、そのような
   誤った方向に我々は向かっている様に思えてならない。

 ハ. 老人人口の構成をそのまま当てはめて、現在若い人 4 〜 5人が老人1人
   を支えている (2020年には 2.3人が老人1人を支える) という意味不明
   の説明が横行している。単に人口という数字をもて遊んでいるだけであ
   り、人口比率がそのまま経済的負担をあらわすわけではない。殆どの国
   民は数字を並べられて、まくしたてられると、大間違いや詭弁でも妙に
   分かった様な気分にさせられるものである。


2. 老年人口について
 (1). 日本は男女共に世界一の長寿国。

 (2). 老年人口の総人口に対する割合は急速に増加している。
  a. 少子化傾向
    理由:女性の社会進出、経済状態、親子関係の変化、子供の教育問題
       (妊娠・出産の苦痛に対する拒否反応、子育ての苦労に対する拒
       否反応)
       一人の女性が一生の間に産む子供の数は平均 1.5人
  b. 食生活の改善:塩分の摂取の減少。栄養のかたよりが少なくなった。
  c. 検診・健康教育の普及。
  d. 医療保険制度の充実。医療水準の高度化。
  e. 経済の発展に伴う衣食住の改善。
  f. 戦争や紛争のない社会情勢。

 (3). 老年者の生活環境は激変している。
  a. 三世帯同居して、家族が助け合い守りあって老後を送るというこれまで
    の家庭像はもはや崩れてしまっている。
  b. 平均世帯人数は 3人と極端に減少、一人住まいの老年者が増加してい
    る。老年者は自力で生活する習慣を身に付けなければならない。  ※参考:平成 7年国民生活基礎調査
  H7年度国勢調査では総人口125570246人 (男性:61574398人・女性:63995848人)
  a. 高齢者世帯
     561万6000世帯 (13.8%、H6年より 81000世帯増加)
     (昭和60年の1.8倍、昭和50年の 3.5倍)
     このうち、38% が 80歳以上の一人暮らし。
  b. 一人暮らし世帯数
     921万世帯。 (--> H7年度国勢調査では 1124万世帯)
  c. 一世帯あたり平均人数
     2.91人 (--> H7年度国勢調査では 2.82人)
  d. 在宅看護の必要な人
     111万2000人
  e. 寝たきりの人
     331000人

●人口の推移
   (1994年に 45歳の人が 75歳になった時を想定) (1996/4/8、鳥越推計)

【1994年】 【2024年】
-----------------------------------------------------------------
0 〜 19歳人口 3100万人 2000万人
-----------------------------------------------------------------
20 〜 64歳人口
(真生産年齢人口)
7650万人 6800万人
-----------------------------------------------------------------
65歳以上人口 1875万人 3200万人
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
合計 (総人口) 12625万人 12000万人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
就業者数 6500万人 6000 〜 6800万人
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
要介護老人 250万人 500万人
一人暮らし老人 199万人 ?? (400 〜 600万人)
痴呆性老人 125万人 ?? (350万人)
(※1997年4月時点では、65才以上の痴呆性老人は126万人)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(★1)非生産年齢人口/総人口 約40% 約43%
(★2)要介護老人人口/真生産年齢人口 約3.3%
(1人/30人)
(★3)総人口/就業者数 1.94 1.76〜2.0

   (注意) ○ 真生産年齢人口 = 20 〜 64歳人口
       ○ 非生産年齢人口 = 0 〜 19歳人口 + 65歳以上人口
       ○ それぞれの人口は毎年の出生数から推計
       ○ 就業者数は総務庁統計局資料より推計
       ○ 痴呆性老人は国立精神・神経センター精神保険研究所の推計
       ○ ??:推計に載ってない年度のものをさらに推計した値

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 イ. 老人人口がいくら増加しても、非生産年齢人口 (= 0 〜 19歳人口 + 65
   歳以上人口) は総人口に対し 40 から 43% に増えるだけで、実際には過
   去も現在も未来も 2人に 1人が働けば我が国は基本的には今のままで成
   り立って行く勘定になる。(★1)
    (ただし、生産年齢人口への税負担の軽減と、老齢年金保障の下方修正
    は必要)

 ロ. 実際の働く人が支えているのは自分 (妻) を含めた親と子である。つまり
   就業者が総人口を支えていることになり、そういう意味で高齢化社会を
   支えるかどうかの指標は[総人口/就業者数(★3)]で考えるのが正し
   い。すなわち現在も未来も人的割合としては、働く人一人が自分をふく
   めて約二人を養えばいいことになる。 (イ. と同じ結論)

 ハ. 要介護老人は上表の如く推計されているが、真生産年齢人口 (20 〜 64
   歳人口) からみれば、1994年に 30人の労働人口が要介護老人 1人を支
   えていたものが 2024年には 30人が 2.2人を支えることになるだけの
   勘定。 (★2)

 ニ. 但し、我が国の1980年代は高度成長から経済の成熟期を迎えており税収
   等国庫の収入が安定していた頃であり、現在の如く国民所得の伸び率が
   1% と不景気の真っ只中において、過去の統計に基づく推計がそのまま
   当てはまるとは考えられない。しかしこれだけの統計や数字から年金の
   支給年齢を上げたり、介護保険を導入していいという理由にはならな
   い。行政の無駄を省いたり、 経費のかかる余計な制度を見直すなど、そ
   の前にやることは一杯あると思われる。

●結論及び高齢化社会への対処方法
 イ. 現在は生産年齢人口の 4 〜 5人が老人 1人を支えており、2020年には
   生産年齢人口 2.3人が老人 1人を支えなければならなくなるというのは
   とんでもない大間違いである。我が国は今も将来も老年人口が増えて困
   ることはない。
   おそらく消費税のアップ、介護保険導入が先に目論まれて、そのいいわ
   けを何とか数字でごまかそうとしているに過ぎないと考えられる。

 ロ. 高齢化社会を迎えて、我々が真剣に対応を考えなければならないことは
   「老年者の生活環境は激変している」ということである。つまり独り暮
   らしの老人をいかに皆で支える (支え合う) かということであり、その為
   には小さな社会 (地方自治体など) 単位できめ細かい手をさしのべること
   が肝要である。
   多くの税金を吸い上げて、極めて行政的な枠を作り、人件費ばかり浪費
   して、その枠の中に高齢者を押し込め疎外しようとすることは厳に慎ま
   なければならない。

 ハ. 私見であるが以下に述べる様な環境作りはどうであろうか?
   現在のヘルパー制度 (登録ヘルパーを含む) を押し進め、さらにゴチャゴ
   チャした規制や看護・介護上の行政統制をゆるめ、融通性のある介護環
   境 (制度ではない) を作る。誤解を恐れず言うならば、ひところ流行った
   「無認可保育園」の様な介護環境である。「無認可保育園」は時代の
   ニーズに基づいて誕生し、現在では各種の規制で数は少なくなったが、
   大都市圏では依然として命脈を保ち重宝されている。
   これからは (もし規制がなければ) 同様な経緯で例えば「無認可介護施
   設」と表現される様な純粋に民間の「介護施設」が林立するに違いな
   い。そういった民間の「介護施設」を受け入れるかどうかは、それを利
   用する人の純粋な主観で決めればいい。当然、サービスが悪かったり、
   環境が劣悪であれば自然淘汰されるだろう。
   自己責任において行動することは自由主義の鉄則であり、「介護施設」
   の設置者も利用者もその様に行動し選択すればいい。
   いわゆる高齢化社会は今から 20年後のせいぜい 20 〜 25年間のほんの
   一時期のものであるから、今新ゴールドプランなどと大風呂敷を広げて
   いても 2035年頃にはおそらく無駄になるだろう (新ゴールドプランの
   全てを否定しているのではない) 。
   従って、行政は現在の訓練されたホームヘルパーの地位を向上させるよ
   う努めるだけで十分である。これから絶対必要なのはマンパワー (人手)
   なのだから。
   そしてとりあえずこれからは彼らが主導たり得るような「介護施設」が
   自由に林立するのを補助すればいい (余計な規制や統制をしないで、黙
   認でもいい) 。
   次いで時代のニーズを見ながらゆっくりと規制をかける、その中で「介
   護施設」は互いに切瑳琢磨しつつ 2030年頃にはより良い形で必要で十
   分なだけ残るのではないだろうか。

 ニ. 少子化の結果、小・中学校の教室が一杯余っていると聞いている。一部
   を改造してケアハウス (老人ホーム) を作り、小・中学校とケアハウス
    (老人ホーム) が隣接した様な施設は考えられないだろうか。老人と子供
   のふれあいも可能だろうし、老人の介護実習やボランティア活動なども
   簡単にできてとてもいいと思う。
   どうしてこういうアイディアが浮かばないのだろうか?。ぜひ一考し、
   実現させて欲しいものである。

 ホ. 少子化対策の必要性 (絶対必要なのはマンパワー (人手) だから) 。
    (注意) これからの日本経済は引き続き斜陽であり、子供が多く生まれた
       としても成人して果たして雇用が追いつくかどうかは重大な問
       題である。


3. 老年医療費
 (1). 老人保険法 (昭和 58年 (1983)、2月1施行)
   ※老人医療費がかかりすぎるという、根拠のない前提から出発し、それ
    を抑制する為に考えられた政策。因に国民医療費の国民所得に対する
    割合は約 7% で欧米の10% と比べて低く、全国民は医療費という意味
    では冷遇されていることに気付かなければならない。

  a. 老人病院
   1. 特例許可老人病院:老人慢性疾患患者が70% 以上。
     ○入院患者 100人あたり、
      医師3人・看護婦 17人・介護職員 13人の基準 (特例)
     ○入院医療管理料等に特別の診療報酬体系

   2. 特例許可外老人病院:70才以上の老人患者が 60% を越えた病院。
     特例許可も特別の診療報酬体系もない

  b. 老人保険施設 (S63年以降)
    慢性疾患が治療され、病状が安定しもはや入院医療は不必要となったが
    医師の管理下に看護や介護等医療ケアが必要な、病弱な寝たきり患者や
    痴呆性老人を対象。
     ○医療と福祉の中間施設。家庭復帰を目指す。
     ○入所者 100人あたり、医師 1人・看護婦 8人・介護職員 20人
      相談指導員 1人・理学療法士または作業療法士 1人が必要
     ○看護・介護・機能訓練等の医療、日常生活のサービスを行う
     ○デイ・ケア:機能訓練・食事・入浴等
     ○基本施設療養費は市町村から 22万円を上限に支払われるが、
      約 5万円の利用者負担金が必要。

  c. 老人福祉施設
   1. 養護老人ホーム
     65才以上の老年者で経済的・心身的・環境上の事情から自宅での生
     活が困難な者を収容。

   2. 特別養護老人ホーム
     身体的・精神的障害のため (寝たきり等) 日常生活上他人の介護を必
     要とするなど、自宅で適切な介護が困難な者を対象。
     ○医療施設ではない。
     ○入所者 100人あたり、非常勤医師 1人・看護婦 3人・介護職員 22
      人が必要
     ○公的措置である
      国が費用の 1/2 を、知事または市町村長が 1/2 を支払う。
      但し入所者に収入があれば額に応じ費用を徴収。

 (2). 我が国の医療費 (27兆1600億円)
  a. 国民医療費の国民所得に対する割合は約 7% で欧米の約10% と比べて
    低く抑えられている。(1995年度:7.2%)

  b. 国民医療費は平均 217000円/国民1人 (1995年度) 。

  c. 国民医療費の内訳
    ○老人保険法に投入分 :30.7% ( 8兆3300億円)
    ○医療保険負担分   :52.2% (14兆1800億円) :健保、国保等
    ○患者の自己負担分  :12.2% ( 3兆3100億円)
    ○公費負担分     : 4.9% ( 1兆3400億円) :生活保護、結核等

  d. 厚生省は国民医療費の伸び率を国民所得の伸び率の範囲内に抑えること
    を政策目標にしている。

  e. 本当は老年医療費は高くない。
    ○診療実日数は 65 〜 69歳がピークで 70歳以上の老年者では、外来
     実日数は減少 (入院実日数は横ばい) 。
    ○保険点数 (かかった費用) は 65 〜 69歳をピークに 70歳以上の老年
     者では減少。
    ○患者一人当たりの保険点数 (かかった費用) は 60 〜 64歳をピークに
     65歳以上では減少傾向。
    ○老年者では人口あたりの患者数が若年者よりも多くなるのはやむを得
     ないことだが老年の患者一人あたりの医療費が若年の患者のそれと比
     べて決して高くない。
    ○医療費を削減しようとすれば、老年者はなるべく長生きして (85歳以
     上) それからサッとできるだけ短時間に死ぬ様心がければいい。

  ●井原市平成 8年度の老人医療費の給付状況
   ※老人医療費の対象者:70歳以上老人+ 65 〜 69歳寝たきり老人。
    井原市では 5400人 (総人口の15%) で、このうち実に 98.4% が何ら
    かの給付を受けている。

   ※合計:32億7368万円 (前年度比 8.5% の伸び)
        (一人当たり:約615800円、対象者:5316人)
    入 院  4645件  15億8218万3000円
    外 来  59820件  13億1784万6000円
    歯 科  4979件    1億1435万0000円
    調 剤  10529件     9067万7000円
    施 設    987件    1億4586万7000円
    その他  1244件     2275万2000円


4. 老年者の死因
  1位:悪性腫瘍   :60歳以降 84歳前に大きなピークを示す。
  2位:虚血性心疾患 :80 〜 84歳にピーク。
  3位:脳血管障害  :80 〜 84歳にピーク。
              (2、3位は逆転している年もある)
  4位:肺炎・気管支炎:80 〜 84歳にピーク。
  5位:不慮の事故
  6位:老衰
  7位:自殺


5. 老年者の生活の質 (QOL 、quality of life)
 (1). 老年者の生活の質を決める因子
  a. 生活に充実感を味わい続けること。

  b. 現在の自分がおかれている立場に満足し幸福感を味わい続けること。

  c. 例え障害があっても素直に受け入れ、前向きな気持ちで生活ができるこ
    と。

  d. 仕事をもっていれば、職場で必要とされていることを自覚できること。

  e. 老年者は職 (金儲けだけではない、ボランティアも立派な職) を失って
    はならない。

  f. 老年者は配偶者や友人を失ってはならない (長生きを目指すこと) 。

  g. 老年者は五体満足な体の機能をいつまでも保つこと (健康を目指すこ
    と) 。

  h. 見知らぬ人に「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれた時、それに
    満足しないこと。(自分の名前を失うことは悲しいことです。)

 (2). 老年者は何をすればいいか (ボーッとしてないで自分で考えて下さい、
    一杯ある)
  a. 日本の医療費を安くするためなるべく 85歳以上まで健康で長生きする
    こと。
    患者一人当たりの保険点数 (かかった費用) は 60 〜 64歳をピークに
    65歳以上では減少傾向となっており、長生する為に必要な医療費は遠
    慮なくどんどん使えばいい。

  b. 自分の存在というものを大事にする。元気な年寄りが一か所に集められ
    て、まるで「老人の動物園」の様な施設があるが、あれで老年者の心が
    満たされるだろうか。

  c. とにかく趣味を持つ、井原にも縫いぐるみを手作りで一杯つくり、養護
    施設や幼稚園に寄付されている方がおられる。社会とのコミュニケー
    ションも十分で、満足し幸福な人生を送っておられることだろう。

  d. 何歳になってもこぎれいな衣服と身だしなみで町を闊歩する。
    「美しく老いる」ことは自分にも他人にも生きる勇気を与える。

  e. 小さなことで若い人の役立つことは一杯ある。洗濯、子守、草取り、墓
    掃除、道路の清掃等やろうと思えばいくらでも見つかる。はっきり言っ
    て元気な老人が遊んでいる暇はない。
    何にも考えつかねば、近隣のあらゆるイベントに出席する、世間が広く
    なるばかりでなく主催者を喜ばせる。

  f. 退職してボーッとしてはいけない。たいてい痴呆への道を歩み、その結
    果は最悪。

  g. いつまでたっても恋をする。ラブレターを書く。いろんなことをして楽
    しめばいい。 (ワープロを習得し、自分の歴史を残すのもいいのではな
    いか)

  h. 自分のことは自分でやる、一人で生活する (楽しむ) 習慣を身につけ
    る。ただし同年代で助け合うことも忘れてはならない。

  i. 最近はパソコンの能力が向上し、パソコン通信が流行っています。技術
    習得も簡単になっており。絵を書く・ポスターを作る・電子メールで意
    見交換・世界の人々との交流もやる気になればそれ程難しいものではな
    い。








日本の人口とその構成 (1997/10/1日現在の数字)

 総人口:12617万人 (前年より約30万人増加)
      (男:6180万人、女:6435万人 (男:女 = 49:51))
  ・自然増加:出生−死亡 = 288000
  ・65歳以上:1976万人 (高齢化率:15.7%)
  ・15歳以下 (中学生以下) :約2100万人 (14歳以下:1937万人)
  ・16 〜 64:約8540万人 (15〜64歳:8704万人)
     --------------------
  ・70歳以上 (1927年 (昭和 2年)10月以前出生):約1280万人 (10.1%)
  ・75歳以上 (1922年 (大正12年)10月以前出生):6% 台になった。
  ・平成生まれの人口:1053万人 (約 9年間で。平均117万人/年)
  ・大正生まれの人口 (71歳 〜 85歳):1037万人

 注意:総労働力人口は上記 1995年の値から推計すると 約 6700万人
    程度と推計される。既に総人口の 47% は非労働人口となっている。

 注意:さらに16 〜 64歳人口 約 8540万人のうち非労働人口は 約1840万
    人 (= 8540 〜 6700) であり、この間に高校生 約 470万人 (推計)、
    大学生 約 280万人 (推計、50% の大学進学率とする) が含まれてい
    る。

 注意:年齢別推計と内訳
    ・16 〜 18歳 (高校生) 人口  :約 470万人 (123万人/年)
    ・19 〜 22歳 (四大・短大、他) :約 750万人 (187万人/年)
            就労者    :約 470万人 (就業率:62.7%)
            非就労者   :約 280万人
    ・23 〜 64歳 人口       :約 7320万人
            就労者    :約 6230万人(就業率:85.1%)
            非就労者   :約 1090万人








介護保険と高齢化社会の見通し

  全 体 数 寝たきり 要介護痴呆 虚 弱 介護保険の費
1993年 200万人 90万人 10万人 100万人  
2000年 280万人 120万人 20万人 140万人 4.2 兆円
2005年         5.5 兆円
2010年 390万人 170万人 40万人 180万人 6.9 兆円
2025年 520万人 230万人 50万人 240万人 ?








1995年度 (平成 7年度) の国民医療費 (GDP 比 7.1%)

 総額:26兆9577億円 (国民一人当たり:21万4700円)
 老人保険拠出金:8兆4877億円 (全体の 31.5% で 8.2% の伸び)

国民一人当たりの医療費
0 〜 14歳 69400円 
15 〜 44歳 71200円 
45 〜 64歳 196300円 
65歳以上  540900円 
(70歳以上  639800円)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 財源
  保 険 料  : 15兆2137億円 (全体の 56.4%)
  公費 (税金) : 8兆5398億円 (全体の 31.7%)
  自 己 負 担  : 3兆1705億円 (全体の 11.8%)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3). 平成 8年度、経営主体別医療統計
   (医科歯科合計 : 25兆7217億円)
  医科医療費 : 23兆1776億円 (病院:69.3%、診療所:30.7%)
 病院 : 16兆0505億円 (病院内訳:入院;48.9%、入院外;51.1%)
    国公立病院 :5兆9306億円 (37.0%)
    大学病院  :1兆4864億円 ( 9.3%)
    法人病院  :7兆4275億円 (46.3%)
    個人病院  :1兆2049億円 ( 7.5%) (内訳:入院:66.8%)
   診療所 : 7兆1271億円 (入院:7.3%、入院外:92.7%)
    内   科 : 3兆4585億円 (48.5%) (内科内訳:入院;50.7%)
    小 児 科 :  2869億円 ( 4.0%)
    外   科 :  6672億円 ( 9.4%)
    整形外科  :  5738億円 ( 8.1%)
    皮 膚 科 :  2530億円 ( 3.6%)
    産婦人科  :  2557億円 ( 3.6%)
    眼   科 :  4899億円 ( 6.9%)
    耳鼻咽喉科 :  3443億円 ( 4.8%)
    そ の 他 :  7978億円 (11.2%)

   歯科: 2兆5441億円

(注意) 1. 社会保険診療報酬支払基金審査分、国保連合会審査分の医療費公費
     負担を含む。
    2. 医療機関に支払われた医療費の合計で、保険薬局、老健施設、訪問
     看護ステーションに支払われた医療費は除外。
    3. 入院分は食事療養分を含む。








特に所得税に関する税金の話

※1997年度国民負担率 (税金+社会保障費):
     37.8% (財政赤字分を含んだ計算では 52.8%)

1. 平成10年 5月19日発表の納税者内訳
  確定申告数 : 約 830万人、内 1.1% が 1000万円以上の納入者
      ・10000万以上 : 958人
      ・30000万以上 : 90人
      ・50000万以上 : 21人
      ・ 1000万以上 : 94000人 (過去最高は 1991年の 175000人)

2. 平成 9年度給与所得者数と税金
  ・給与 700万円未満    :3172万人 (80.9%)
          税金 :40599億円 (39.5%)

  ・700万以上 1000万円未満 :498万人 (12.7%)
          税金 :21012億円 (20.4%)

  ・1000万円以上       :249万人 (6.4%)
          税金 :41186億円 (40.1%)

 a. 給与所得者 3919万人が 10兆2797億円を支払っている。

 b. 平均税金負担額 (延べ額:262300円)
   ・給与 700万円未満    : 128000円 (対延べ額比:0.49倍)
   ・700万以上 1000万円未満 : 421900円 (対延べ額比:1.61倍)
   ・1000万円以上      :1654100円 (対延べ額比:6.31倍)

 c. 給与 1000万円以上 249万人のうちたった 9.4万人が 1000万円以上の税
   金を払っている。

 d. 試算
  イ. 税金10億円以上支払った人
       6人:102.8億円 = 17.13億円/人 (= 対延べ額比:6530.7倍)
  ロ. 税金 5億円以上 10億円未満支払った人 (四捨五入)
      16人: 99.6億円 = 6.23億円/人 (= 対延べ額比:2375.1倍)
  ハ. 税金 3億円以上 5億円未満支払った人 (四捨五入)
      70人:268.8億円 = 3.84億円/人 (= 対延べ額比:1464.0倍)
  ニ. 税金 1億円以上 3億円未満支払った人 (四捨五入、推計)
      約 900人:1300 〜 1500億円 = 1.44 〜 1.67億円/人
                  (= 対延べ額比:550 〜 640倍)
  ホ. 税金0.1億円以上1億円未満支払った人 (四捨五入、完全に推論)
    約 9.3万人:16740 〜 23250億円 = 0.18 〜 0.25億円/人
                  (= 対延べ額比:69 〜 95倍)








平成9年(() 内は平成6年)の人口動態統計より

 1.死亡数と死亡原因
  総  数
死亡数 死亡率 死亡数 死亡率 死亡数 死亡率
全 死 因 913398 730.9 497815 813.3 415583 651.9
(875905) (706.0) (476077) (782.5) (399828) (632.3)
────────────────────────────────────
悪性新生物 275340
(30.0%)
220.3 167039 272.9 108301 169.9
平成6年 → (243585)
(27.8%)
(196.3) (146846) (241.4) (96739) (153.0)
※悪性新生物の全死亡に対する割合は平成8年は30.3% (=271183/896221) で 横ばい
心 疾 患 140076
(15.3%)
112.1 69722 113.9 70354 110.4
平成6年 → (159485)
(18.2%)
(128.5) (78817) (129.6) (80688) (127.6)
 ※心疾患の全死亡に対する割合は平成8年は15.4% (=138229/896221) で 3位だった
脳血管疾患 138645(15.2%) 110.9 65769 107.4 72876 114.3
平成6年 → (120225)(13.7%) (96.9) (55502) (91.2) (64723) (102.4)
 ※脳血管疾患の全死亡に対する割合は平成8年は15.7% (=140366/896221) で 2位だった
  (※なお、平成7・8年は心疾患と脳血管疾患が僅かの差で逆転している)
  (※平成6〜9年において死因の約60%を上記3疾患が占めている)
────────────────────────────────────
肺 炎 等 78855 63.1 42283 69.1 36572 57.4
平成6年 → (89789) (72.4) (50499) (83.0) (39290) (62.1)
不慮の事故 38875 31.1 25135 41.1 13740 21.6
平成6年 → (35934) (29.0) (23976) (39.4) (11958) (11.9)
自 殺 23465 18.8 15886 26.0 7579 11.9
平成6年 → (20889) (16.8) (14044) (23.1) (6845) (10.8)
 ※平成9年は自殺と老衰がついに逆転した。
 ※自殺は徐々に増加:2.4% (平成6年) → 2.5% (平成8年) → 2.6% (平成9年)
老 衰 21404 17.1 6376 10.4 15028 23.6
平成6年 → (23452) (18.9) (7327) (12.0) (16125) (25.5)
腎 不 全 16568 13.3 7692 12.6 8876 13.9
平成6年 → (18768) (15.1) (8985) (14.8) (9783) (15.5)
 ※平成6年は「ネ・腎 炎」としての統計
肝 疾 患 16548 13.2 11346 18.5 5202 8.2
平成6年 → (16432) (13.2) (11201) (18.4) (5231) (8.3)
 ※平成6年は「肝硬変 等」としての統計
糖 尿 病 12351 9.9 6283 10.3 6068 9.5
平成6年 → (10868) (8.8) (5274) (8.7) (5594) (8.8)

  ※順番は男女合計の順番。
   男は上から1-2-3-4-5-6-10-9-7-11。
   女は上から1-3-2-4-6-8-5-7-10-9。
  ※男の第8位は慢性閉塞性疾患で死亡数は8720で死亡率は14.2。
  ※結核の死亡数は2736で死亡率は2.2、第22位。

 2.出生数など(20歳代の母親による出生数が著しく減少)
  a.1191681人(平成8年:1206555人)
  b.合計特殊出生率(一人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間
   に生むとした時のこどもの数、2.08以上あれば人口を長期的に維持でき
   ると考えられている):1.39








老年期にうつ状態を呈する疾患(*:内因性うつ病の合併あるいは誘発の可能性あり)

   1.(操)うつ病
    a.老年期以前に病相をもつもの
    b.老年期になって初発したもの
  2.脳の器質性うつ状態*
    a.−次的脳の変性・萎縮(老年痴呆、初老期痴呆)
    b.多発性梗塞(血管性障害)
    c.脳腫瘍
    d.慢性硬膜下血腫
  3.中毒性・薬物因性のうつ状態*
    a.アルコール中毒
    b.バルビツール酸系やほかの鎮静薬
    c.カフェイン中毒
    d.グアネチジンやレセルピンのような降圧薬
    e.プロプラノロールのような不整脈治療薬
  4.症候性うつ病*
    a.甲状腺機能低下症
    b.Cushing症候群
    c.ビタミンB群の欠乏症
    d.膵臓癌のような悪性腫瘍の存在
  5.その他の身体疾患に伴う内因性うつ病、反応性うつ病、
   まれに症候性うつ病
    a.冠動脈疾患(狭心症I〕筋梗塞)
    b.胃潰瘍
    c.潰瘍性大腸炎
    d.慢性関節リウマチ
    e.糖尿病
  6.心因反応*
  7.分裂病
  8.神経症








老人の下腿浮腫の原因

   浮腫とは細胞外液(血液、リンパ液、髄液、組織間液)のうち組織間液の増加
 した状態で、細胞内液の減少のために相対的に細胞外液の増加している老人では
 しばしば見られる兆候。病因が複雑で原因が特定出来ないことも多い。全身性疾患
 でも浮腫は顔面や下腿に最も発現しやすい。
 1.成因
   毛細血管壁における水の濾過と吸収のバランスを規定するStarlingの法則に
  関わる因子を考えるとわかりやすい。

  ※濾過量=濾過係数(K)・[(毛細血管内圧ー組織圧)]ー[(血漿膠質浸透圧
       ー組織浸透圧)]

  ※高齢者の特徴
    ・細胞外液量増加:心不全、腎機能低下
    ・筋肉ポンプ(静脈血輸送)の弱体化:筋肉量、運動量低下
    ・毛細血管内圧上昇:静脈弁の機能不全、静脈やリンパ管の閉塞・還流不全
    ・組織圧低下:低栄養状態、筋肉の廃用萎縮、脊髄損傷、半身麻痺など
    ・血漿膠質浸透圧低下:ネフローゼ、低栄養、肝障害によるアルブミン減少
 2.分類
   a.心不全、ネフローゼ:心拍出量低下によるレニン・アンジオテンシン系の
              賦活、抗利尿ホルモン過剰と静脈圧上昇
     
   b.肝硬変の非代償期:アルブミン合成低下、門脈圧亢進、アルドステロン不活化低下
   c.糖尿病、高血圧による腎不全、ネフローゼ
   d.甲状腺機能低下症(痴呆症状、元気がない+浮腫に注意):組織へのムコ蛋白沈着による組織膠質浸透圧上昇
   e.異所性ACTH産生腫瘍、甲状腺機能亢進症
   f.薬剤性浮腫:Ca拮抗薬、α1遮断薬、NSA1D、甘草、グリチルリチン、ホルモン
            剤、抗腫瘍薬、インターロイキン2など。
   g.深部静脈血栓症、静脈弁機能不全、静脈瘤、リンパ管閉塞、下腹部や後腹膜の
    腫瘤や機械的圧迫や炎症による静脈還流の阻害、やけどや炎症によるヒスタミ
    ン・サイトカイン遊離による血管透過性亢進
   h.大腿の軟部組織の悪性新生物、結腸癌の浸潤、尿閉による拡張膀胱の圧迫、
    外傷による筋肉損傷、糖尿病にともなうmuscle infarctionも原因