HMG-CoA 還元酵素阻害剤
   (腎機能障害のある場合、特に注意)

 (プラバスタチン・シンバスタチン)
 1. 筋炎
   フィブラート系薬剤
   ニコチン酸
   免疫抑制剤 (サイクロスポリン)

 2. CPK 増加・高カリウム血症
   ACE 阻害薬

 3. 横紋筋融解症
   エリスロマイシン








ベザフィブラート製剤と横紋筋融解症

クレアチニン:2.5mg を越える場合投与してはならない
       全身筋肉痛・倦怠感・脱力感に注意
       妊婦には投与せぬこと

※薬物相互作用
 (1). 抗凝血剤の作用を増強
 (2). HMG-CoA 還元酵素阻害剤との併用で横紋筋融解症の可能性
 (3). SU 系糖尿病薬との併用で低血糖症状 (高齢者)








腎毒性薬物

◇抗生剤
  セフェム+脱水・利尿剤
  アミノグリコシド

◇抗腫瘍剤
  シスプラチン;メソトレキセート

◇NSAID
  間質性腎炎 (よく見逃されている)
  プロスタグランジンが腎臓機能保持に必要な時に NSAID を投与して PG
  合成を阻害してしまう

◇造影剤

◇抗リウマチ剤
  金・カルフェニール

◇ACE 阻害剤








急性尿細管間質性腎炎

 ペニシリン・セフェム・ピリン系・メフェナム酸系 (ポンタール)








フェナセチン腎症








貧血・血小板減少・白血球減少

 レニベース・タガメット・バイカロン・オメプラール・メルカゾール








アカルボース
  (グルコバイ:α-グルコシダーゼ阻害剤)

 イレウスの惹起・高齢者に注意








バップフォー (塩酸プロピペリン)

 緑内障の惹起








エリスロシン

 ◇併用禁忌
   テルフェナジン (トリルダン)・アステミゾール

 ◇併用注意
   テオフィリン・ミダゾラム・カルバマゼピン・シクロスポリン・ワー
   ファリン・エルゴタミン (四肢の虚血)・ジゴキシン

 ◇単独でも併用でも QT 延長や torsa de points をおこすことあり。

 ◇リスモダンの排泄遅延のためリスモダンの作用を増強させる。








テルフェナジン (トリルダン)

 QT 延長・心室性不整脈








膀胱炎様症状

 オキサトミド (セルテクト)・トラニラスト (リザベン)・ケトチフェン等で注
 意
 特に 4 〜 10才の小児の残尿感・排尿痛を起こす。








膵炎を誘発する薬物

 ◇確実
   エタノール・アザチオプリン・エストロゲン

 ◇やや確実
   サイアザイド・テトラサイクリン・ラシックス・スルフォンアミド・L-
   アスパラギナーゼ・フルオロウラシル・クロルタリドン・ステロイド・
   エタクリン酸・フェンフォルミン・プロカインアミド・医原性高カルシ
   ウム血症

 ◇可能性あり
   アンフェタミン・コレスチラミン・クリプロヘプタジン・プロポキシ
   フェン・ジアゾキサイド・ヒスタミン・インドメタシン・イソニアジッ
   ド・メルカプトプリン・オピテイト・リファンピシン・サリチル酸・シ
   メチジン・アセトアミノフェン・メチルドーパ・サイクロスポリン








虚血性腸炎を誘発する薬物

 経口避妊薬 (エストロゲン + プロゲステロン)・バゾプレッシン・エルゴタミ
 ン・アンフェタミン・コカイン・メチセルギド・利尿剤・降圧薬・ジギタリ
 ス・カテコラミン・アルファブロッカー








プリンペランと頚・下顎ジストニー

 治療
  抗アセチルコリン薬:ビペリデン (アキネトン 50mg) を筋注または静注








メニタジン (メシル酸ベタヒスチン)

 慎重投与:消化性潰瘍・気管支喘息・褐色細胞腫・妊娠








シメチジンの副作用および薬物相互作用

※同じ H2-blocker でもラニチジン、ファモチジンは薬物相互作用が少ない
 (1). 副作用:肝硬変や慢性腎不全に注意
  ◇血液障害:顆粒球減少、貧血 + 血小板減少、汎血球減少
  ◇精神神経症:興奮、錯乱、幻覚、めまい、痙攣

 (2). 薬物相互作用
  ◇血中濃度上昇し中毒作用が発現
   イ. 肝薬物代謝酵素活性阻害
    1. セルシン・クロルプロマジン・ハルシオン・フェニトイン・モルヒ
      ネ等
    2. カルシウム拮抗薬:ワソラン・アダラート
    3. 強心薬:テオフィリン、ジギトキシン + キニジン
    4. 利尿剤:ラシックス
    5. 鎮痛剤:アンチピリン
    6. 抗凝血薬:ワーファリン
    7. 抗生剤:エリスロシン

   ロ. 肝血流低下
    1. beta-blocker :プロプラノロール etc.
    2. モルヒネ
    3. 局所麻酔薬:キシロカイン

   ハ. 腎排出阻害
    1. 抗不整脈薬:プロカインアミド

  ◇吸収阻害し薬効が減弱
    テトラサイクリン等のカプセル剤








ドメナン:血小板抑制作用あり

 (1). 禁忌
    小児には投与しない

 (2). 薬物相互作用
    併用により出血傾向を増大することあり
    チクロピジン・ウロキナーゼ・ヘパリン・ワーファリン








トラニラスト (リザベン)

 (1). 膀胱炎様症状が現れることがある。

 (2). 肝臓機能異常・黄疸が現れることがある。

 (3). 妊婦には投与しない。








リスモダン

 (1). 併用により本剤の作用が増強させられる
    エリスロシン
    アテノロ-ル (ピンドロール)

 (2). 併用により本剤の作用を減弱させられる
    リファンピシン・フェニトイン

 (3). 低血糖・女性化乳房を起こすことあり。








セロシオン (プロパゲルマニウム)

 (1). B型慢性肝炎の患者に投与中急性増悪で死亡例あり。








薬剤による危険な不整脈

I. 催不整脈作用の実際
 (1). ジギタリス (心房粗細動にむやみにジギを使うな!・δ波があれば使う
    な!)
  a. AF に対し rate control 目的でジギを使い脈が規則的になった。
   ●房室ブロックを考慮、多くは narrow QRS で房室接合部性の補充調
    律であるが、更に増悪すると wide QRS で更に徐脈となる。この時点
    で中止しないと危ない

  b. ジギタリス投与中突然脈が速くなった。
   ●ジギにより自動能が亢進、房室接合部性頻拍を起こした。洞性 P が
    QRS とは無関係に出現、房室解離を起こす。ジギ中止・低Kの補正。

  c. WPW に伴う心房粗細動と知らず rate control 目的でジギを使ったら
    効果なく、更に頻拍となり、状態が悪くなった (narrow QRS -->
    wide QRS と変化)。
   ●副伝導路が促進されたいわゆる偽性心室頻拍と呼ばれる wide QRS 頻
    拍を起こしている可能性を考える。(心房粗細動にむやみにジギを使う
    な!!)
    (ベラパミールでも同じである)

 (2). 抗不整脈薬
   ※Ic 群とシベノール (シベンゾリン) には特に注意。血中濃度を測定す
    る事。
   ※Ib 群は比較的安全
  a. QRS 幅の増大
   ●アミサリン:QRS 幅が 25% 以上延長したら投与中止
   ●Ia 、Ib 群では QRS 幅が著明に延長することは稀
   ●Ic 群 (プロノン、サンリズム、タンボコール等) は著明に延長する

   ※I群を心筋虚血例に使っている場合、虚血発作が生じると伝導抑制が増
    大し催不整脈作用を増大 (old MI + 不整脈に Ic 群で治療して突然死
    率上昇)

  b. QT 延長
    早期後脱分極 (early afterdepolarization) による torsades de
    pointes 型心室頻拍を生ず (K 低下・他の循環器薬併用に注意)。
    比較的投与後早期 (1W以内) に急速に QT 延長が進行する。

    ※torsades de pointes 型心室頻拍の処置:
      イソプロテレノールを静注して脈を速くする。

   ●Ia 群:アミサリン、リスモダン、キニジン、シベノール
   ●III 群:アンカロン、d-ソタロール
   ●IV 群の一部:ベプリコール

  c. 潜在性の洞不全症候群や房室ブロックに I 群、II群 (β遮断剤) あるい
    は
   ●IV群 (Ca 拮抗剤) を使用して洞不全や房室ブロックを顕在化させるこ
    とあり

 (3). 非循環器製剤
   ●QT 延長:三環系抗鬱剤、プロブコール、シメチジン等
    torsades de pointes 型心室頻拍:テルフェナジンとエリスロマイシ
                    ンの併用


II. 催不整脈作用に影響する因子
 (1). ジゴシンとキニジン (又はリスモダン、シベノール等 Ia 群) の併用でジ
    ゴシンの血中濃度上昇 (ジギタリス中毒の発生)

 (2). シメチジンは代謝阻害作用により多くの薬剤の血中濃度を上昇させる。
    またシメチジン自体も QT 延長作用あり Ia 群との併用は避けるべき。

 (3). 通常量での治療を行っているにもかかわらず予想外の副作用が出現した
    らその薬剤またはその活性代謝産物の血中濃度が異常に上昇していると
    考える。
    その時、肝臓障害・腎臓障害等を考え、そうでなければ薬剤相互作用を
    考える。

 (4). 多くの薬剤の酸化的代謝にチトクローム P4503A4 が関わっており、こ
    の酵素がエリスロ、シメチジン、多くの非循環器用剤で抑制される。

 (5). グレープ・フルーツ・ジュースもチトクローム P4503A4 を抑制する。

 (6). 心不全では薬物の体内分布容積が減少したり、肝臓内血流量が減少し肝
    臓排泄性薬剤 (リドカイン、メキシチール、アスペノン、インデラール
    等) の血中濃度が上昇。

 (7). 高齢者や腎不全例では未変化体として尿排泄率の高い薬剤 (アミサリン
    、リスモダン、シベノール等) の血中濃度が上昇。 (アスペノンはほぼ
    100% が肝臓排泄性のため腎不全例に便利)

※房室解離と房室ブロック
 原則として房室解離は P波の rate より心室 rate が速く、房室ブロックは
 その反対。








ワーファリンについて

◇薬理作用
 ビタミンK 拮抗剤
  ビタミンK 依存性凝固因子 (II・VII・IX・X) 蛋白の肝における生成を抑制

◇ワーファリンに影響する食物・薬物
 (1). 食物
  a. 抗凝固作用増強
    大量の飲酒
  b. 抗凝固作用低下
    納豆・クロレラ・レバー・トマト・ブロッコリ・ほうれん草

 (2). 薬物
  a. 抗凝固作用増強:痛風治療薬・経口糖尿病薬・サルファ剤・抗うつ薬
    消炎鎮痛剤:アスピリン・インドメタシン・メフェナム酸・抗痙攣薬
          ・蛋白同化ステロイド・シメチジン
    抗生剤:TC・CP 等
  b. 抗凝固作用低下:ビタミンK・睡眠薬・ barbiturates ・副腎皮質ステ
            ロイド

◇ワーファリンの投与法
 通常最初 3日間は 15mg --> 10mg --> 10mg と経口投与。PT が正常対照
 の1.5 〜 2.5 倍に延長 (活性値が 20 〜 30% に減少) するように 4日目以降
 は 2.5 〜 10mg の経口投与。抗血栓効果の期待できる治療域にコントロー
 ルするための指標は通常 PT 比で 1.5 〜 2.0 〜 2.5 、 PT 活性値で 15 〜
 20 〜 30% とされる。なおトロンボテストでは 7 〜 15% 。(諸説色々に注
 意!!)
  (サリチル酸系薬物やサルファ剤では特に注意)

◇コントロールの指標
  トロンボテスト:VII・X・プロトロンビンを反映
  PT      :VII・X・プロトロンビン・V を反映
  APTT     :IX を反映
   (トロンボテスト (または PT) とAPTT を併用する方がよい)
   (トロンボテストでいえば 10 〜 20% に維持する)
   (PT でいえば 21 〜 48% に維持する)

※もし他の疾患でワーファリンの使用が不可能と思われる時は、これまでの維
 持量を半分程度 (トロンボテストでいえば 50% 以上になるように) にすれば
 出血を増加させずに、ある程度血栓傾向をおさえられるかも知れない。

※パラミジン (bucolome 、300mg/d 分一経口、痛風治療剤) と併用すれば
 ワーファリンを 1/3 〜 1/5 に減量できる。

※副作用:皮下出血。歯磨き時の出血では減量し、それ以上ではビタミンK を
 20 〜 50mg 投与する (胆汁鬱滞性黄疸、発疹、出血性皮膚壊死にも注意)。








薬剤性無菌性髄膜炎

1. 例:イブプロフェンによる無菌性髄膜炎の初診時症状

 症  状 発症頻度 (症例数)
 発  熱 84% (26)
 頭  痛 58% (18)
 項部硬直 58% (18)
 嘔  吐 45% (14)
 吐 き 気 35% (11)
 関節痛・筋肉痛 35% (11)
 発  疹 35% (11)
 腹  痛 16% ( 5)
 総  計 100% (31)


2. 特徴など
 a. NSAID が原因薬剤の筆頭。やめるとすぐによくなり、再現性がある。
   原因薬物投与後 1 〜 2時間で髄膜炎症状発症。休薬で 1 〜 2 で自然に軽
   快。

 b. SLE に起きやすい。
   (注意) ループス精神病、ステロイド性精神病などとの鑑別が必要。

 c. その他膠原病または類縁疾患でも起こり得る。








血小板減少を来す薬物


薬   物 頻 度 出 血 血栓症 臨床的
重要性
 ○ヘパリン +++ + +++ ++++
 ○キニン・キニジン ++ +++ - ++
 ○金製剤 +++ +++ - ++
 ○サルファ剤 + ++ - +
 ○ペニシリン
   /セファロスポリン
+ ++ - +
 ○シメチジン
   /ラニチジン
+ ++ - +
 ○プロカインアミド + ++ - +
 ○ジゴキシン
   /ジギトキシン
+ ++ - +
 ○インターフェロン ++ ++ - +
 ○ バルプロ酸 ++++ +/- - -


※注意:血小板機能異常をおこす薬剤は一杯あって、代表的なものを以下に列
    挙。
 ○NSAID:特にトルメチン、インドメタシン、アスピリン、ジクロ、フェ
      ナック、イブプロフェンは出血時間を延長。

 ○ペニシリン、セファロスポリン

 ○ニトログリセリン、ベラパミル、ニフェジピン、インデラール他殆どの心
  臓血管系薬剤 (ペルサンチンは作用不明)

 ○アミノカプロン酸、ヘパリン、プロタミン、アルプロテアーゼ

 ○向精神薬の多く

 ○コカイン、キシロカイン、フローセン、ヘロインなど麻酔・鎮痛剤

 ○抗ヒスタミン剤:クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン

 ○造影剤:イオパミドールなど

 ○その他:クロフィブレート、デキストラン、ニトロフラントイン、チクロ
      ピジン、抗悪性腫瘍剤の一部など








凝固系に影響する薬物


薬   物      影    響
 ○セファロスポリン系 PT 延長
 ○ペニシリン
  サルファ剤
VIII 因子に対する抗体の出現
 
 ○INH I・V・VIII 因子に対する抗体の出現
 ○経口避妊薬 凝固時間短縮
 ○デキストラン vWF 抗原の活性低
-------------------------------------------------
 ○フェノチアジン系
  プロカインアミド
  ペニシリン
ループス・アンチコアグラント出現
APTT 延長
 
-------------------------------------------------
 ○ストレプトマイシン V 因子に対する抗体出現
 ○コレスチラミン ワーファリンの効果減弱、PT 短縮
 ○フェニルブタゾン ワーファリンの効果増強、PT 延長
 ○バルビツール系 ワーファリンの代謝促進
 ○経口糖尿病薬
  フェニトイン
ワーファリンの代謝遅延
 
 ○ペントキシフィリン
   (トレンタール)
フィブリノーゲン低下
 







消化管造影剤によるアナフィラキシー

◇Anaphylaxis from the Carboxymethylcellulose Component of
 Barium Sulfate Suspention
 純粋な硫酸バリウムは不活性なのでアレルゲンにはならないが、色や臭いを
 付けたり泡立ちを防いだり、コーティングしたり、造影効果を安定させたり
 するための支持薬として混合している methylparaben や carboxyme-
 thylcellulose sodium はアナフィラキシーを生じる抗原となり得る。








サリチル酸剤

 a. 水痘には使わない。(ライ症候群のおそれ)








スティーブンス-ジョンソン症候群・TENの原因薬剤

 a. サルファ剤

 b. 抗生剤:アミノペニシリン・キノロン・セファロスポリン・テトラサイク
       リン

 c. イミダゾール系抗真菌剤

 d. 抗てんかん剤:フェノバール・テグレトール・フェニトイン・バルプロ酸

 e. NSAID:オキシカム・アセトアミノフェン

 f. その他:アロプリノール・クロルメザノン (筋弛緩剤:ミオレスペン)








ハルシオンとイトラコナゾールの併用に関して

 ハルシオンとイトラコナゾールの併用は、ハルシオンの血中濃度上昇を伴う
 ため避ける事。
 (イトラコナゾールがハルシオンの代謝を抑制するといわれる)








シサプリド(アセナリン、リサモール)

 1.アゾール系抗真菌薬の併用で低カリウム血症、心電図異常・不整脈(QT延
  長、torsades de pointes)の発現
 2.マクロライド系抗菌薬の併用で意識障害、心電図異常・不整脈(QT延長、
  torsades de pointes)の発現

 ※理由
  a.シサプリド濃度の上昇で心電図異常(QT延長)が生じる。
  b.アゾール系抗真菌薬やマクロライド系抗菌薬はシサプリドの肝代謝を阻害。








QT延長を来す薬剤

 1. Ia群抗不整脈薬(キニジン・アミサリン・リスモダン・シノール等)
 2. III群抗不整脈薬(アンカロン)
 3. IV群抗不整脈薬:ベプリジルのみ
 4. 三環系抗鬱薬、フェノチアジン系抗精神薬
 5. その他
   プロブコール、H2ブロッカー(ガスター・タガメット)、マクロライド
   (エリスロシン、クラリスロマイシン等)、抗アレルギー剤(テルフェナ
   ジン、アステミゾール等)、ペンタミジン(カリニ肺炎治療剤)

 ※その他の状態
  a.電解質異常
   低K血症、低Ca血症、低マグネシウム血症
  b.栄養障害
   飢餓、神経性食思不振症、リキッドプロテインダイエット
  c.徐脈
   洞機能不全、完全房室ブロック
  d.脳血管障害
   SAH、脳出血、脳外科手術後







病態におけるNSAIDの選択(非ステロイド系消炎鎮痛剤の投与についての配慮)

 a.胃の弱い人
  ・プロドラッグ
   ロキソニン、フルカムなど
  ・プロピオン酸系(下記)、COX2選択性阻害の強い薬剤
   ハイペン、ボルタレン、ペオン、ロキソニン、フェルデンなど
  ・経皮吸収型薬剤
   ナパゲルン軟膏

 b.腎障害患者・老人
  スリンダック、プロピオン酸系

 c.肝障害患者
  プロピオン酸系

 d.薬疹の出易い患者
  プロピオン酸系

 e.糖尿病でトルブタミドやアセトヘキサミドを投与中の患者
  ・フェニルブタゾンやピラゾロン系(下記)の消炎鎮痛剤を避けるべきである。
  ・他の傾向糖尿病剤も同様に考えて対処すべきである。

 ※プロピオン酸系
  イブプロフェン(ユニプロン)、ケトプロフェン、ナプロキセン(ナイキ
  サン)、ロキソプロフェン(ロキソニン)

 ※ピラゾロン系(ピリン系)
  スルピリン、アミノピリン、アンチピリン







悪性症候群(Caroffの診断基準、1993)

 1.発症前7日以内の抗精神薬の使用の既往(デポ剤の場合は2〜4週前の使用)
 2.高熱:38度以上
 3.筋固縮
 4.以下のうち5項目
  ・意識障害
  ・尿失禁
  ・頻脈
  ・CPK(CK)の上昇あるいはミオグロビン尿
  ・呼吸促迫あるいは低酸素症
  ・白血球増加
  ・発汗あるいは流涎
  ・ 代謝性アシドーシス
  ・振戦
 5.他の薬物性、全身性、精神疾患 の除外








繁用薬物で起こる頻度の高い障害・疾患

 1.筋肉痛、筋けいれん、脱力、CPK高値(CK高値)
  高脂血症薬、β-blocker、降圧利尿剤、甘草(偽アルドステロン症)

 2.筋力低下、筋萎縮
  ステロイド長期使用

 3.脱力、転倒
  緊弛緩薬、抗不安薬、睡眠薬

 4.精神症状
  (1).鬱病症状
    IFN-α、ヒスタミンH2-blocker、カルシウム拮抗剤、β-blocker
  (2).譫妄、意識障害
    抗不安薬、睡眠薬、抗鬱薬、ヒスタミンH2-blocker、抗パーキンソン薬
  (3).記憶障害
    睡眠薬、抗コリン薬

 5.振戦
  呼吸器用薬、β-stimulant

 6.尿閉
  抗鬱薬、鎮痙薬、頻尿治療薬

 7.薬物性パーキンソニズム
  消化器用薬・鎮吐薬、精神神経症状改善薬、脳循環代謝改善薬、抗精神
  薬、一部の降圧剤

 8.悪性症候群
  消化器用薬・鎮吐薬、精神神経症状改善薬、脳循環代謝改善薬、抗精神
  薬、一部の降圧剤








薬剤性腎障害のまとめ

 1型:過敏反応
  ・薬剤投与開始後約2週頃から、発熱、発疹、関節痛などの全身症状
  ・蛋白尿あるいは血尿あるいは腎機能障害の進行
  ・血沈亢進、CRP陽性、IgE抗体増加、好酸球増加、尿中に好酸球出現
  ・ガリウムシンチで腎臓全体に取り込み

 2型:血流障害
  ・NSAID:プロスタグランジン合成阻害作用
  ・β-blocker:糸球体血流減少
  ・ACE阻害薬:糸球体濾過値低下
  ・シクロスポリン、タクロリムス:輸入細動脈の収縮

 3型:尿細管機能異常、間質障害
  ・薬剤の直接作用
  ・自己免疫性尿細管間質性腎炎
  ・電解質異常、酸塩基平衡異常
  ・尿中β2-MG、α1-m、NAGの検査が有用

 4型:尿細管あるいは尿管閉塞
  ・横紋筋融解:ミオグロビン
  ・抗腫薬:尿酸、MTX、アシクロビル
  ・後腹膜線維症:ヒドララジン、メチルドーパ

 5型:糸球体障害
  ・金製剤、ブシラミン:膜性腎症
  ・D-ペニシラミン:抗GBM抗体、ANCA陽性半月体形成性腎炎
  ・NSAIDの一部:微小変化型ネフローゼ
  ・MMC:溶血性尿毒症症候群








アミオダロンの肺への毒性

  1. びまん性の肺胞障害
  2. BOOP
  3. 気管支痙攣
  4. びまん性肺胞出血
  5. 過敏性肺臓炎
  6. 心筋抑制によるうっ血性心不全
  7. PIE
  8. 間質性肺疾患






高Na血症(hypernatremia)を起こす薬物(日内雑誌 1991;80:201)
1. 水分の摂取不足
  水分摂取不能一中枢神経系抑制薬
2. 水分喪失の増加
  a. 尿濃縮能低下
    1) 抗利尿ホルモン分泌低下によるもの一副腎皮質ステロイド、オピウム
     フェニトイン、クロニジン、エタノール、リチウム
    2) 集合管での水再吸収低下によるもの
      ・再吸収のdriving forceの減少−ループ利尿薬、浸透圧利尿薬、カリウ
      ム欠乏、鎮痛薬濫用
      ・集合管でのバゾプレッシンに対する反応性低下−リチウム、
      demeclocyclin、methoxyfurane、コルヒチン、ビンクリスチン、
      アセトへキサミド、tolazamide、glyburide
      大量のpropoxyphene、アンホテリシンB、期限切れのテトラサイクリン
    3) Na喪失に伴う水分喪失−コレスチラミン、浸透圧利尿薬(マニトル、
      グルコース、高蛋白経管栄養による尿素)
    4) 腸管からの水分喪失−ラクツロ−ス
    5) 腹膜からの水分喪失一高張液による腹膜透析
    6) 皮膚からの水分喪失−povidone-iodine
3. Na摂取の過剰
  過剰のNaを含有する種々の高張液製剤







低Na血症(hyponatremia)を起こす薬物(日内雑誌 1991;80:201)
1. 過剰の水分摂取一抗コリン作働薬、抗ヒスタミン薬、phenothiazine、
  butyrophenone、抗うつ病薬
2. 尿希釈能の低下
  1) 抗利尿ホルモンの増加
    ・外因性−バゾプレッシン、ACTH、オキシトシン
    ・内因性一利尿薬による循環血衆量減少、ニコチン、モルフイン
    バルビツール誘導体、カルバマゼピン
    クロルプロパマイド、クロフイブレート、サイクロフォ
    スフアマイド、ビンクリスチン、ビンブラスチン
  2) 希釈部セグメントの機能障害
    ・溶質の減少一利尿薬
    ・溶質再吸収の低下−ループ利尿薬、サイアザイド利尿薬
    アミロライド
  3) バゾプレッシンに対する集合管の反応性増加
    クロルプロパマイド、トルブタマイド、アスピリン、非ステロイド
    性抗炎症薬、サイクロフォスフアマイド
  4) 不明の機序−アデニンアラビノシド、クロニジン、ハロペリドール
    フルフェナジン、モノアミンオキシダーゼ阻害薬
3. 細胞内からの水の移行
  高張の非生食液−デキストロース、マンニトール、グリセオール
4. Na喪失と過剰の水分摂取
  利尿薬、鎮痛薬濫用







高K血症(hyperkalemia)をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:202)
1. 細胞内から細胞外への移行
   強心配糖体、サクシニルコリン、塩酸アルギニン、抗癌薬
2. K摂取の増加
   K補給、代用食塩、ペニシリン・カリウム
3. 腎からのK排泄の障害
  a. K分泌部位へのNa供給不足一体液量減少をきたす薬物
  b. レニン、アンギオテンシン系の異常−β遮断薬、非ステロイド抗炎症薬
転換酵素阻害薬(カブトリルなど)、サララシン、へパリン
  c. 尿細管でのK分泌障害−アミロライド、トリアムテレン、スピロノラクトン







低K血症(hypokalemia)をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:202)
1. 細胞内への移行
  グルコース、インスリン
2. K喪失
   1) 消化管からのK喪失一下剤、緩下剤
   2) 腎からのK喪失
     ・尿細管におけるK再吸収の抑制一利尿薬
     ・尿細管におけるK分泌の増加
      鉱質コルナコイド作用−Carbenoxolone、9α-fluoropredonisolone
      含有の経鼻薬、甘草
     ・非再吸収性陰イオンー炭酸脱水酵素阻害薬、ペニシリン、カルベニシリ
      ン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン
   3) 尿細管性アシドーシスを起こす薬物
   4) その他−L-dopa







アシドーシス(acidosis)をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:203)
1. 呼吸性アシドーシス
   中枢神経系抑制薬
2. 代謝性アシドーシス
   a. アニオン、ギャップを増加させるもの
     尿毒症患者へのテトラサイクリン投与、糖尿病患者へのsalbutamolある
     いはdiazoxide投与、ビグアナイド、エタノール、ストレプトゾトシン、
     イソニアジド、パパべリン、nalidixic acid、ニトロプルシッド、シアナイ
     ド、アザイド、povidone-iodine、Lugol液、フラクトース、キシリトール
     ソルビトール、プロピレングリコール、サルチル酸、paraldehyde、メタノ
     ール、エチレングリコール、トルエン、馬尿酸、ペニシリン、カルベニシリン
   b. アニオン、ギャップが正常のもの
     ・重炭酸イオンの腸管からの喪失一緩下剤、下剤、コレスチラミン
     ・重炭酸イオンの腎からの喪失−アセタゾールアミド、メタゾラミド、
     mafenide acetate、期限切れのテトラサイクリン
     methyl-3-chromone、ストレプトゾトシン、6-メルカプトプリン
     重金属(鉛、水銀、カドミウム)、トルエン、アンホテリシンB、リチ
     ウム、サイクラメイト、鎮痛薬、インドメタシン、アミロライド
     トリアムテレン、スピロノラクトン
     ・塩酸の摂取−NH4Cl、CaCl2、アルギニン、リジン、ヒスチジン
     ・高カロリー輸液(経中心静脈栄養)−トリパレン







アルカローシス(alkalosis)をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:204)
1. 呼吸性アルカロ−シス
   中枢神経系刺激薬
2. 代謝性アルカロ−シス
  a. アルカリの摂取
    重炭酸ナトリウム、重炭酸前駆物質(acetate、citrate、lactate
    gluconate)
  b. 酸の喪失
   ・腸管からの酸喪失一薬物による長期間の嘔吐、水酸化マグネシウムと
    硫酸ポリスチレン・ナトリウムの併用
   ・腎からの酸喪失一腎からのK喪失を起こす薬物







血清Ca濃度異常をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:204)
1. 高Ca血症(hypercalcemia)をきたす薬物
  a. 血中Caを増加させるもの
   1) 腸管でのCa吸収の増加−ミルクと可溶性アルカリ、ビタミンD
   2) 骨からのCa動員の増加−ビタミンDとその類似物質、ビタミンA
     乳癌のtamoxifen治療
  b. 腎からのCa排泄を減少させるもの−サイアザイド利尿薬、リチウム
2. 低Ca血症(hypocalcemia)をきたす薬物
  a. Ca摂取の減少
    1) 腸管でのCa吸収の減少−ビタミンD代謝を増加させる薬物(抗てん
      かん薬、アルコール、glutethimide)
    2) 骨からのCa動員の減少一薬物性低マグネシウム血症、ミトラマイシ
      ン、カルシトニン
  b. 腎からのCa排泄の増加−ループ利尿薬
  c. 物理化学的にcomplex形成するもの
   EDTA、ネオマイシン、リン







血清マグネシウム濃度異常をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:205)
1. 高Mg血症(hypermagnesemia)をきたす薬物
  Mg含有薬物の腎不全患者への投与
2. 低Mg血症(hypomagnesemia)をきたす薬物
  a. 腸管でのMg吸収の減少一薬物起因性栄養障害、下剤の長期濫用
  b. 腎からのMg排泄の増加−エタノール、利尿薬、アミノグリコシド系抗生
   物質、シスプラチン







血清リン濃度異常をきたす薬物(日内雑誌 1991;80:205)
1. 高P血症(hyperphosphatemia)をきたす薬物
  薬物によるrhabdomyolysis
2. 低P血症(hypophosphatemia)をきたす薬物
  a. 細胞内への移行一含水炭素の投与、インスリン
   薬物起因性アルカローシス
  b. 腸管でのP吸収の減少−アルミニウム含有制酸薬、マグネシウム含有制酸薬
  c. 腎からのP排泄の増加一利尿薬







漢方薬の副作用に関する一般的注意(H16/4/8、色々の文献からまとめた。)
1. 甘草を含む漢方薬では偽アルドステロン症と低カリウム血症に伴うミオパチーに
  注意する。横紋筋融解症の発現にも注意が必要。
2. 柴胡と黄ゴンを含む漢方薬では間質性肺炎に注意。これら単独でも一応用心する。
3. 甘草と他のグリチルリチン製剤または利尿剤の併用は偽アルドステロン症や低カ
  リウム血症の発症を加速させる可能性がある。
4. 麻黄とエフェドリン含有製剤またはMAO阻害剤 and/or 甲状腺ホルモン剤 and/or
  カテコラミン製剤 and/or キサンチン系製剤(ネオフィリン、ネオMなど) は
  交感神経刺激作用増強などで動悸・頻脈・不眠・興奮や倦怠感、発汗過多を起こ
  すことがある。
5. 牡丹皮、桃仁、修治附子、牛膝、大黄(子宮収縮、骨盤内臓器充血)、無水芒硝
  (子宮収縮)、紅花を含む漢方薬は流早産の可能性があるので妊婦には投与しな
  いことが望ましい。
6. 大黄に含まれるアントラキノン誘導体が母乳に移行して乳児下痢を起こす可能性
  がある。
7. 高齢者では減量する。







薬剤の過剰使用(乱用)による頭痛の新診断基準
(高瀬靖.メディカル朝日 2004(9):75)
I. 鎮痛剤の過剰使用による頭痛
  A. 頭痛は1か月に15日間以上
    次の1〜3の1項目以上とC、Dを満たす
1. 両側性
2. 押さえられる/締め付けられる(拍動性ではない)頭痛
3. 軽度から中等度の頭痛
  B. 鎮痛剤を1か月に15日間以上、3か月以上服用
  C. 鎮痛剤の過剰服用により、頭痛は悪化する
  D. 鎮痛剤を中止し、2か月以内に元来の頭痛のパターンに戻る
II. エルゴタミンの過剰使用による頭痛
  A. 頭痛は1か月に15日間以上
    次の1〜3の1項目以上とC、Dを満たす
1. 両側性
2. 押さえられる/締め付けられる頭痛
3. 軽度から中等度の頭痛
  B. エルゴタミン製剤を1か月に10日間以上、3か月以上服用
  C. エルゴタミン製剤の過剰服用により、頭痛は悪化する
  D. エルゴタミン製剤を中止し、2か月以内に元来の頭痛のパターンに戻る
III. トリブタン系薬剤の過剰使用による頭痛
  A. 頭痛は1か月に15日間以上
   次の1〜5の1項目以上とC、Dを満たす
     1. 主に片側性
     2. 拍動性の頭痛
     3. 中等度から高度の頭痛
     4. 歩いたり、階段を上がったりなどの日常的な活動で悪化する
     5. 次の少なくとも1項目以上
       a)吐き気および/または嘔吐
       b)光過敏と音過敏
  B. トリプタンを1か月に10日間以上、3か月以上服用
  C. トリプタンの過剰服用により、頭痛の頻度が増加する
  D. トリプタンを中止し、2か月以内に元来の頭痛のパターンに戻る







振戦の原因になる薬物(日内雑誌 89:699,2000)
 A.比較的細かい姿勢時振戦
  βアドレナリン作用薬
  テオフイリン
  カフェイン
  副腎皮質ホルモン
  甲状腺ホルモン
  抗不整脆薬(アミオダロン、プロカインアミド)
  β受容体遮断薬(ピンドロール)
  ヒスタミンH2受容体括抗薬(シメチジン)
  エタノール
 B.比較的粗大な姿勢時と安静時の振戦
  ドパミン受容体遮断薬(抗精神病薬、鎮吐薬、胃腸機能調整薬)
  カルシウム括抗薬(フルナリジン、シンナリジン)
  抗痙攣薬(パルプロ酸)
  抗うつ薬(3環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬)
  アンフェタミン







パーキンソニズムの原因となる主要な薬剤(日内雑誌 89:700,2000)
 A.ドパミン受容体遮断作用を有する薬物
   a.抗精神病薬
    ・プチロフェノン誘導体(ハロペリドール、スピペロン、チミペロン)
    ・フェノチアジン誘導体(クロルプロマジン、フルフエナジン、トリフロ
     ペラジン)
    ・ペンザミド誘導体(スルピリド、チアプリド)
   b.鎮吐薬、胃腸機能調整薬
    ・ペンザミド誘導体(メトクロプラミド、シサプリド、ドンペリドン)
   c.抗めまい薬
    ・フェノチアジン誘導体(ペルフエナジン、プロクロルペラジン)
   d.カルシウム括抗薬(脳循環改善薬)
    ・フルナリジン、シンナリジン
 B.線条体神経終末ドパミン枯渇薬
    ・レセルピン
 C.抗うつ薬
    ・ドパミン受容体遮断薬:スルピリド
    ・三環系、四環系抗うつ薬







舞踏運動、ジスキネジーの原因となる薬剤(日内雑誌 89:701,2000)
 ・抗パーキンソン病薬(レボドーパ、ドパミンアゴニスト、アマンタジン)
 ・抗コリン薬
 ・モノアミン酸化酵素阻害薬
 ・アンフェタミン
 ・抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン、パルプロ酸、エトスクシミド、
         フェノバルビタール)
 ・ドパミン受容体遮断薬(抗精神病薬、鎮吐薬、胃腸機能調整薬)
 ・脳循環改善薬(カルシウム桔抗薬:フルナリジン、シンナリジン)
 ・抗うつ渠(3環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
 ・リチウム
 ・ヒスタミンH2受容体阻害薬
 ・シクロスポリン
 ・テオフイリン







ミオクローヌスの原因になる薬物(日内雑誌 89:702,2000)
 ・抗うつ薬(3環系、モノアミン酸化酵素阻害薬)
 ・レボドーパ
 ・リチウム
 ・感染症治療費(ペニシリン、セフアロスポリン、抗菌薬)
 ・麻酔薬
 ・ビスマス
 ・抗てんかん築(カルバマゼピン、パルプロ酸)
 ・睡眠薬
 ・抗ヒスタミン薬
 ・水溶性造影剤(メトリザマイド、アンギオグラフインなど)
 ・カルシウム括抗薬(ニフェジピン、ベラバミール)







ドパミン受容体遮断薬の神経系副作用(日内雑誌 89:702,2000)
 ・急性ジストニー
 ・急性静坐不能症
 ・悪性症候群
 ・薬剤性バーキンソニズム
 ・様々な振戦(兎の口症候群を含む)
 ・遅発性ジスキネジー







薬剤性不随意運動の種類(日内雑誌 89:699,2000)
            原因薬剤               臨床症状
------------------------------------------------------------------------------
 振戦        呼吸器疾患治療薬(β刺激柔)  姿勢時・動作時の細かい振るえ
         -----------------------------------------------------
            誘発薬(次段)            安静時、姿勢時の粗大な振るえ、
                                 口の振るえ
-----------------------------------------------------------------------------
パーキンソニズム 精神疾患治療築、抗うつ築、   振戦(安静時、姿勢時、動作時)
            鎮吐薬、胃腸機能調整薬、    動作緩慢、歩行障害
            消化性潰瘍治療薬、        筋強剛 
            脳循環代謝改善薬         
-----------------------------------------------------------------------------
ジスキネジー    パーキンソン病治療費、      ロや舌のペチヤペチヤ・モグモ
舞踏運動      パーキンソニズム誘発薬     グ運動
                                首や手足を捻ったり振ったりす
                                る運動
-----------------------------------------------------------------------------
ジストニー      パーキンソニズム誘発薬に    手や足の緊張亢進、一定姿勢を
            ほぼ同じ                持続
-----------------------------------------------------------------------------
ミオクローヌス   パーキンソニズム誘発薬、    筋肉のピクンとした収縮
チック        抗痙攣薬、その他
-----------------------------------------------------------------------------
静坐不能症    パーキンソニズム誘発薬に同じ  イライラがこみ上げてきてじっ
(akathisia)                         としていられず、落ち着きなく
                                立ったり座ったりする







抗結核薬の主な副作用(多剤併用で50%に副作用、肝障害が最も多い。*印は高頻度)
 (※腎障害:KM>EVM>CPM>SMの順に起こり易い)
 ・INH:末梢神経炎、肝障害*、発熱、精神障害、SLE様症状、女性化乳房
    (VB6の代謝促進およびB6と結合して尿中排泄促進。VB6を予防的投与)
 ・RFP:肝障害*、胃腸障害*、アレルギー症状(発熱、発疹、インフルエンザ様症状、
     血小板減少、溶血性貧血)。アレルギー症状は休薬後再投与に注意。
 ・PZA:肝障害*(10%)、高尿酸血症*(ほぼ100%)、関節痛、胃腸障害
 ・SM :第8脳神経障害(平衡障害、難聴、耳鳴)*、腎障害*、発熱、発疹、アナフィ
     ラキシーショック
 ・EB :球後視神経炎*(1%以下=色覚低下、視力低下、視野狭窄)、胃腸障害、末梢
     神経炎、精神障害
 ・KM :第8脳神経障害(平衡障害、難聴、耳鳴り*)、腎障害*、アナフィラキシー
     ショック
 ・PAS:アレルギー反応(発熱)、胃腸障害*(20%)、肝障害、腎障害
 ・TH :胃腸障害*(30%)、肝障害、発熱、発疹、精神症状(不眠、不安、抑うつ)
     内分泌障害(女性化乳房、月経異常)
 ・CS :精神症状(10〜30%=めまい、振戦、痙攣、精神錯乱、不眠)*、胃腸障害
     (精神病やアルコール中毒には禁忌)
 ・EVM:第8脳神経障害(平衡障害、難聴、耳鳴り)、腎障害、アナフイラキシー
     ショック、電解質異常
 ・CPM:第8脳神経障害(平衡障害、難聴、耳鳴)、腎障害、アナフイラキシー
     ショック







ステロイドの毒性
  1.副腎髄質機能抑制(量と期間により変動)
  2.骨組髭症(骨密度が対照の2SD以下-33%)
  3.精神的影響(1.3〜 18.4%)
   精神異常(p<0.001)
   知覚異常(7%未満)
  4.感染症の併発(相対危険度1.6%)
    細菌性敗血症(プラセボより1.5%高頻度)
  5.耐糖能異常(対照の4倍以上 p<0.001)
  6.皮膚への影響(挫傷、座瘡50〜 54%)
    皮膚科学的美容的影響(p<0.001)
  7.Cushing症候群症状(対照の4倍以上 p<0.001)
  8.高血圧(対照の4〜 5倍以上 p<0.001、高齢者には重大な危険性)
  9.後方水晶体(嚢)下白内障(9%)
 10.骨壊死(1〜2%)







腎機能障害時の抗菌薬の使い方
  1.常用使用量でよいもの:マクロライド、クリンダマイシン、ドキシサイクリン
                  ミノサイクリン
  2.中等度以上の腎機能障害時:βラクタム、ニューキノロン(OFLX)、リンコシン
                     ニューマクロライド
     βラクタム、ニューキノロン(SPFXを除く)はCcrが50ml/分以下の場合
    1/2〜3/4量にするか使用間隔を2倍にする。
  3.厳重に使用量を調節:アミノグリコシド、グリコペプチド系
    a.初回常用量投与後血中半減期ごとに半量を維持量とする。
    b.血中半減期の2〜3倍の間隔で常用量投与。
    c.腎機能正常者と同等の使用間隔で減量して使う。
    の3方法あり。







薬剤性光線過敏症の主な原因薬剤
  1.向精神薬
   フェノチアジン系:クロルプロマジン、プロメタジン
  2.筋弛緩薬
   アフロクァロン
  3.抗ヒスタミン薬
   ジフェンヒドラミン、メキタジン
  4.抗菌薬
   ナリジクス酸、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、
   ロメフロキサシン、スバルフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン
  5.抗真菌薬
   グリセオフルビン、5-FC
  6.消炎鎮痛薬
   ケトプロフェン、チアプロフェン酸、スプロフェン、ピロキシカム、
   アンピロキシカム
  7.降庄薬
   ヒドロクロロチアジド トリクロルメチアジド メチクラン クロフェナミド、
   トリパミド、メトラゾン、フロセミド 塩酸チリソロール ピンドロール、
   塩酸ジルチアゼム 塩酸ニカルジピン ニフェジピン カプトプリル、
   リシノプリル
  8.抗糖尿病薬
   トルブタミド、クロルプロパミド、グリペンクラミド、カルブタミド、
   グリミジンナトリウム
  9.抗癌剤
   5-FU、テガフール、ダカルバジン
  10.高脂血症治療薬
    シンバスタチン
  11.光化学療法剤
   8-メトキシソラレン、トリオキシソラレン、ヘマトポルフイリン誘導体
  12.ビタミン剤
    エトレチナート VB6、VB12
  13.局麻剤
   ジブカイン







ヘパリン誘起性血小板減少症における抗体形成の危険因子(NEJM 2002;346:1567)
  1. 循環血液中の血小板第4因子の上昇(第4因子増加とヘパリン誘起性血小板減少
    症における抗体形成の関係は証明されてない)
    1) 冠動脈バイパス手術
    2) そのほかの手術
    3) 外傷
    4) 炎症
    5) 癌
    6) 感染症
  2. ヘパリンの量による
    ・治療量(予防的投与量以上ではヘパリン誘起性血小板減少症が起き易い)
     (ヘパリン誘起性血小板減少症は極めて少量でも起こりうる。留置カテー
      テルへ使うフラッシュ用の少量でも起こり得る)
  3. ヘパリンの調整の違いによる
    1) Unfractionated heparin(low-molecular-weight heparinより起き易い)
     (低分子量ヘパリンはUnfractionated heparinよりもヘパリン誘起性血小
      板減少症をおこしにくいが、この利点はそれ以前にUnfractionated
      heparinが投与されていた場合には、失われているかもしれない)
    2) Bovine heparin(porcine heparinよりも起き易い)







逆流性食道炎(GERD)を惹起あるいは悪化させる可能性が示唆される主な薬剤(NIS 2005;No.4242(H17/8/13):92)
  1. 下部食道括約筋(LES)圧を低下または弛緩させる薬剤
    カルシウム拮抗剤、テオフィリン、抗コリン剤、β-アドレナリン作動薬、
    α-アドレナリン遮断剤、硝酸塩、プロゲステロン
  2. 直接粘膜障害を惹起させる薬剤。
    アスピリン、NSAID、抗生剤(TCなど)、抗ウイルス剤、塩化カリウム、
   アレンドロン酸







TEN(中毒性表皮壊死剥離症)の原因薬物(NEJM 2005;353:2061)
  ・スルフォンアミド
  ・抗痙攣剤:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール
        ラモトリジン
  ・抗炎症剤:フェニルブタゾンなどピラゾロン誘導体
  ・その他抗菌剤:ペニシリン、トリメトプリム、セファロスポリン
          ドキシサイクリン、エリスロマイシン、バンコマイシン
  ・アロプリノール







薬剤性過敏症候群の原因薬物(日経メディカル 2005;No.11:139)
  ・日本で多い:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール
         ゾニサミド、レクチゾール、サラゾスルファピリジン
         メキシレチン、アロプリノール
  ・その他:ラモトリジン、バルプロ酸ナトリウム、ミノサイクリン
       ジルチアゼム、ピロキシカム







アスピリン(抗血小板薬)服用中止と血管イベントとの関係(NIS 2005;4259:91)
  前立腺生検のために抗血小板薬を10日前から中止した場合に再発率は何%くらい
 かとのご質問であるが、脳梗塞または一過性脳虚血発作の既往があり、アスピリン
 を服用していた患者が、アスピリンを4週間くらい中止した場合に脳梗塞あるいは
 一過性脳虚血発作を来すオッズ比は3.25(95%信頼区間1.07〜9.80、P<0.005)とす
 る報告がある。特に虚血性心疾患も合併している患者で、アスピリン中断後の脳梗
 塞あるいは一過性脳虚血発作の再発が多くみられた。
  この報告ではアスピリンの中止理由は、今回のケースと同じような小規模手術も
 しくは小規模出血により中止した患者が3分の2、自分の意思で中止した患者が3分
 の1であった。この報告は後ろ向き試験であるが、参考になるデータと思う。オッ
 ズ比は3.25倍であるが、絶対値としては大きなものではない。
  アスピリン中断のリバウンド効果で起こる虚血性血管イベント(脳梗塞、心筋梗
 塞など)は、中断の4週間以内に起こるとされている。脳梗塞のみでなく、虚血性心
 疾患でアスピリン服用中の患者が服用を中断すると、虚血性心疾患を再発するリス
 クが高まることも報告されている。チクロピジンについても、手術前の休薬により
 周術期に脳梗塞が再発したとする報告が散見されるが、再発率についての正確な報
 告はなされていない。
  生検、手術などの際には、抗血小板薬の休薬はやむをえない処置と考えられるが、
 患者へのリスクについての十分な説明が必要となる。周術期の水分バランスが重要
 と思われる。
  わが国では、アスピリン、チクロピジンとともにシロスタゾール(プレタール)
 が脳梗塞再発予防に認可されている。シロスタゾールの場合は手術前の休薬期間は
  3日と短くてすむが、休薬期間中の再発についてのデータは十分ではない。
  なお、最近は抜歯時には抗血小板薬の休薬は行わないのが通常となっている。
         (前記文献中の埼玉医大内科 棚橋紀夫先生の記述から一部抜粋)