ワクチン接種・vaccination・予防接種・卵白アレルギー

◇激しい卵白アレルギーがあっても、NMR ワクチンを安全に接種できた。

◇強度の卵アレルギー児を含む 39例の卵アレルギー児を対象とした検査で
 は麻疹・ムンプス・MMR を接種してアレルギー性副反応の出現は 1/39
 だった。
 対照とした卵アレルギーでない児童でも副反応の出現は 1/35 だった。

◇副反応の予知における皮内反応 (試案:10倍希釈ワクチン液 0.02ml 使
 用) の感度は 83.3% で特異性は 96.3%、一致率は 95.0% だった。
 しかし皮内反応陽性でも副反応が見られなかった例や局所反応のみの例が
 71.4% 存在。

◇ムンプスの既往のある成人にムンプスワクチンを接種しても、局所の発赤
 を起こす ことはあるが特に問題ない。追加免疫効果が得られる。








B 型肝炎ワクチン

◇対象は一応 HBsAb 陰性者

◇HBsAg 陽性、HBcAb 陽性例は対象にならぬ

◇遺伝子組み換えワクチンには酵母菌を用いたものと、chinese hamstar
 ovarial cell (CHO) を用いたものがあり、前者は陽転率 100% である
 (後者は陽転率 96%) が獲得抗体価は後者が高い。

◇獲得抗体価が高いと HBsAb 陽性の期間が長い、全体的にみてほぼ 4年で
 半数が獲得抗体を消失。

◇B 型肝炎は二度なし病だから獲得抗体を消失しても再感染の成立はない。
 消失後長年たち微量の B 型肝炎ワクチンを接種すると前より高抗体価の
 反応あり。

◇陽転せぬ例は三回接種後、三か月以上経過して、ワクチンの種類を換えて
 かつ倍量 (遺伝子組み換えワクチンで 1ml ・20μg) を一度に接種。








麻疹ワクチンによる過敏反応

麻疹ワクチン:弱毒化麻疹ウイルス・ゼラチン (安定剤)・ごく少量の卵由
       来物質抗生剤を含む

1. 即時型 (30分以内に起こる)
 (1). ゼラチン特異的 IgE 抗体の関与する I 型アレルギー
 (2). 時にアナフィラキシー症状
 (3). 乳幼児期にゼラチンを含む食品を食べてゼラチンに感作されることが
    原因
 (4). 卵に対する IgE-RAST 値が非常に高値の時は注意

2. 非即時型 (接種後 12 〜 24時間)
 (1). ゼラチン特異的 T細胞の関与、皮膚症状が主。
    喘息等呼吸器症状なし。








予防接種副反応とゼラチンアレルギー

対象:麻疹・ムンプス・水痘・風疹ワクチン接種者 10009人の内、即時型
   アレルギーと遅発型皮膚症状 (局所発赤・腫脹・水疱形成、全身皮疹
   ) を呈した 111例 (1.11%)。

 (1). ゼラチン IgE 抗体は 20例 (18%) が陽性 (0.67 〜 30.7Ua/ml) で
    あった。

 (2). この 20例 (18%) のうち 6例が一時間以内のアナフィラキシー反応
    を呈した。
    他の 14例のうち 12例は循環器や呼吸器症状を伴わない全身の蕁麻
    疹や局所の紅斑や発疹が接種後 数時間〜半日後に出現し半日〜二日
    程度続いた。残りの二例は接種後 1時間に局所の発赤・腫脹を認め
    たが、4時間程度で自然消退した。

 (3). ゼラチン IgE 抗体陰性者の 91例はアナフィラキシー反応を呈する事
    はなかった。
    しかし全身の蕁麻疹・局所の皮疹や腫脹を呈し、それは消退するま
    で数日続いた。

 (4). ゼラチン無添加ワクチンではゼラチン IgE 抗体陰性者1例にのみ遅発
    型皮膚症状が生じたのみであった。

 (5). ゼラチン添加ワクチンでは 0.08% (6/7422) にアナフィラキシー反
    応がみられた。

 (6). ゼラチンアレルギー反応はこれまで明かにされている即時型反応の他
    に遅発型反応に基づくアレルギー反応の存在が示唆される。

 (7). ゼラチンアレルギー反応の予防としてはゼラチンの添加されてないワ
    クチンを使用する様にするしか有効な手段はない。
    現行の麻疹ワクチンや水痘ワクチンでは 1/3000 の割合でアナフィ
    ラキシー反応を惹起するおそれがある。

 (8). アナフィラキシーの予知にはゼラチン IgE 抗体を測定すればいいが
    、現実的でなくゼラチン抗原によるプリックテストは約70% の確率
    でゼラチン IgE 抗体陽性を判別できる。








ワクチン接種・予防接種の副反応

1. 平成 8年度報告 (567/1786万人 = 0.003175% = 1/315)







「熱性けいれんをもつ小児への予防接種基準」最終案
(厚生労働省「ハイリスク児・者への予防接種基準作成に関する研究班」2001年10 月)

  1. 対 象
    1. 熱性けいれんと診断された場合は、最終発作から2〜3か月の観察期間をおけば2)の条件のもとで接種可能である。
    2. ただし接種を受ける小児の状況とワクチンの種別により、主治医の判断でその期間の変更は(短縮も)可能である。
    3. 長時間けいれん(15分以上発作が持続)の既往例は、小児科(小児神経)専門医が診察しその指示のもとで施行する。
  2. 予防接種の実施の際の基本的事項
    現行の予防接種はすべて行って差し支えない。ただし、接種する場合には次のことを行う必要がある。
    1. 保護者に対し、個々の予防接種の有用性、副反応(発熱の時期やその頻度、他 )、などについての十分な説明と同意に加え、具体的な発熱時の対策(けいれん予 防を中心に)や、万一けいれんが出現した時の対策を指導する。
    2. 当面集団接種が原則のBCGやポリオを除いたワクチンは、原則として主治医(担 当医)が個別に接種する。
  3. けいれん予防策
      発熱の予測される予防接種では、発熱の出現しやすい時期に発熱を認めたらdiazepam坐剤を予防的に投与する。発熱率の比較的高いのは麻疹で、時期は接種後1〜12日(特に7〜10日)、ついでDPTでその時期は1〜6日(特に1〜2日)である。(接種日を0とする)

       薬剤:diazepam坐剤(製品:ダイアップ 坐剤4mg、6mg、
      10mg)
       用量:0.4〜0.5mg/kg/回(最大10mg/回)
       用法:37.5℃を越す発熱時に速やかに坐剤を投与する。
      初回投与後8時間経過後もなお発熱が持続する時は、同量を追加投与し
      てもよい。通常、2回以内の投与で終了とする。状況判断で、3回目
      投与を行ってもよいが、3回目 は初回投与から24時間経過後とする。


    注)
    1. 坐剤がない場合はdiazepam経口剤(製品:セルシン、ホリゾン;散、錠、シロップ)でもよい。投与量は同量で、薬物動態は坐剤とほぼ同じである 。
    2. 解熱剤の併用:diazepam坐剤と解熱剤の坐剤を併用する場合にはdiazepam 坐剤投与後少なくとも30分以上間隔をあける(解熱剤の坐剤の成分がdiazepamの吸収を阻害する可能性があるため)。経口投与をする解熱剤は同時に併用してもよい。






予防接種による発熱発現時期と頻度

ワクチンの種類
発現時期
頻度
ポリオ
BCG
HB
 
0
0
0
DPT
麻 疹
風 疹
24時間以内
5〜14日
14〜21日
3〜4%(37.5以上)
約20%(37.5以上)
数%(38.5以上)
4%以下
日本脳炎
水 痘
ムンプス
インフルエンザ
2日以内
14〜30日
2〜4週後
1%以下
ほとんどない
2〜3%
きわめて稀






成人の破傷風予防対策(NIS 2004;4201:94)
  破傷風の発症予防には、予防接種が重要な位置を占める。DPTワクチン(沈降精
  製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン)は、小児の基本的なワクチンであり、
  生後3〜90か月(7歳半)を対象に予防接種法に基づく接種が行われている。第1期
  の予防接種として3〜8週間間隔で3回接種を行い、さらに6か月以上の間隔を空けて
  (標準的には12〜18か月後)追加接種し基礎免疫をつける。その後、第2期として、
  ジフテリア破傷風トキソイドあるいは沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド(DT)
  を用いて、標準的には11〜12歳で接種が行われる。その後は10年に1回追加接種を
  行うことで、防御に必要な血中抗体価レベルを維持することができる。
  スケジュール通りに受けられなかった場合でも、原則として初めからやり直すこ
  とはせず、規定されている接種回数になるまで接種を行う。・・・(鳥越注:ここ
  の記述は理解しにくいので削除)。第1期の追加接種は、18か月以上経過している
  場合には、できるだけ早く接種することを勧めたい。
  成人の場合には、第1期の予防接種がどこまでできているかによって接種回数は
  異なる。すでに基礎免疫がある場合には、1回の追加接種で防御に必要な血中抗体
  価レベルを得ることができ、その後は約10年ごとに追加接種を行うことでそのレベ
  ルを維持することができる。他方、これまでに接種を受けたことがない場合(ある
  いは記憶が定かでない場合)には、基礎免疫を獲得するため、初めから予防接種を
  行う。
   沈降ジフテリア破傷風トキソイドを使用する場合は合計3回接種を行うが、初回
  免疫は3〜8週間隔で2回接種する。通常1回0.5mlであるところ、初回は0.1mlとし、
  副反応の少ない場合は第2回以降、適宜増量する。3回目は追加免疫として6か月以
  上の間隔をおいて0.1ml以下を皮下に注射する。その後は約10年ごとの追加接種で、
  血中抗体価を発病阻止水準に維持することができる。3回目の追加免疫の間隔が空
  いた場合でも、そのまま接種を行えばよく、その後10年ごとの追加接種を行えば
  よいと考える。







成人の破傷風予防対策(NIS 2004;4201:94)
  破傷風の発症予防には、予防接種が重要な位置を占める。DPTワクチン(沈降精
 製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン)は、小児の基本的なワクチンであり、
 生後3〜90か月(7歳半)を対象に予防接種法に基づく接種が行われている。第1期
 の予防接種として3〜8週間間隔で3回接種を行い、さらに6か月以上の間隔を空けて
 (標準的には12〜18か月後)追加接種し基礎免疫をつける。その後、第2期として、
 ジフテリア破傷風トキソイドあるいは沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド(DT)
 を用いて、標準的には11〜12歳で接種が行われる。その後は10年に1回追加接種を
 行うことで、防御に必要な血中抗体価レベルを維持することができる。
  スケジュール通りに受けられなかった場合でも、原則として初めからやり直すこ
 とはせず、規定されている接種回数になるまで接種を行う。・・・(鳥越注:ここ
 の記述は理解しにくいので削除)。第1期の追加接種は、18か月以上経過している
 場合には、できるだけ早く接種することを勧めたい。
  成人の場合には、第1期の予防接種がどこまでできているかによって接種回数は
 異なる。すでに基礎免疫がある場合には、1回の追加接種で防御に必要な血中抗体
 価レベルを得ることができ、その後は約10年ごとに追加接種を行うことでそのレベ
 ルを維持することができる。他方、これまでに接種を受けたことがない場合(ある
 いは記憶が定かでない場合)には、基礎免疫を獲得するため、初めから予防接種を
 行う。
  沈降ジフテリア破傷風トキソイドを使用する場合は合計3回接種を行うが、初回
 免疫は3〜8週間隔で2回接種する。通常1回0.5mlであるところ、初回は0.1mlとし、
 副反応の少ない場合は第2回以降、適宜増量する。3回目は追加免疫として6か月以
 上の間隔をおいて0.1ml以下を皮下に注射する。その後は約10年ごとの追加接種で、
 血中抗体価を発病阻止水準に維持することができる。3回目の追加免疫の間隔が空
 いた場合でも、そのまま接種を行えばよく、その後10年ごとの追加接種を行えば
 よいと考える。