第40話: TPPをごく単純に理解しよう
 【TPPをごく単純に理解しよう】
 筆者はTPPをごく単純に理解しています。しかし、実はTPP批准・推進が貿易立国・技術立国の基盤を根底から破壊してしまうかもしれないという恐怖を持っています。ですが、今は単純に。
 TPPは基本的に日本の農業・漁業・水産業の第一次産業を破壊するものです。なぜなら政府は「一次産業は金(税金)にならないばかりか、各種補助金(再分配)を持って行くので邪魔にしかならない」と考えています。現日本の食料自給量は35%前後でTPPを批准すると益々減ってきて日本の農業は壊滅状態になりますが、そんなことは歯牙にもかけていません。また財界は国民の数の縮小・高齢者の増加にともない「若者の消費減少→需要低下→財界及び投資屋・政治屋どもの儲けの減少→グローバリズム推進→輸出で稼ぎの補填」というまことに単純な考えでTPPを推進していると、小生は思ってます。これで大企業と富裕層(約1%程度)がさらに富を増やします(が、税金はタックスヘブン国を介在させることで増えません)。
 だいぶ有名になったISD条項(投資家対国家紛争解決)は、投資家が相手国の協定違反で不利益を被った場合に、損害賠償を求めることができる制度だそうですが細かいことは知りません。例えば外資系の薬会社が、日本の医療保険制度により薬価が決められることで損害がでたら外資系会社が日本を訴えて損害を取り戻すことに使うかもしれません。もし負けたら賠償金は税金の一部から支払われます。私たち医療者にとって、良いことにはならないと筆者は予想しています。国の主権や国民の人権なぞあったものじゃありません。また外資系会社が進出し労働条件がいまより悪化することは十二分に想像できます。
 それに交渉過程がひどい。かつてない秘密主義で交渉が行われています。「国民は由らしむべし、知らしむべからず」の典型です。国家権力とはそんなもんだと考えていたほうが腹が立ちません。次の選挙で政権を変えるしか対処方法はありません。
 日本自身の全体的な縮小に伴う止むを得ない解決策だという屁理屈みたいな言い分を聞くともっともらしく思えるんですが、TPPが筆者のようなゴマメに有利に働くとは思えません。
 これが今の筆者のごく単純な理解です。
 なおもう少し詳しく知りたい方は、以下でTPPについてわかりやすいブックレットが無料でダウンロードできます。
http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpp-q&a.pdf
平成28年10月19日 鳥越恵治郎