第25話:【祝!! 政権交代】
【祝!! 政権交代】
  平成21年(2009年)8月30日(日曜)は国民が日本の歴史に金字塔を打ち建てた日になった。第45回衆議院議員総選挙において、腐臭・銅臭ただよう自民党が大惨敗を喫したのだ。長期政権の闇に紛れて国民を韜晦し捏造し続けた各種の権益構造の上で呑気にあぐらをかき、国民を無知なごまめ(雑魚)として見下し続けナメ続けて来た自民党とそのヤクザさながらの構成員どもよ! ざまあ見ろ!! 自民議席数たったの119、対する民主党は308議席。おそらくこれで自由民主党は崩壊し数年のうちに溶けて消滅してしまうことだろう。筆者が生きているうちにこれほどの歓喜に浸れる時が来ようとは夢想だにしなかったことだ。
  実際に自民党は骨の髄まで腐っている。政権与党は政治の体をなしていなかった。では何をしてきていたか。国民を苛め抜いてきたのだ。我々が肉体を酷使し自由を束縛されながらやっと稼いだなけなしの大切なお金に対して、何かと屁理屈をつけて勝手に他人の財布に手を突っ込み、やれ税金だやれ保険料だ年金だと盗り尽くし続けた。かてて加えて国民のあらゆる行動に介入して消費税・ガソリン税・手数料・登録料・印紙税・免許料・通行料・固定資産税などなど、掻き集め掠奪し尽くすのに余念がなかったのだ。当然他のことは何もしなかった。いや野蛮なアメリカ
に「年次改革要望書」(関岡英之氏著『奪われる日本』講談社現代新書)なるものを毎年押しつけられ、唯々諾々とその方向に国政を誘導し属国として日本の国富を献上しつづけてきたのだ。小泉元総理が気が狂ったかのように進めた郵政民営化はそれに関する最大の愚行であり、完全民営化が行われ株式公開が強行されれば国民の郵政資産約350兆円の大半が海の向こうに持ち去られるだろうことは想像に難くない。また経済グローバリズムの弊害をことさらに喧伝し、財界の意向に添って派遣労働を全面的に解禁した。その結果が労働者のセーフティネットの破綻であり、ワーキング・プアの増加であり、若者の社会活動参加の入口のチャンスさえ不平等になってしまった現在の凄まじく酷い格差社会の到来なのだ。これら自民党政府の愚行は軍事面でも同じだ。「Show the Flag.」と「戦争好きのならずもの」に脅され、憲法違反をものともせず自衛官を危険な戦地に派遣させられ、機雷掃蕩艦や燃料補給艦をおんぶに抱っこで駆りださせられている。日本は自民党を介してアメリカならずもの国家の税金付き小間使いに成り下がってしまっているのだ。
  自民党という権力を謳歌してきた政党とその取り巻きをもう少し詳しく俯瞰してみよう。これまで腐れ自民党・傲慢官僚組織・卑しき拝金財界は三位一体の権力階級として強く結びつき、資本主義と社会主義を極めて巧妙に組み合わせ、しかも情報操作(非公開・隠匿・統制・歪曲・捏造・ネガティブキャンペーン・陰湿なリークなど)をもって国民を永遠の無知に貶めつつ搾取の対象として取り扱い飼いならしてきているのだ。今の日本は政治献金で政治を篭絡する経済団体と、無知無能で賄賂に弱く強権的で政治と行政を私物化した独裁官僚群と、官僚の小間使いに成り下がり腐臭・銅臭紛々たる自民党族議員が拝金主義をもって暗躍する虚業ギャンブル国家・国民の富を奪う泥棒国家となってしまっている。そのうえに表面上の豊かさに惑わされた人々は危ういあなたまかせの平和のなかで怠慢になり、先に述べたような足下にうごめく不穏な謀略に気付き、それを認識しさらにより深くより広く考えることを止めてしまっているーーもちろん権力によって気付かない・考えないように誘導され、ネガティブキャンペーンで混乱させられているのだがーー。その結果、既得権益にしがみつく寄生虫のごとき独裁官僚と金集めに狂った政治屋の絶妙なコンビは地方交付税・補助金・各種措置制度・助成金・公共事業などをエサにして地方自治を強力に制御している。彼らに強力なコネを持った悪がしこく目ざとい財界や卑しいコバンザメ連中がいち早くこれらにタカる。彼らはまた特殊法人・公益法人とそれにぶら下がるがる多くの(官僚利権の象徴たる)天下り法人を従えている。これにより民間会社の参入は強力にブロックされ民間活力の活性化を完全に抑制している。これこそ日本独特の中央集権型・巨大ピラミッド型の「一億総『潜在能力』搾取・没収システム」なのだ。この日本の哀しくおぞましいシステムは、各種法律の制定・改定(改悪といってもよかろう)、時には一片の通達をもって増殖し、徐々にすき間なく全国民の間に張りめぐらされ続けてきた。そして今では人々の将来の夢と希望を完全に奪い去ってしまっている。作家の村上龍氏はその著書『希望の国のエクソダス』のなかで、「この国には何でもあります。だが希望だけがない」と書いた。だが私にはそれ以上に「リアリティも夢も希望もない」としか思えない。
  なぜこれほどまでに日本は堕落してしまったのか。それは多分次に述べるように日本に真の民主主義が成熟して来なかったためであろう。これまでのお粗末な民主政治の下で、政治家は選挙に有利になるように予算を奪いあう。官僚は出世を考え権限の拡大しか考えない。国民は他人の負担でより多くの利益を得ようとばかり考えている。そして財政は無定見なばらまきになり肥大化し、その執行機関である行政組織は無限に自己増殖してゆく。その結果 800兆円を越える負債にあえぐデフレ経済は銀行の不良債券処理を加速し、貸ししぶり・貸しはがしを招き自殺者をあふれさせ、その数は1998年(平成10年)からずっと毎年 3万人を優に越えている。各種優良・巨大企業のうそやごまかしに満ちた体質が次々と明らかになった。監督官庁のなれ合い手抜き監査もあらわになった。それぞれの最高責任者の誰も責任を取っていない。恐ろしく歪みきった体質のようだ。さらには使途不明が当然というばかりに画策された内閣官房機密費、外務省機密費も暴かれた。機密費名目のデタラメ予算は全省庁にあることだろう。嗚呼、国民の血税が無責任とデタラメで闇から闇へ消滅してゆく。警察のやらせ捜査、遊興・接待の裏金つくりも、とうとう暴露された。平成14年4月にはあろうことか検察庁までが裏金作りに奔走していたことが露呈した。これら裏金(税金)の全てが幹部の遊興費に消えたと言う。しかも検察庁は、この良心と正義の勇士を、組織をあげて口封じのために、罪をデッチあげて逮捕したのだ。おまけに謀略者たちは責任をとらないばかりか全て昇進を果たしているという。国家の正義を守るべき検察がこの為体(ていたらく)、言語道断だ。
  かくのごとくに、今日の一億総無責任国家の根源が日本の(一体化して区別がつかなくなってしまっている)政治と行政と財界の三位一体拝金一辺倒という腐敗・堕落にあることは間違いない。
  さて、平成21年(2009年)8月、やっとのことで自民泥棒ギャンブル政権が崩壊し、鳩山友愛民主政権が誕生した。「行政刷新会議」を率いる仙谷由人氏は「コンクリートから人へ」という素晴らしいスローガンを掲げた。新しい民主党政権は国民からの強盗的掠奪を止めなけらばならない。これまでの自民泥棒政府による国民からの餌(ゼニ)の強奪を可能な限り阻止しなければならない。ガソリン税の暫定税の放棄・高速道路の無料化・後期高齢者医療保険制度の廃止は当然の政策だ。そして次は支出の問題。道路やダムや特別目的の建物(アニメの殿堂)などの公共箱物事業は一部の者だけが瞬間的に潤い、その後に続く箱物管理組織・管理会社は天下りと補助金を得て永久に多くの無駄金を浪費する。こういう形態の税金の垂れ流しは全て中止だ。例えば100億の大盤振る舞いのあと何年も半永久的に1億を浪費するようなシロモノはもういらない。それに代えて細かで行き届いた人間を大事にする政策に数100万円から1000万円を広く薄く交付し、今までの権力に奪われてしまっていた個人の「潜在能力」を賦活させなければならない。子ども世帯への現金給付・高校生への授業料無料化・一人親世帯への助成等はまことに結構な政策である。筆者は「無料」というのは勤勉・努力・我慢という美徳を曖昧にし、果ては否定し、国民を卑しさにむけて誘う毒薬だろうと思うけれども、まあやってみればいい。なにせ初体験の政策だ。間違ってたら訂正すればいい。決して反省・訂正のなかった前泥棒腐敗自民政権よりは格段に廉直で高邁な試みだ。
  ここらでいつも出てくるのが財源問題。そりゃそうだろう。放蕩を繰り返す泥棒ギャンブル政権はその「見境無し・使い放題」という内的根源的要因のため常に必ずゼニに忙しいのだ。心配しなくていい。新政権はどうとでも工夫して財源を確保するに違いない。もしも足らなかったら、大金持ちにしっかり累進税をかければいいし、贅沢品に多額の累進消費税をかければいい。相続税徴収も遠慮することはないと思う。また、どこにかけるのか外形標準課税でゆくのか等の問題はあるが、宗教法人課税も大いに検討すればいい。
  さて最後は外交問題。筆者はこんな問題はとても簡単だと思う。我が日本には世界に誇る戦争放棄の憲法第 9条があるのだ。「非暴力不服従」を貫き、集団的自衛権などには目もくれず、独立不羈・自存自衛を原則として、世界とくに「ならずもの国家」と対等に付き合えばいいのではないかと思う。
  筆者は心ある国民の皆様にぜひともお願いしたい。
  どうか鳩山友愛民主党政権に最低4年間、次の4年後の衆参同日選挙に向かって暖かい応援を惜しみなく注ぎ続けて欲しいのです。野党になり下がった崩壊寸前自民党は、ありとあらゆるネガティブキャンペーンを弄してバカげた罵詈雑言を浴びせかけ続けるでしょう。反民主党官僚どもは取るに足らないようなスキャンダルを親派マスコミにリークして大げさに騒ぎ立てるかもしれません。賢明な皆様決して騙され翻弄されてはなりません。この新しい鳩山民主友愛政権は初めて国民主権が発揮されて、明治政府からいうと約 140年ぶりに政権が国民の手に戻ってきたという輝かしい政権なのです。私たちの夢と希望を背負った政権なのです。
  最後に民主党の方々に心よりお願いします。権力は腐ります。絶対権力は絶対に腐ります。どうかわが民主党だけは国民の血税を私することなく腐臭・銅臭から遠く離れて透明できれいで暖かい政治を行って下さい。筆者はこの時を約35年間一日千秋の思いで待っていたのです。
平成21年9月23日 鳥越恵治郎